YomuAA

読むアスキーアート/ よむえーえー / やる夫スレ自己まとめ
1
　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　二千石の旗本といえば、奉公人は三十人もいるし、 　　　その家の主人ともなれば、 　　　自由気ままに町を歩くこともならないのは、 　　　七千石の風鳴家と同じである。 　　　だが、三男坊ともなると、そこは気楽なものらしい。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　.　　　　　　 ∧　　　　　　　_ｎ___,、　　　,勹 　_ｎ___,、　　　,勹 　ｎ.　　　_ｎ___,、　　ｎ.　00　_ｎ___,、 　　　　　　　　　　　　　┴┴　､　 　　└i ｎ ﾄ､> 　く..く　└i ｎ ﾄ､> 　く..く　　| !　　└i ｎ ﾄ､> 　| !　　 └i ｎ ﾄ､> 　　　　　　　　　　／　　 肉　　　ヽ.　　　U U.　　　　＼）　 U U.　　　　＼）　ヽﾆフ　 U U.　　　ヽﾆフ.　 U U. 　　　　　　　　　/　＿＿,.､＿＿　　ｌ 　　　　　　　　　ｌ　 ゝ__ﾟノ　ゝﾟ__ノ　.|　 　 という養子縁組の話がある。 　　　　　　　　　|　　　　ﾄ.__ｲ　　　　| 　　　　　　　　　ｌ 　　　f　｡　Y　　　.ｌ.　　 私は、お前ならば、 　　　.　　　　　　ﾍ　　　ゝ___ノ　　 .ｲ　 　 その風鳴翼を打ち負かすことが出来るのではないかと、思っておる。 　　　　　　　　　　ｌ＼　,. ‐‐‐ 、／ | 　　　　　　 _..､‐''"ﾄ､　` ‐‐‐‐ ′　|_ ‐‐-､‐‐く　　　　}　ヽ.　 ＼　ｌ|　　　` ‐ ､ 　　　ヽ　　} ￣￣'''''''‐-....._/　　....-‐'''' ￣`Y´ ￣　＼ 　　 ` ‐ ､　 | |　　　　　　　　Y´　 ‐- ...._　　＼　　　　} 　　　　　 >､ｌ　/ｌ　　　　　　＼}　　　　　　　　､__>､_　ｲ 　　　＿../　 ￣`ヽ.　　　　　',/　　　　　　　　　　/_　　| 　　　　　　　　　　　ｌ-‐''''"￣￣ﾌ――'''''"￣￣ `ヽ.　 | 　　　　　　　　　 　　／∧ 　　　　　　　　　 ／ 　|.　| 　　　　　　　　 /　.＿⊥ ⊥ 　　　　　　　　ｌ／　　　肉 　｀ヽ 　　　　　　　/　 .ｨ ⌒ヽ_,､/⌒',　| 　　　　　ﾄ､..|　　 |　　･ |　l･　　|│　　　どうじゃ？ 　　　　　l 　|　＿L＿ ノ 　ヽ_ノ｀V.　　　やってみるか？ 　　　　　レｲ/ 　r､＿`┴‐'___┐ |＿ 　　　／ 　|:|　　|‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐| │ 　＼ .､--イ| 　　|:| 　ﾄ､＿＿＿＿/ /!|　　 ||￣`‐‐:､ 　　　|:| 　　|:|＼ ＿＿＿＿_.／/|:| 　　|| 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　永井やる夫は、 　　　剣術の師匠、神谷新七郎からそう言われた。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
2
　　　　　　　　　　　　 ′' 　 　　　＿＿＿_　　　　　´ 　　　／　　 　 　＼ 　 ／　　─　 　 ─＼　　　　　　　　　　 　 　 　 ・ ・ ／ 　　 （●） 　（●） ＼　　　父上や兄上にはそれと知らせず、 |　 　　 　 （__人__）　 　 | ./　　　　 ∩ノ ⊃　　／.　　　まず立ち合うということで？ (　 ＼　／ ＿ノ　|　 | .＼　“　　／＿＿|　 | 　　＼ ／＿＿＿ ／ 　　　　＿＿＿ 　 　　|＼　　　　＼ 　 　　| 　ヽ＿＿＿＼ 　 　　|／_,_　　　　　￣ ＼ 　. 　/ :| 人 |　　　　　　　ヽ　　 　 　 左様じゃ。 　　/ 　| 人 |　　　＿　　　　|.　 　 　 ……お前、いくつになる？ 　　| 　　　　､_､‐'´ ﾟ ﾉ 　　　|＿ノ＼ 　　| ┌‐ ｡/　` ‐‐‐' 　　　/|＼ 　　ヽ 　　|　`‐‐（ ＿_（ﾉ　　　　/　! 　＼　　| 　 　',　　　　/ ￣`ヽ　　/　/ 　　　＼ﾉ 　　　ヽ　　　| 　ﾟ　　|　/　/ 　　　　　￣￣￣ ＼ 　 　　　＼ 　` ―‐ ' /　/ ／ ￣　　　　　　　　　＼ 　　　　　　￣｀‐‐{⌒ ／ /　　　　　　　　　　　　　　ヽ. 　　　　　　 　 　 　 　 -―─-　、 　　　　　　 　 　 ／　　　　 　 　 ＼ 　　　　　　　　　′ 　─　 　 ─ 　　, 　　　　　 　 　 i　　（ ●）　 （● ）　 ｉ　　　三十を一つ越えましたお 　　　　　 　 　 |　　 　 (__人__)　 　　| 　　　　　　　 　 ､　　　　　　　　 　 ノ 　 　 　 ⊂⌒ヽ　 ＞　　　　　　 ＜_/⌒つ 　　　　 　 ＼　丶′　　　　 　 　 　 　 7 　　　　　　 　＼ ノ　　　　 　 　 　 ﾄ､_/ .　　　 　 　 　 　 ′　　 　 　 　 　 | .　　　　　　　 　 i　　　　　　　　 　 | 　　　　　　　　　乂　　　　　　　　 ｲ 　　　　　　　 　 　 |　/ー―一 、　| 　　　　　　　　　　 し′　　　　　､_ｊ 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　三男坊ともなると、なかなか養子の口はないものとみえる。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
3
　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　永井やる夫は小柄な体格で、 　　　背丈は翼より、ほんの少し低いかもしれない。 　　　師の神谷が「お前なら勝てるやもしれぬ」というだけあって、 　　　神谷道場の門人の中では十指のうちへ入るであろう。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　|　|　|　|　|　|　|　|　|| | | | | | | | | | | | | | | | |　|　 　| 　 　| 　 　|　| | | | | | | | | | | | | | | | 　|　|　|　|　|　|　|　|　|| | | | | | | | | | | | | | | | |　|　 　| 　 　| 　 　|　| | | | | | | | | | | | | | | | 　|　|　|　|　|　|　|　|　|| | | | | | | | | | | | | | | | |　|　 　|＿＿|　　　|　| | | | | | | | | | | | | | | | 　|　|　|　|　|　|　|　|　|| | | | | | | | | | | | | | | | |　|　 　 　 　 　　　.|　| | | | | | | | | | | | | | | | 　|　|　|　|　|　|　|　|　|| | | | | | | | | | | | | | | | |　|__=======!!=ｺ__|　| | | | | | | | | | | | | | | | 　|　|　|　|　|　|　|　|　|| | | | | | | | | | | | | | | | |/　　”　　　　”　　丶.| | | | | | | | | | | | | | | | 　|　|　|　|　|　|　|　|／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ 　|　|　|　|　|　|　|／ﾟﾞﾞ｀｀　ﾞﾞﾞﾞ｀｀　ﾞﾞﾞ　ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　　ﾞﾞﾞ　ﾞﾞﾞﾞ　ﾞﾞﾞ 　|　|　|　|　|　|／""ﾞﾞ　ﾞﾞﾞ　　""ﾞ　　ﾞﾞﾞﾞﾞ　　ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　　　　　　　　　　　　　　ﾞﾞ　ﾞﾞﾞﾞﾞ　ﾞﾞﾞﾞ　　ﾞﾞﾞﾞ 　|　|　|　|　|／ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　　　ﾞﾞﾞ　　ﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　　　　　　　　　　　　　　　　""　　""　　""""" 　|　|　|　|／ 　|　|　|／ﾞﾞﾞﾞ　　ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　　　ﾞﾞﾞﾞ　　　ﾞﾞﾞﾞﾞ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　""　　　"""" 　|　|／　　　　 　 　 　 　 　 　 ||| 　|／ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　ﾞﾞﾞﾞ　　　ﾞﾞﾞﾞ . ||| 　 　 　 　 　 ﾞﾞ　　　　　　　　　　　　　　　　""　　　　　　　　　"" 　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ||| 　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ||| 　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 且 　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 [臣|] 　　　　　　　　　　　　　　　　 { 三}j 　　　　　　　　　　　 　 　 　 ハﾆｺ 　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　 ｆ＿＿_ 　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　 ト　／ ＼ 　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　 | ） （●） } 　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,|　 |__人__）　| 　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |.　 入辷}__／ 　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　 　 　 ＼ 　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾄ､　　　　　 ヽ, 　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ! .ヽ　　 　 　 1 　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　 {l　　 　 　 | 　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼:|　　 　 　 i} 　　　　　　　　　　　　　　　　　　;}　　 　 　 { 　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　　　　 　＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　,　　　 ＼ 　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　/､.　 　 　 ＼ 　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　　　　/　 ＼.　　　　 ＼ 　　　　　　　　　　 　 　 　 /　　　　/.　　　 ＼.　　　　 ＼ 　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　/　 　 　 　 ＼　　　　 ヽ 　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　/　　　　　　 　 .＼　 　　 ヽ 　　 　 　 　 　 　 　 　 /　　　　/　 　 　 　 　 　 　 .＼　 　　ヽ .
4
　　　　　　　　　　　　∧ 　　　　　　　　　　　,'＿ﾞｉ＿ 　　　　　　　　,r'　　　　　　　ﾞｉ 　　　　　　　 |　　　　肉 　　　| 　　　　,r' 三}|　､--v} {v‐‐　._{三 ﾞｉ　　 　 　 いささか、勝手な申し入れだが、 　　　　|　三l|　(,___・l　」_・､ｲ」r三　|　　　　　私も藤岡孫十郎殿から頼まれていてな。 .　　　 ｲ　　(,|　　　.（.,_､）　　 {　　　| ＿ 　,r' ￣{　　　}|　　{´　O ｀}　ﾊ{　　 (,　 ＼ ／　　　ﾄ.＿〈 ＼　ゝ_＿ .ノ /　〉＿＿}　　ﾞｉ {　　　　 | _＿ ﾞｉ　 ｀‐---‐´ 　　|　　　|.　　ｉ　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ 　　　　 }　ﾞｉ　　ﾞｉ　　　　　　　　,r' ￣￣ﾞｉ　　}　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |.　　　-　－、　　　　　 　 　 　 | 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 ● ●） ヽ　　はあ　 　 　 | 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |. 　 （人__）　ノ　　 　 　 　　 　 | 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/ 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 lー-　､ 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 | ',　　　ヽ 　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 , |　',_ -‐-､＼ 　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　￣　　　　　 ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′　肉　　　　　　'　j 　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ｨ⌒t_ tノ⌒ヽ　　 ﾚﾊ.　 　 かの女めを打ち負かすことが出来たなら、 　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |弋__ﾟj 弋_ﾟ_ノ　　　|'　} 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弋__ｨ-- ､　　/ |　'　　　正式の申し入れをさせ、 　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧（　ー一'　.}　/ﾉ |/　　　 お前は七千石の家の跡目を継ぐことになる。 　　　　　　　　　 　 　 ＿ -‐＜ﾇ¨ﾊヽ､ ＿　ノ'／ 　ﾊ＞:... 　　　　　　　　＞ ´￣　　　　/:.:.:/ j｀'＜___::イ/　／:.:;ｨ'⌒ヽ､ 　　　　　　 ／　　 　 　 　 ´/:.:.:/　｀込　j∠ｲ_／:.:∠.ﾊ__　　　ヽ 　　　　　　{　　{　　　ヽ〃 /:.:.:/　　V´ ￣　／:.:〃　 /´　｀ー--ﾄ､ 　　　　／´㍉ 　 Y 　 ↓ｨ:.:.:.:.{ 　 ./＜¨　/:.:.:/　　　　　/　　　 ﾊ　ヽ 　 　 ,ｲ　ﾉ 　 　 ｲ　 　 |:.:.:.:..:.:l　Y　　　 ノ:.:.:.:{　　 　 　 { 　　 j　〃　　｀￣｀¨＞ |:.:.:.:.:.:弋{_____∠:.:.:.:.:斗く　（　　 l　　　　　　　 l 　　/　{　　　　　　　　　ヾ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./　　　〃ヾ　 代　　 /　 　 / 　 { 　 ゝｰ辷─--　　＿　　￣¨¨㍉ー-{　　　　　イ´｀ヽ､　∠ ._　 ｲ 　 j　ヽ､　　　￣¨¨　　　　　　　　　}:＞┴く　　　　　　　 j´　　　}'　j 　弋__　　　　　　　　　　　　　　_∠´　 　 　 Y´　　　　　　　j　 /　/ 　　　弋¨¨´￣￣　　　　＞'　￣｀¨　　　　　 |　　　　 　 　 /　/　/ 　　　 　 ｀ー--r-一 ＜　　　　　　　 ､___　　　　 　 　 　 彡く:.:ﾄｲ 　　　　　　　　　＞ミ弋　　ー==-　　　 y　　　　　　　 ／:.:.:.:.:.:.:j 　　　　　　　　　　　 {:.:.:＞.､　　　　　 <　　　　　__彡く:.:.:.:..:.:.:.ノ 　　　　　　　　　　　 |:.:{:.:.:.:.:.:.＞..､　　 ｀¨¨ﾆﾆ´ ／:.:.:.:.:.:.:.:.:./ 　　　　　　　　　　　 ﾄ-辷:.:.:.:.:.:.:.:.:.￣￣｀¨¨¨¨´:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:{ 　　　　　　　　 　 　 代:.:.:.:.:.:ー---:.:.＿:.:.:.:.＿:.:.:--一　彡| 　　　　　　　　 　 　 j:.:.:.＞ー-　＿＿　 ￣ ＿ --一 ＜:.:.:| 　　　　　　　　　　　ﾊ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:￣￣:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l .
5
　　　　　　　 ／￣￣￣＼ 　　　　　　／　　　　　　　 ＼ 　　　　　/　　　 ─　　　─　ヽ 　　　　　|　　　 （●） 　（●）　| 　　　　　＼　　∩（__人/777／ 　　　　　／　　（丶＿//// ＼ 　　　　 　 　 　 ＿＿＿_　ﾌﾋｯ 　　　　 　 　 ／　　 　 　＼ 　　　　 　 ／ー‐-　 　 -‐' ＼ 　 　 　 ／ 　 t''tzj 　 ｨtｪｯ 　 ＼　　　悪くありませんなぁ .　　 　 | 　 　 ｀¨､__,､__,¨´　　　 | .　　　　＼　 　 　 ｀こ´　　 　 ／ 　 　 　 ／　　　 　　　　　　　＼ 　　　　　 　 　　　＿＿＿_ 　　　　　 　　　／⌒　　⌒＼ 　　　　　　　／（ ―） 　（―）＼. 　 　 先生、やってみましょうか？ 　　　　　 ／::::::⌒（__人__）⌒:::::＼ 　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　| 　　　　　 ＼ 　　 　 　　 　 　 　／ .
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　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣ ＼ 　　　　　　　　　　　／ 　　　　　　　／ 　　　　　　.へ.＿／　　　￣￣＼／ 　　　　　　| 　　　　_／ 　　　　　ヽ 　　　　＿⊥　　／/|　　　　　　ヘ.ハ ￣￣｀ 　　　／　│|　　　　　{　　，V 　　　　 ､ 　　　　│|　　　　　　￣｀く　　　無理にとは言わんぞ 　　　　　＼/ 　　∧＼ 　／ ￣｀v ┘ 　　　　　　 ＼　　　|＼＼| 　くフ } 　　　　　　　　＼ 　| 　`rへ＿ ／ 　　　　　　　　　＼ 　/ 　ヽ 　　　　　　　　　　 イ 　　　', 　　　　　　　　　　　|　　　　} .イ　　　　　　　　　 | 　　　∧ .│　　　　　　　　　/　　　/　| 　　　 　 　 　 ＿＿__ 　　 　　 　 ／ノ　ヽ､_＼ 　　 　 　 （●）　（● ）　＼　　　　まあ、いつまでも冷や飯を食っているわけにもいきませんお 　　　 ／⌒（__人__）⌒::::::::＼ 　　　 |　　　|r┬-|　 　 　 　 | 　　　 ＼　　 `ー'´　 　 　 ／ ⊂⌒ヽ　〉　　　 　　　 ＜´/⌒つ 　 ＼　ヽ　 　　 　 　 　 ヽ　/ 　　　＼_,,ノ|　　　　　 ､＿ノ .
7
　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　やる夫の長兄は結婚もし、 　　　二人の男子をもうけていて、近く父の跡を継ぐらしい。 　　　次兄は十年も前に養子の口があり、 　　　他家の人となっている。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ながいけ　　　　　　／￣ゝ　　　 /| 　　　　　　　＿＿／　／　　　　　| |　　　/| .　　　　　／　　　　　/　　　　　 ./ .|　　 .| .| .　　　 ／　　　　　　 ＼＿＿＿/　/　 　 | .| 　　　/　　　　　　　　　　　　　 　 /─--/　ヽ　　　　 /| 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　 ./　　　 |　　 ＼＿／　＼ .　　/　　　　　　　　　　　　　　 /　　　 /　　　　　　　　　 ヽ 　 /　　　　　　　　　　| ヘ　　　|/| ﾍ　.|　　　　　　　　　　　| 　 |　　／￣￣ヽ　　　|　　＼　　/ ヽ∨　　　　　　　　　　　 ＼ 　 |　/　　　 　 (　　　 ＼　Ο＼.|∧|　 ＿＿＿　　　　　　　　 | 　 ヽ|　　　　 　 |　　　.|ヽ_──　人_／Ο 　／　　　　　　　　 | 　　 |　　 |ヽ＿/ /|　　|　 .∨￣ l|　|l丶 ─ /　／￣￣￣＼　 | .　　　　　|　　　/|｀　　| /￣＼　ﾍ_/　.＿∨ ./　　　　　　　|／ 　 　 　 ┌───────────────────┐ 　　　　　 ＼　/　＼　 ゝ＼::∨＼＿／:://　/　　 　 　 　 　 　 　 　 　 │.　　　　 　 　 　 　 ...,､　.,、　,､.　 　 　 　 【次兄】 │ 　　　　 ／￣￣￣ ＼　|　 |::::::::::::::::∨// ∠　　　　　　　 　 　 　 　 　 │　　　　　　　　　　 ./i|　 |:|　|.i:l、　　　　　　 　 　 .│ 　￣＼_|　　　　　　　 ヽ|　 |/|＿_∧_//　／　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　 　 　 | l.|＿|:|_ﾉ l :|,-　　　　 　 　 　 .│ 　　　　 |ヽ　　　　　　 /ヽ丶-　　＿ﾉ/／|　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 │. 　 　 　 　 ＿＿ l`L、_〈_〉 l__/_ll.|　　　　　 　 　 .│ 　　　 |/　 ＼ ＿＿／　　＼__/＿_／　　|　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 │. 　 　 　 　 ｀‐-､::`-_ｲYムY_/-'　　　　　 　 　 　 │ 　　　 |　　　＿＿ノ　　　　　　　　 /　　./　　　　　　　　　　　　　　 　 _│　　　　　,.:-:⌒:`:＼::::＼TTﾚｲ　　　　 ＿＿＿　....│ 　　　 |　　　　 ノ |　　　　　　　　　|　　/￣＼.　　　 ,ｨ,= |￣｀i!,..ｨ,,,..＜.ﾞ│　　　　 ,'::::::::::::::::::::l＼::::::＼::::L＿__,,-':::::, - '"　　.│ 　【父】 　 　 /　　＼　　　　　　　 .|　　　　　 .＼ 　 l､r'/tｧﾌ(／/　　 /.│　　　　 l::::::::::::::::::::/:: ..＼::::::＼_,,-'':::::::／　　　　　│ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ｀〈-'´ﾐ /,./　 r'´/ﾞ│　　　　.冫--- ､ノ::>ー_...＼:::::::::::::::／、`l 　 　 　 │ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ∠ヽ‐,r'´ 　 /:::::l:::ﾞ│　　　　/　　　 /:／:::::::ノ_ノ::＼__／..l::::i::l|　　　 　 │ 　　　　　　　　　 r＝ﾐ､　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／::/　　＞'::::::::::', │　　　 /　　　 / ::::::_,,-─''￣`-、_::::: :: |_ｲ　　　　 .│ 　　 　 　 　 　 r'＝ミ､ 〉-､　　　　　　　　　 　 , ｨ_,イ}::::::|＞'´::::::::::::::::::.ﾞ└───────────────────┘ 　　　　　　　 /⌒ヽ ノ:::::::l }_　　　 　 　 　 　 .|　´　/::::::::::::,r=＝=ミ､ ::::::::::::::::} 　　　　　 　 Y⌒ヽﾊ、::::/ /}::＼　　　　 　 　 .|,､_, ｲ::::::::::://"´￣ ｀' ＼::::::::::::| 　　　　 　 　 ＼_ノ:::::ｰ'::::::ﾘ:::::::::＼　　 　 　 ,ｨ::::＼i!､＿/./　　　　　 　 ',:::::::/ 　　　　　　　 　 }ｰ ''´::::／::::::::::::::::::＼　 ,.＜八:::::::::|｀￣´　　　　　　　　ヽ_/ .　　　　　　　 　 ',｀ー ':::::::::::::::::::::::::::::::Y　　　　＼_,j　 　 　 　 　 　 　 　 / 　　　　　　　　　 ｀''＜::::::::::::::::::::::::::::::::ﾘ　　　 　 , ｲ　　＿＿＿　　 　 　 { 　　　　　　　　　　　　 ｀''＜::::::::::::::::／､＿ ＞''´ /''"´::::::::::::::::::::::｀'・=- ､ ', 　　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐''´ー''"´ 　 .／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::【長兄】 　　　 　 - 　- 、 .　 　 / (● ●）ヽ .　　　ゝ（_人_） ノ　【やる夫】 .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　やる夫は小男の上に、 　　　幼少のころ、疱瘡にかかり、 　　　その痕が薄いあばたとなって残り、あまり冴えた容貌ではない。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 【BEFORE】 　 　 　 /| 　 　　/　l 　 　　l 　 ヽ、　 　 　 　 ___　 　, ｨ　,ｲ 　　 　ﾄ 　 　 丶 、　 r'´＿ヽ二´ Y_ﾉz､ ヽ　 　ｌ ＼　 　 　 ￣´ﾍ::::::::ヽ! ヽ　r―ｧヽ 　 l 　 ! 　 丶､ _　 　 　/::::::::::::|　 l　￣/l |＿　 　 　／| 　 |＿_'､ 　 　 　 ￣´ﾞY:::::＜￣＼ゝ- '_/ｲ 　 ￣￣　　l 　｜::::::::＼　 　 　 　　}:::::::::::￣´::::Ｋ二>j 　 　 　 　／ .　 |:::::::::::::::＞- 、　　/:::::::::::/￣￣ﾊ:::::/------ イ ::　 |::::::::::::::/　 　＞７l::::::::::/----/､ l:/　 　 　 　/ ::　｜:::::::::::::l／´　丶､＼::/　 　 /　 /＿＿_,. - '｜ l::　 |::::::::::::::ヽ　 　 　 ＞ ＼---'､ _/:::::::::::ヽ　 　 l |::　 l:::::::::::::::::ヽ　 ／　 　 　 ７ Tイ:::::::::::::::::|　 　 | l::　 l::::::::::::::::::::::＼　 　 　 　/　l/:::::::::::::::::::/　 　∧ |::　/＼::::::::::::::::::::::≧- ､ ／　イ:::::::::::::::::::/　 　/::::ヽ 　　　　　　　　　　　　　▼ 　　　　　　　　　　　　　▼ 　　　　　　　　　　　　　▼ 【AFTER】 　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_ 　　　　　　　　 　 ／ 　 　 　 ＼ 　　　　　　　　 ／　 ⌒ 　 ⌒　 ＼ 　　　　　 　 ／　　（●）　（●）　　＼ .　　　　　　 l　 　 ⌒（__人__）⌒　 　 ｌ 　　　　　 　 ＼　　 　 ｀⌒´　　 　 ／ 　　　　　 　 ／　　　 　 　 　 　 　 ＼ 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　けれども、性格がまことに明るいのは、 　　　やはり二千石の家に生まれて、 　　　何事にも大様に育ったからだろう。 　　　神谷新七郎は、やる夫の心情を気に入っており、 　　　なればこそ、風鳴翼との試合をすすめてみたのだ。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
9
　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　当日のことは、海野小平次が間に立ち、 　　　誰にも知られぬようにことが運ばれた。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　 　 　 　 　 　 ,,,,r‐==‐-､ .　　　 　 　 _,,rf‐=〃〃彡彡三ミｭ､ .　　　　 rf〔ミ《巛彡;,彡´`ﾞ巛三;;ﾐミｭ .　 　 　 {ミミﾐ》i!rf¨ﾞ;::.　　　ミミミミミﾐ 　　　 　 ミ广ﾞﾞﾞﾞ,´ /:: .___::... ｀`'ﾐﾐミミミｭ 　　　　　ﾐ1　　:;;; ::ゞ‐ｔｧ=‐ .､::....ﾐﾐミミミﾐ､　　　　それではかくかくしかじかということで .　　　　　ﾐi　=ｔｧ.》 ;;;;:　 　 　 ';:::..ﾐ)刀ミミﾐ､ 　 　 　 　 ii!　ﾞﾞﾞﾞ〈,．,,､　　　 ,.'::::...､夕ﾞミミﾞﾞﾐ､ 　　　　　　 `､ 　 ,;;;;;;;;;;;;;;;,,､　',;:::::ll;;::. レ巛ﾞ､ﾞ､‐-､, -‐‐ 　　　 　 　 　 ヽ lili!'ﾞﾞ¨ﾞﾞﾞ｀``　 ﾞ:::.》:　　　',ﾐミﾚ′;;::: 　　　　　　　 　 ', 　 'ﾞﾞﾞﾞﾞ`　　 ;; ／;;:.　　　',ﾐｿ;;::...　　 ／ 　　　　　　　　 , ﾍ　;;,,,,,,　 ;; ／;:: : ;;:. 　 　 《;::..　　／ 　　 　 　 　 ／;;;;;;;!　 ''ﾞ´ ／;;: :　　;;;::. 　 　 》;;:.　/ 　　 　 　 ／;;;;;;;::::::｀','⌒´:::::::::: 　 _;;;.. ‐-､;;;||;;:. / 　　　　 〃;;;;;;::::::::__:::ヽ--‐‐=＝升 　 　 .|:::||__/ 　　　　　　　　　　　　　　▼ 　　　　　　　　　　　　　　▼ 　　　　　　　　　　　　　　▼ 　　　　　　　　　／　　　　| 　　　　　　　　/　　　　　　| 　| 　　　　　　　 ｌ　　／￣￣￣　＼ 　　　　　　　 |／　　　　　　 肉　＼ 　　　　　　　/　　　　 ＿　　　　　　ヽ 　　　　　　Ⅵ　　　 イ　・　｀┬　・⌒}ｌ 　　　　　　　|　　　　|＿＿ノ　　| ＿/|　　　かくかくしかじかの段取りで 　　　　　　　|　　　　　　　　　_　`ヽ　| 　　　　　　　|　　　　　　,　 ┴亠‐く　| 　　　　　　　ﾊ　　　　/　　　　　　　ヽ| 　　　　　　/　 ＼　　|　　 ￣￣　　 |イ^ヽ ＿ 　　　　　　　　　　＼.l　　　　　　　 /| |　　| 　　　　　　　　　　　　＼＿＿＿／| | |　　| 　　　　　　　　　　　　　　▼ 　　　　　　　　　　　　　　▼ 　　　　　　　　　　　　　　▼ 　　　　　　　　　　　　　- 　- 、 　　　　　 　 　 　 　 / (● ●）ヽ　　　わかりましたお 　　　　　　　　 　 　 ゝ（_人_） ノ .
10
　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　その日の朝、永井やる夫は供の足軽を従えて、 　　　いつものように神谷道場へおもむき、稽古をした。 　　　供の者はやる夫を送り届けると、 　　　一度、帰邸し、帰る時刻になるとまた迎えに行く。 　　　このあたり、流石に二千石の三男坊だ。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　　　　　　ξ 　　 　　　／￣￣￣＼ 　　　　／ ／ 　 　 ＼ ＼.　　　　 供をつけるなんて、大げさだお。 　　 ／　 （●） 　（●）　 ＼ 　　 |　　　　（__人__）　　　　|　 　 逆に同門の連中に笑われてしまうお。 　　 ＼　　　 ｀ ⌒´　 　　／ 　　 ／ 　 　 　　　　 　 　 ＼ 　　　　　　　　　 |　 | .─-- 　　　　　　　.／ ||　||　　)::::::＼　ﾀﾞﾒｰ 　　　　　 ／::( ノ.￣|￣::::::::::::::::＼ 　　　　／:::::::.//　 /＿._::::::::::::::::::::＼ 　　　/:::::::___.|ﾍ__/。／/:::::::::::＿＿::::＼. 　 　 つけないなら、つけないで、 　　 /::::／　 .|ｿ__￣ｿ .|::::::::::/　　　.＼::ヽ 　　 |:::/　 　.∧─-　./＿:::::|/|　　　　∨　　　それを笑う者も居るのだ。 　　 |/ 　　 　 .ﾍ＿／＞ ﾍ:::／ 　　 　　　　　　　|　/　　　 ＼──´￣￣ 　　　　 .＿.ヽγ　/　　 __ゝ─　/ 　 .／￣　　//ヽ　／￣|::|　　　.| 　/　　 γ .|::|　 |　　　 .|::|　　　ﾍ　　＿　/ 　|　　　/　 |::|　 |　　　　|::|　　　 .| 　|　 　 |　 .ﾍ|　 |　　　　.|::|　　　 .| 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　やる夫は供はいらぬと、常々、言っているのだが、 　　　父の永井兵庫が許さない。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
11
　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　二千石でこれなのだから、 　　　七千石の旗本となれば、町道場なぞへ子息を稽古に出すまい。 　　　故に、風鳴翼の言動が、 　　　いかに武家の常識から外れたものか、 　　　およそ知れようというものだ。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　　　　　　　　　/: : :: : //＞: : : : : : : : : :{/: : 〈77: : :＼: : : :＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　{: : : :／: : : : : /: : : : : : : ,: : : : ﾏﾊ: : : :}ヽ: : : : ＼ 　　　　　　　　　　　　　　　 /777: : : : :.:.:.:/: : : : : : ://{: : : : }:＼ﾍ: }: :ﾊ: : : : : :.. 　　　　　　　　　　 　 　 　 ////{: : : : : :.:/: : : : : : :/⌒{: : :.:.:l: : :}/ﾊ: : : }: : : : : :ﾊ 　 　 　 　 　 　 ＿　 　 　 f/{//il: ＼: :.:/: : : : : : :/　　 ,: : :.:.|: :.:}//,}ィi〔7: : : :／:} .　　　　　　　／//{　　　　{/}}　i{: : : :＼: : : : : :／ 　 　 ､: :.:.}: : :}／//,/: : ／/: :.l 　　　　　　 ////:ﾊ　 　 　i{/{{　i: : f 笊ミ{:.:.:／　__　斗七＜}: : / ＼///7　 /: :.:.| .　　　　　 ////,.......,　　 /　,/l!　{: /　vzﾘ／ 　 　 ,x斧云ﾐ: /: / /:.//／{　 ,: : : :.| 　　　　　/////!.....∧ ,　　 ∨{　i!〈　 ｀^　　 　 　 　 Vり／: :./ /:/／　/　/: : :.:.:.| 　　　　 /////!{........../　　 　＼　:∧　　 　 ,　　 　 　 　 / : / /:// 　 /,／/: : : ‰ .　　 　//////,{.....／　　　　　　ゝ: ﾊ　　　　　　　　　　/:.:./ //,/　／,〈　/: :.／ .　 　 ,//////,'{ｨ　 ＿＿_　　　　{:{　　　　v　　y　 　 /: : :{__{{_ゝ＜　 ＼: ／ 　 　 ///////,} ／::::::::::::}　　　 /ﾘ　　　　　　　　　＜: : ／／ ／ヽ／:.:／ヽ　　　　　　　　　‐= .　　///////／:::::::::::::: : |　　_　{￣丁^, －　爪　　/: ／／ ／　　 }:／＿ 　‐=　　　　 　 　 　 =‐ . 　/////!／::::::::::::::::::::: / ／　 , ィi〔:.:./　 ヽ　 }　 廴＿　　 ‐=ﾆ二　　　　　　二ﾆ=‐　　￣ 　///／ f:::::::::::::::::::::::／^　　／／＿　 ‐=ﾆ二　　 　　　　 二ﾆ=‐　　 ￣　　　} ./,'／　　i{:::::::::＞''´　　‐=ﾆ二　　　　　　二ﾆ=‐≦:.:.:.:.:{￣　/　　　　　　　 　 / ‐=ﾆ二　￣　　　　　　　 二ﾆ=‐ア:.:.￣:.:.:.:.:.:.:＼　　ィi〔ｱｱｱｱ≧s。　　　　　/ 　　　　二ﾆ=‐　 ￣　　/　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／/////////////≧s。　/ 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　翼は、別邸に生まれ育ち、 　　　いまもそのつもりでいるが、 　　　本来ならば、武芸指南役を招き、 　　　屋敷内で稽古をするべきなのだ。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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.　　　　 　 　 ,.'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ 　　　　　　　 |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i .　　　　 　 　 i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾘ .　　　 　 　 　 V::::::::::::::__::__::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ 　　　　　　　　　Y¨ヽ:::〉　_,,､`＜::::::::ﾊ:::::,. ,､i::／ 　　　　　 　 　 f } }}ゝ/-'´,--ゝ､_｀`'　ﾞ_,ィ/ ﾞi/ 　　　　　 　 　 ゝ‐ｧ‐h. Y:.:.:.:.:.:.:.:.}"　/≦ﾟ-'.i 　　 　 　 　 　 　 {.} i__i,人:.:.:.:.:.:ノ　　|　　 ./ .　 　 　 _.,.､.-≦／:ﾊ iN.､ ｀¨.._,,,_ ､_ | __ ,.'≧::....､＿＿＿＿ ‐::':::´:::::::::::::::::,.:'::::::|　','､:'､`ﾞ'"､＿＿,ﾞ." /`'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀:`:: :::::::::::::::::::::::::/::::::::::|　 ヽ',::ヽ 　 `ﾆﾆ 　 ii:::::::':､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::::::::/::::::::::::|i　　 ヽ:::ヽ,..-::‐::-:..i:i::::::::::::'､::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::::::/::::::::::::::i '､　　 ヽ::::::::::::::::::::::ﾊ::::::::::::::',::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::::/:::::::::::::::::i　ヽ　　/',--‐‐‐--.' i::::::::::::::::',::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::,'::::::::::::::::::::i 　 ＼/　〉:::::〈. `'　　|:::::::::::::::::',:::::::::::::::::::::::i::::::: ::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::i　　　　/::::::::::',　　　|:::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::i::/:: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 風鳴家の家老や用人たちは、 　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ 　　　　　　　　　　　　　　　／:o:＼　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 「いまのうちに、翼さまとの養子縁組を解き、 　　 　 　 　 　 　 　 　 ,　'　i:::::o:::i. ｀　､　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 別に御養子を迎えるべきではないか」と、 　　　　　　　　　　,　'､　 '､　i::::o::i　 /　 i` .､ 　　　　　 　 　 ｨヽ､　 ヽ.,､-‐'¨¨¨`'‐-./　 ／/|　　　 　 　 　 　 　 　 　 真剣に相談をしていたし、 　　　　　　　 /､,i .'､ゝ／-　__,.‐‐､__　 -ヽ. /i ∧　　　　　 　 　 　 　 　 主人の内蔵助へも、それとなくすすめている。 　　　　　 　 ,'　　i i '､i ,rﾀ´_　ゝン_ ｀`ヽ V.ｨ./.　', 　　 　 　 　 | ‐‐-i n.'､/ ---､ニニ,---.V ｸ/‐‐　|　　 　 　 　 　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　 　 V ＿_i iﾍ.| ｨ≧ ､ _ _, ≦ャ | iﾘ/--. / 　　　　　　　 V　　 V　ゝ　亡ケ_ﾏフ　 f././､_　/ 　　　　　　　　ヽ' ´　ゝ:ﾍ._‐.ノ｀ﾆ´ゝ､ノiﾊ､　 ／､ 　　　　　　 　 ／＼.'´7ｸﾚ:ﾍ ヽ;;;;;/./ｹN.　／　　.ヽ 　　　　　 　 /｡'ヽ　 ｀ゝ ､, i__ヽww/__i,､- '　　 　 ｡.ﾊ 　　 　 　 　 7:＼｡'ゝ　　　　Vi i i i iV　　　　,､｡ .,､‐エ .　　　　 　 /::i::::::＼｡＼.＿／i i i i i ＼　／｡ ／:i::::::::| 　 　 　 　 {::::::i::::::i:::::＼__. 　 i i i i.i.i､　__, ､‐'::::i:::::::::::::} 　 　 　 　 ヽ::::::::::i:::::::'､:::i. 　 i.i i i.i.i　　 i::/:::::::::ゝ:::::::/ 　 　 　 　 　 ゝ::_i:::::::::::::i.　 　i.i.i i.i.i.　 　i::::::::::::::i_::／ .　　 　 　 　 　 /:::::::::::::i　　　 i.i i.i.i 　 　 i::::::::::::::::::＼ 　　　　　 　 ／:::::::::::::::i　　　　i.i.ii/　　 　 i::::::::::::::::::::::ヽ .　　　　 　 f::::::::::::::::::::i　　　　 i.i,' 　 　 　 i::::::::::::::::::::::::::i 　　　　　　 i:::::::::::::::::::::｀ ' ‐ ､ ii' 　 ,､‐ ' ´::::::::::::::::::::::::::ﾘ .　　　　 　 /:::ニニ:::::::::::::::::::::::::｀´:::::::::::::::::::::::::::ニニ:::へ .
13
　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　七千石の旗本ともなれば、 　　　五万石、十万石の大名家から、養子を迎えることも可能なのである。 　　　しかし、内蔵助は、いまもって風鳴家の血筋にこだわっているのだ。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　　　　＿ 　　　　　　　　　ノ´:::::::￣:｀ヽ＿ 　　　　　　　　.ﾉ:::::::::::へ:::::::.ﾊ│ 　　　　　　　　ﾉ:::::::ヾｚ== ´〆乂.ｲ.个 　　　　　　　丿::::6∥＇..丿ﾐ　..　　　ヾ 　　　　　　　厂::::..∥ ┏人　...　　　　八 　　　　　　　乂イ´个ヽ八　　...　　　　..彳 　　　　　イ´　∥　ヽ λ　卞⌒｀ヽ　　勹 　　rイ´　　　..∥　　卜Κ 乂　　 χ　彡 　f´　　　　　　∥　　.弋乂　弋／　＞│ゝ 　{　　　　　　　∥＝＝ 人刀匕つ´.》 │} 　 {.;.; 　　　{　　　≪　　ﾉ　　.　　..}// │..} 　　《　　　　{　　　　　ミ了　　　.;.;ﾉ　 │　} 　 　{.;.;.;.;　　{:.;:.;:.;:.;: κ丿　　.;.;ノ.;.;.;;/ ）　} 　　　{.;.;.;.;　　{:.;:.;:.;／　入.;.;〆´.;.;.;.; ソ　　} 　　　 {.;.;.;.;　　{／　　　.;.;少.;.;.;.;.;.;.;/.;.;.;.;／ 　　　　{.;..　／　　　.;.;○／.;.;.;.;.;.;.;.;.;!／ 　　　　 {.;.;.;.　　 .;.;○／.;.;.;.　　　　│） 　　　　　{.;.;.;.;.;.;.;.;／∥/´丶　　　　ソ! 　　　　　个一ノ..;.;.;∥ !　丿　　　　　│ 　　　　　/.;.;.;.;.;.;.;.;.;.∥　ｿ　　　　　 　│ .
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／／ 　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／／ 　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 , -r／／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ､.}'_ノ＝ﾐ< 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,rﾐr=γ:､ ヽ::.､＞ ., 　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,ｨﾊﾉ〉‐'',:::::ﾍ　',::＼ :::＼ 　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／ﾚγ＞ .,:',:::::::＼',:::::::::::::::ヽ 　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／, ,ｲ:ﾞ,'γ´:!.｀Y､::::::::::ヽ,r=＝ミ:! 　　　　　　 　 　 　 　 .／／//::,' /:::::::|　.!...',:::::::::/　 　 　 ＼ 　　　　　　　　　 　 ／／　,ﾞ/::::!/::::::::::|::/　 乂__l　　　　　　 .＼ 　　　　　　 　 　 ／／　　,'/ﾞ:::::::::::::::::::l/　　　　 |　　　　　.γ⌒＼ 　　　　　　　 .／／　　　..|::::γ⌒ ヽ::/　 　 　 ./!＜　　　 /::::::::ミ､:ヽ 　　　　　　／／　　　　　.|:::/　 　 　 ',　　　　 ,' .ﾍ　｀'' ＜＼::::::::::::ヽ}! 　 　 　 ／／　　　　　　　!,'　 　 　 　 ', ,jヽミ､l::＼｀ヽ 　 .｀Yﾍ::::::::::::::',　　　　__,ｎ__　　r‐―┐ 　　 .／／　　　　 　 |! 　.,' 　 .,. -―ミ ,'ﾍ !〉'_,',:::::::＼.｀Y　 |　.}::::::::::::ﾘ　　　　`弋乂 　｀ア／ 　／／ 　 　 　 　 　 !ゝ ,j　／:::::,,.. ･''〈::r‐ﾊ'ｰ'l':,::::::::::） !　 l　,':::::::::::,'　　　 　 ( ⊂´ 　　ヽつ '''／　　　　　　 　 　 ゝ ｀¨'''''''¨´ ,,.ｨ'''´',｀〈´〉ﾐ|/,ｨ,'=ﾐ:::::＼_〉':::::::::,ｨ　　　　 　　￣ '　　　　　　　　　　　　,'｀''＜_,. ｨ''ﾞ_,,.. ＜ﾍﾘ｀ｰ'´:::{::::::j:::::}::::ゝ-‐'':::〈 　　　　　　　 　 　 　 .{:::::::ゝﾐｰ='´::::::::＞''＞''"/:::',ｰ '::::ﾉ:::::::::::::::::::::} 　　　　　　　　　 　 　 ',::::::::::::〉´::::::／>''´ 　 ./:::::::ゝｰ '::::::::::::::::::::::/ 　　　　　　　　 　 　 　 ＼::::/＞ ./／　　　 ./:::::::::::::｀''＜:::::::::::::／ 　　　　　　　　　　　　　　 y　　 /´　　　 ／:::::::::::::::::::::::::::｀￣´! 　　　　　　　　　　　　 　 /　　 ,' 　 　 ／:::::::::::＿:::::::::::::::::::::::::::| .　　　　　やる夫　→　 ,'＼ 　{ 　 .／::::::::＞''"´ 　 ｀'･ .,:::::::::::ﾘ 　　　　 　 　 　 　 　 　 {:::::::＼,. ＜::::::／　　 　 　 　 　 ﾍ:::::::/ 　　　　　　　　　　　　　 ',:::::::::::!:::::::／　 　 　 ＿,,,...,,_ 　 ﾘ:／ 　　　　　　　　　　　　　　ヽ＼::',／　　　,. ＜ ,,.. - ､　ヽ/´ 　　　　　　　　　 　 　 　 　 ',　｀',　　　/　 ／ 　 　 .＼〈 　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ', 　.',　　 |　/　　,,.. -―‐-'ヽ 　　　　　　　　　　 　 　 　 　 〉 , ﾍ_　 |./,. ＜::::::::::::::::::::::::::＼ 　　　　　　　　　　　　　 　 _/／-､_lヽ.ﾚ'::::::::::::::::::::::＞''"´￣｀ヽ 　　　　　　　 　 　 　 　 , ｲ:/ ,'＞ .,　 |:::::::::::::::＞''´　 　,,.. -―-＼ 　　　 　 　 　 　 　 　 ,ｲ::::/ .,'_　 　| : |＼::::／　 　＞''´　 　 　 　 .＼　　　＿＿＿＿ 　　　　　　　　　　　 /::::::,'／!　｀'ｰ'　 |　 y'　　.／　　 ,,.. -―‐ｧ‐=''''''¨"´　　　　　　　｀¨'''''‐- ..,,_ 　　　 　 　 　 　 　 /::::::::l 　 !､　　　　.',／　.／　　>''´::::＞''"´ 　　　　　　　　　　/:::::::::::|　/',　＞ ., 　 ', ／　　／::::::／ 　　　　　　 　 　 〈::::::::::::::|/　',- .,　 ∨　l!　　,ｲ::::::::,ｲ 　　　　　　　　 _,,..=＝ﾐ､::|　/,',　 ＞ ,! / 　 /:::::::::/ 　　　　,,,,...　＜　　 　 　.＼!　 ',　　 　 { 　 ,'::::::::::{! 　,. ＜　　　　　　　　　　　 ∨　', 　 　 .',　.{:::::::::::{ 　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ.　':, 　 　 ',　',::::::::::l ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ .
15
　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　この日、永井やる夫は、供の者へ、 　　　「今日は少し遅くなる」と言った。 　　　このようなことは、珍しいことではなく、 　　　供の足軽は、別に不審を感じなかった。 　　　道場で門人たちが師を囲んで酒宴をひらくこともあるし、 　　　稽古が長引くこともある。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　＿圭＿＿＿＿_ 　　　 ／／／／／／／.ヘ. 　　／／／／／／／／ `lへ. 　　￣||ﾆlﾆ厂|ﾆlﾆ｢l~｢ ∩ l￣ 　　　 |`┴ﾉ　l`┴' |｜ | | | 　　　 ﾚ'l´l^'i'^l｀lヽ |｜ | | | 　　　 Ｌ.ＬＬ.Ｌ.ＬＬ.LＬl -''"~ 　　　　 　 　 ＿＿＿_ 　　　　 　 ／　　　 　 ＼ 　　　　 ／　　 ―　　 ―＼ 　 　 ／　　　（ ●）　（ ●）ヽ　　　暮れ六ツ（※午後6時）に迎えにまいれ。 .　　 l　 　 　 　 （__人__）　　 | 　 　 ＼　　　　　｀ ⌒´ 　 ／ 　 　 ／　　　　 　 　 　 　 ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ∧＿∧ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （｀　 　 ,）　　　ははぁ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ 　 　 ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　,　　ハ　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　/l　 　 　 | 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 （　ヽ |　　　　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＼ ＼　 ○ l 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 〈_,_ﾉ　 r'　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　|　 | 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　|　 | 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　|　 | 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　|　 | 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　|　 | 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　|　 | 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　|　 | 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ノ　　|　 ﾄ､ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 (＿＿,ﾉ＿_ﾉ .
16
　┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　やる夫は午前中の稽古をすませ、 　　　持参の弁当をつかってから―― 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＿＿__ 　　　　　　　　　　r､　　　　　　 　 　 　 　 　 ／　─　 ─＼　 ／　／ 　　　　　　　　 ⊂' |　　　　　　　　　　　　 ／　 （●）　（●）＼　／ 　　　　　　 　 　| 　|　＼　 ＿＿_ 　 　 　 |　 　　 （__人__) __＿|_＿＿ 　　　　　　 　 　|　 |　＼ ,-　 ─ ＼　　　 ＼ ＿∩r─　　　　　　　　） 　　　　　　 　 　|　 |　　(●） （●） .＼　　 ／　/ ﾉゝE´￣/￣￣ ￣ 　　　 ＿＿__　　|　 ＼| （__人__）　 　 |　 /　 ／　l　　 　 /　＿ _　_ 　 ／ ─　─ ＼ ＼ 　＼　 　 　 　.／　 l ／　 ／　　　/ ／　 (●） （●）.＼ ＼　　　　 　　＼　　＼_／　　　　/　￣ ￣　─ | 　 　 （__人__） / )　　 ￣ヽ　　 　　 ＼　　 }　　　 　 |　　二二二 .＼　 ＿ 　＿　 |　|￣　　　 !　　 　　l　!　 ,/　　　　　l　─ ─ 　 / ）　　　　　/ /　─‐ 　 .| 　 　 　 |/　 /　　　　　/　─ ─── ─ 　 l　|　　 　 　 / 　 　 　 　 | 　 　 　 |　 / 　/| 　　/ 　 |　ヽ　　　　ヽ　　　　　　 ヽ　 　 　l ,/　 / /　　/　─ ─ ─ 　 ヽ_人　　　　 ＼ ──＿＿__￣｀ヽ〈/　 / /　　/ 　　　　 ＼　　　　 ＼ ／─　─ ＼ |　!　/ /　　/ 　　　　　　＼　　　 ／(●）　（●)　＼|,/　 ＼　＼ 　　　　　　　 |　　　| 　 （__人__）　 　 ||　　　　＼　＼　　　 ノ）　＿＿ _ 　　　　　　　 | 　 　 ＼ 　 　 　 　　／──‐-､/￣￣￣￣ 　＼　＿＿ ＿＿ _ 　　　　　　　 |　　　 /／　　　　と ﾉ＿＿＿ ノ　 /´／￣￣￣＼)　　＿＿＿＿ _ 　　　　　　　 |　　　/　　　　　　 / ＼　 ＼　 |　 ／　 　─　 ─ ＼ 　　　　　　　 /　　/　ﾊ　 　 　　ヽ　　＼　 ＼＼| 　　　(●） （●) | 　　　　　　 ./　　/　/　ヽ　　　　　￣＼ ＼　 ＼.＼ 　　（__人__）／＿ _ 　　　　　　/　　/　/　　 l　　　　　　　　＼ ＼　 |　 　 　 　￣＼　　　＿＿ _ 　　　　　./　　/　/　　 /　　/￣￣＼　　/　　＼ヽ　　　　　 　　＼　　　＿＿ _ 　　　　 /　　/　/　　 /　　/　　　　　（＿_）　　　| |　 　 　 　 /＼　＼ .
17
　┏━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　師匠の居間へおもむいた。 　┗━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　|┃ 　ｶﾞﾗｯ.　|┃ 　　　　　|┃　 ﾉ//　　　.／￣￣￣ ＼ 　　　　　|┃三　　　　／　 ＼　　 ／　＼ 　　　　　|┃ 　　　 ／　　（●） 　（●） 　＼.　　　先生。 　　　　　|┃　 　　 |　　　　（__人__）　　 　　|　　　では、行ってまいりますお。 　　　　　|┃三　　 ＼　　　 ｀ ⌒´　　　　／ 　　　　　|┃三　　 ／￣￣￣￣￣￣￣ ＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　/ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　′／ 　　　　　　　　　　　　　 　 , ´ 　 ,'　', 　　　　　　　　　　　　　　/　,. -┴ ┴ .、 　　　　　　　 　 　 　 　 /／ 　　　　 　　ヽ 　　　 　 　 　 　 　 ∧_〃　　　　 肉 　 　 | 　　　　　　　　　　 ,'ﾍノl 　,-､　　 　　 　 _ |　　　うむ。 　,　-―-　 ､　　　|　　| 　ヽ.__｀¨ﾌ r一 ´.ﾉi　　　帰りに寄るか？ ´　　　　　　 ｀ ｰ '"¨フﾚ,タミ:ｪ｀（＿）ｰ_."¨| ，　　　　　　　 ､　 　　 ヾヽ、｀ﾞー一' "ﾌ.ノ ｀　　　 　 　 ＼rﾞﾍﾆ、ヽ、｀丶ミ二二彡" ｀ヽ＿__ 　　　　　 ,.-く　＼､　＼ ﾞi､_　　　　　　　 ノ　　　 　｀丶、 、_＿_ ／ 、　ヽ　 }ヽ、 |_Lノ｀ヽ,.イ¨￣´　　　　　 　 　 ﾍ ´:::::::｛　　/　 /　/　ノｰ´､＼ 　 |　　　 　 　 　 　 　 　 　 ﾍ ::::::::::ヽ、 ｀¨´｀ ´／　　　 ＼＼ |　　　 　 　 　｀ヽ.ノ　 　　 ｀＞ ､__ ､:::::__＞'"¨¨¨￣　　　　　　　＼＼　　　　 　　 　 ',_＿＿_r '''''ﾞ~ '"´/　ヽ　　　　　 　 　 　 　 　 j＼＼　 　 ,.ィｸ壬三三三三三三ミｭ、 ／　　 　＼　　　　 　 　 　 　 ﾉ　　　　.イニ三＞'"´￣￣￣￣ ¨｀ﾞヤ 　　　　　　 ｀ー-------一 ´ ヽ、　　仁＞'"´ .
18
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ 　　　　　　＿＿＿_　　　　　　/ / 　　　　 ／＼　　／＼　　　／ / 　　　／（ ⌒） 　（⌒）＼／　 /　　　はい。 　 ／ :::::⌒（__人__）⌒:::::＼ /　　 　 結果を申し上げに…… 　 |　　　　　|r┬-| 　 　 　 | 　 ＼ 　 　　｀ ー'´ 　 　 ／ 　　／　　　　　　　　　 ＼ 　/　　　　　　　　　　　 　＼ /　　／＼　　　　　　　 　 　ヽ 　／　　　＼　　　　　 　　 　ﾉ U　　　　　　ヽ　　　 　　 　ノ 　　　　　　　　　　/ 　　|　　　　　　ヽ 　　　　　　　　　　|＿_　|／ 　￣＼　│ 　　　　　　 　／ ＿ｌ＿　　　　　　　＼|　／ 　　　　　　/ 　　||_人_||　　　　　　　　V 　　　　　/　 　　||_人_||　　　　　　　　　V 　 　　　ｌ 　―:､」　{ 　 　　　|　{　　･| 　ゝ_ィ ･￣￣`ヽ　　　　　　　待っている。 　 　　　|　ゝ　　|　 　　|　　　　　 } 　 　　　|　　　／　 　　ヽ――‐ノ 　 　／│　　{ ＿＿ン　　　　　　　　　　∠ 　／　　| 　/ 　　　　￣￣ ＼　　　　/ /　| 　 　　　|　| 　　ゝニﾆフ　　　|　　　/ / 　:| 　　　　八 |　　　　　　　　　　| 　／／ 　　　/ 　　＼　　　　　　　　/／／| 　　　　　　　　　　　　|　|　| 　　　　　　　　　 ／￣￣￣ ＼　　ペコッ 　　　　　　　　／　　　　　　 .　＼ 　　　　　　 ／　 　＼　　　／　　 ＼ 　　　　　　.|　　　（ー） 　（ー）　.　　| 　　　　　　 ＼ 　　 （__人__）　.　　／ 　　　　　　　 /　　　 ｀⌒´　　　　ヽ .
19
　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　やる夫は木太刀を袋へ入れて持ち、 　　　道場を出て、近くで町駕籠を拾った。 　　　こういうところは、なかなかに世慣れている。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　／／／／／／／／ `lへ. 　　￣||ﾆlﾆ厂|ﾆlﾆ｢l~｢ ∩ l￣ 　　　 |`┴ﾉ　l`┴' |｜ | | | 　　　 ﾚ'l´l^'i'^l｀lヽ |｜ | | | 　　　 Ｌ.ＬＬ.Ｌ.ＬＬ.LＬl -''"~ 　　　　 　 　 ＿＿＿_ 　　　　 　 ／　　　 　 ＼ 　　　　 ／　　 ―　　 ―＼.　　 　 本所の外れ、小梅まで頼む。 　 　 ／　　　（ ●）　（ ●）ヽ .　　 l　 　 　 　 （__人__）　　 |　　　柳島の妙見堂の近くだお。 　 　 ＼　　　　　｀ ⌒´ 　 ／ 　 　 ／　　　　 　 　 　 　 ヽ 　　　　　　　 ＿＞:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|／| 　　　　　　　 ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.へ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.¨フ 　　　　　　 弋´:.:.:.:.,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.く 　　　　　　 ＜:.:.イ:.:.:.:/.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.!:.:!.:.:.:.ヽ:.:_,＞ 　　　　　　弋´.:.:.:.:.:.:/.:.:.:./ |:.:.!:.:.:.:!:.ﾊ.!.:.:.::.:＼ 　　　　　　 ＜:.:./.:.:/:/T ト､∨:.:.:/!レ小:.:!:.小､> 　　　　　　 ＜:八 小| 代圷 |:.:Ⅳｲタヽ小|ヽ!　　　　へぇ、わかりゃっしゃー 　　　　　　　 厶込､N　 ￣　ﾚ　!　￣ ﾑ、 　　　　　　　　　rｲ!.ハ　　　　 , j　　 八 ＼ 　　　　　　　　 /　V　 ヽ　 ｰ : -'　 ｲ　　 　＼_ 　　　　　　,. -へ.　 ＼　　>､ _, ィ ＼ /¨｢￣￣ `ー ､ 　　　　　/ 　 　　ヽ 　 ＼　 /　　', 　＼ !　　　　　　　}、 　　　　 /　　　　 / !　　　＼　　　|＼ソ | 　 　 　　／　 ＼ .　　　 /　　　　 /　 , 　　　/マニ/　/ ,厶　　　 ∠、　　　　ヽ、 　　　/　　　　 /　　 ',　　∧ G〉/　/ /　　＼／　　 ＼　　　　 ＼ 　　厶-―-､ /　　　 |.／　 ∨|/ ｒ' つ　　ノ Ｙヽ　　　　＼　　　　 ＼ 　　|　　　　　＼　　!　　　　　 |イ|　{レ '´　ｨク　)　　　　　｀　､　　 　＼ 　　|　　　　　　 ヽ　!　　　　　 |d |　　　 '　　 ／ ）　　　　　　　 ＼. 　　 ＼ 　　∨　　　＼　　|/ 　 　 　 　| ! 〉　　　　'　, ィ } 　 　 　 　　　　　＼　　　＼ 　　∧　　　　 ＼/　　　　　 　 ! /　　　　,.　-―'　　　　　　　　　　　　ヽ　　　 ヽ、 .
20
　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　嵐が去って、空が、さらに高くなったように思える。 　　　やや強く吹き渡る風が涼しく、 　　　道行く人々の顔が生き返ったように見えた。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　　　 ( ;; ;: ）　 ⌒ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　. ;.; .; :.: ⌒)　..;.;:⌒):.ノ 　　　　　　＿＿_ノ　 ノ⌒)　 .;;:.;.)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿,ノ　　　 　 ノ⌒) .;. :.:ノ、 :.｀)＿　_￣ ￣　 ＿　＿ ＿＿_丿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ￣　￣￣￣￣｀　　　　 . .. ;: ;.:.:;;｀ヽ _:;,） :.;....)´￣￣￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＿＿ﾉ⌒ーー'⌒ヽ　　 　 　 　 　 　 _ノ　　 　 　 　.. . .;: .:; .:_,ノ : .. ＝─　 －　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ￣￣ヽ . :. :;.;;;）;.;;ヽ　 　 　 　 　 　 ￣｀ヽ＿,ノ　⌒￣￣´ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ´`;　　　　　　　　　　`ｰｰ⌒‐-､__｀ー､__ 一⌒)　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　｀ﾞ´　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣ ::.:､::.｀ヽ＿ ー'￣￣´ 　/￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ 　|.　 ヘ(^o^)ヘ　　旦那。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 | 　|.　　　　|∧.　　　今年の夏の暑さは、ひどうござんしたねえ。.　　| 　|.　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 | 　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/ .
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┃ 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　　 　 　 　　・ 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　　 　 　 　　・ 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　　 　 　 　　・ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　： 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　： 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　： 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￤ 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 　 　　 　 　 　 ! .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　永井やる夫が、小梅村の万右衛門宅へあらわれたとき、 　　　既に、風鳴翼は真新しい稽古着と袴をつけ、 　　　離れ屋に待機していた。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|二ニﾆ=|ｉ:廴＿|:|｀`'|lー|─ーーー─|i:|─ーー‐|i:i:i:||────ー:|i:i|──────── _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|　l≡l　 |i:|¨ﾞ　''|:lニﾆ=-|ｪｪｪｪｪｪｪzzz|i:|zzｪｪｪｪｪ|i:i:i:||ｪｪｪｪzｪzzzzz|i:i|zzzzzzzzzzzzzzzzzz _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|ニアニニア　 :|:|¨:| |￣|_|_|_|_|_|_|_|_|_|i:|_|_|_|_|_|_||i:i:i:||　　　　　　　 |i:i| _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|∠___＿∠_ 　 :|:|: :| |: : |_|_|_|_|_|_|_|_|_|i:|_|_|_|_|_|_||i:i:i:||＿＿＿＿___,|i:i|＿＿＿＿＿＿＿＿ _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|`ァァ…ァ/ニﾆ|:|=:| |==|────‐ |i:|ー─ｰｰ:|i:i:i:||────ー:|i:i|─__─ ＜ﾆ＞ ── _|_|i:|,ｨﾆx|_|i:||i:|,ｨ{￣||x=x　　__|:|: :| |: : |　　　　　　　|i:|　　　 　 |i:i:i:||　　　　　　　 |i:i| ﾊ¨¨',..|ゞ==="| _|_|i:|{:::{__}_|i:||i:|_||_　 |ゝ-ﾞ|￣::,ｨ㌻|_|:_:_|¨¨¨¨¨¨¨¨___,¨¨¨___¨¨¨|i:i:i:|¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨{　)'^'} |ゞ==="|¨¨¨¨ _|_|i:|≧≦｡o≦i:i:ｉ|∠LLL|,.ィ㌻/|ｉ|ﾏ-_-_ｱ77777ﾉ｀¨´∨｀´∨7|i:i:i:|ﾆ＞─＜二＞_　ゝ--'　≧==≦　:,　:, ｡o≦「i:i:i:i:||i:i:i:i:i:i:|::|＿,,..⊥|_/////≧≦/////人::::::::人::::::人/|i:i:i:|=≦///≧=__......￣￣￣￣￣ ＼:,　:, i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:jI斗r≦)))-‐=ﾆ二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二.{ {{　　　　　　__.ﾞ￣￣|二二 i:i:i:i:,.｡o≦㍉＞''YYﾞ二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二 | ||-----､ /: ∧.....￣|二二 i:i:i:(_)＞'Ｙﾉﾉ　_ノ 乂_　　　　　 　 　 ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣....../// ⌒ ‐‐〈//: : ∧ﾞ￣￣￣ i:i:i:＞┴┴＼ー─‐‐ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ///{/: :≧=‐ 乂: / ∧ '"　　￣￣￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 , {ヽ//: :/ ,: : :.,: : }}: : :/ ∧ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ィi〔　∨,: : {〈/: : /}: : :.}〉 : : / }＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,: : //{｡s {　l: :l符: :/rz}: :./: : :.}: : { 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／: : :{/f　　{ 入ﾍ　 _'　／,ｨ〈777{/Ⅴ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／: : :／/::::} 　 ≧=‐＞＜,ｨ　///∧ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :ア/::::::::/}f---f 孑 ヽ ／',::∨/∧ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /: : :.／::::＜　{:.{　/:.:.:.:.:.: ∨ }---,::∨/∧ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 {〃 廴／/ 　 {/乂__ノ:. ､:. } //__/__〈__/ ∧ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ィ 　 ／ / ィi〔{/}　////ィi〔⌒ ヽ　　 　 }:::::)　 ‐=≦ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 rく___ ∠: :/ /:. : :{/}.///／::] ⌒--/￣￣ .｡＜　＞ ア 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　--､＿　‐= //〈〈　≧s /∨ : :＼///:::::/　　　 〈　　ィi〔 　 　 　 /　 ／ 　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｡＜　／　　/-------∨‐‐ ､　ヽ:. : :/// {::::{　　　 / }/／　　＞　 ／ ／ 　　　　　　　　　　　　　　｡s≦　 r==ゝ----＜………… }__　　∨ ∧^}::/　廴}　 　 ,′{　　／　　／ ／ 　　　　　　　　　‐=≦-------≦　　　 　 ／√¨¨¨¨¨¨¨ {　 ＼ .∨　〉}^≧=‐:{　　 /--} ／　　／ ／ 　‐=≦　　 ===　　 ‐=≦　　 r……　 ≧s。/ /￣￣￣￣',　 　 ゝ^ヽ::}--〈　 ,　　/‐=≦　　／ ／ ‐=ﾆ　　　　　　　 　 =======≧=‐　 ‐=ﾆ二　≧s。　 ＿_ィi〔 　 /　 ∧　 　 /　 /　/　　 ／ ／ 　　　　≧=‐‐=≦　　　　二ﾆ=‐　￣￣　‐=≦　＼ ＼　　 ／{　/　　　/　　./　 /　/　 ／ ／ .
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　　　　　　 　 　 　 _　....-...... _ 　　　　　　 　 ....＜:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼ 　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:.:ヽ 　　　ｰ=ミ':.:.:.:. !:.:.:.:.:.＼:.:.:.',:.:.:.:.:.:.:.:', 　　　　 /:.:.:i:.:i:.ﾄ､:..:!_:.ｰヾｰ|/:.:.:.:.:.:.:i.　　　翼さま、お客さまが見えなさいました。 　 　 　 i:.:.:.:|:.:V__ヾi. ｀イ圷 }ｲ:.:.:.:!:.:| 　 　 　 |:i､:.:ヾ:.',.ｨ抃　　 Vﾉ .!:.:.:.:i:.:.',　　　ながい やるお さまですと。 　　 　 .从ヾ:i:.ヾﾄ V} 　 　 　 i!:.:.;′:.ヽ 　　　　　 　 ` }:.人　　　　 ,ｲ_i:/､:.{ｰ-ミ 　　　　　　　 /Vヾ:.≧ァ:.:〉i!´/ヽ,,`V 　　　　　　　　　　`￣　` ili!　　 ili`~V 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 }ﾄ,　　|ili＼V 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.ヽ 　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /: i:: .! 　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＿_r-/: :!:: :{ .　　　　　 　 　 　 　 ,. :':´ : : : : ヽゞ< |::: :＼ 　　　　　　　　　　/: : : : : :r-､ﾊ: _:｀ヽ|:::＼: ＼ .　　　　 　 　 　 /:/: /: :/: : /: :.ヽ: :ヾ.|:::::: ヽ: :ヽ ...ﾞ_　　　　　　　|: :!:ii!: : !: :./ : : : :|: : : .|:i: : : :ヽ: :ヽ .ニﾐ､　　　　ヾ､ﾄ､: ||: : |:./:/ |: : :ﾊ: : : :ヾ､:::::::: i:: :| ...ﾞ三ミL＿　　ヾ|ﾐ､iﾘ: :|: ﾒ､_ |: :/,ィ､: : i: | ! ::::::||: :| ...ﾞ三!ミ!　 ヾ-ゝ_ヽ:{iヽ:! {ﾘ｀ .|/ ｲﾘ'/: :| ﾘ ヽ: : ||: :|　　　左様か。 .　三!.ミ､　　 |////ゝ:!i:{｀´ ,/ i　　ﾉ: :.|　　 |:./ レ' .....三ヽミ､　　|｀=＜ミii| ﾄ―, ‐　 ｲ: /:.{　　 |: !　　 　 　 これへ…… ..ﾞ三三| ミ|　　 .|///ヽ ｀|　iヽイ--/-ァ　 　|: | ミ三三| ミ|＿　 |////　 ヽ ヾv|　／:_:.:!　　|: | ...三三/ミ/　 | ///ノ　　　＼､ヾK:ﾑ￣ヽ 　|: | ......三/.ﾐハ　///r __　　　　　}: ,久i_ヾ ii |　.|: | 三 /ミ/彡'´ﾉ,.イ´　｀　　　　/: ﾚ. .ヽ.＼ヽ　.|:.| ...../ミ/'_／: : :/: |　　　　　 /: :ハ. . . . .. ＼､|:.| 　┏━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　翼は縁側から庭へ下りた。 　┗━━━━━━━━━━━━━┛ .
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──────────────────────────────────────────── 　　　　　　　　　 ＿＿＿_ 　　　　　　　　／　　 　 　＼ 　　　　　　 ／　　─　 　 ─＼ 　　　　　／ 　　 （●）　（●）　＼ 　　　　　|　 　　 　 （__人__）　 　 | 　　　 　 ＼　 　 　 　 　 　 　 ,／ 　　　　　 /　　　　　　　　　::::i　＼ 　　　　　/　　/　　　　　　　::::|＿/ 　　　　　＼／　　　　 　 　 　::| 　　　　　　　 |　　　　　　　　::::|　 ｷｭﾑ 　　　　　　　 i　　　　　＼　::::/　ｷｭﾑ 　　　　　　　　＼　　　 　|::／ 　　　　　　　　　 |＼＿／/ 　　　　　　　　　 ＼＿／ ──────────────────────────────────────────── 　　　　　　　　　　　　　　　　/: : :: : //＞: : : : : : : : : :{/: : 〈77: : :＼: : : :＼ 　　　　　 　 　 　 >　　　　　 {: : : :／: : : : : /: : : : : : : ,: : : : ﾏﾊ: : : :}ヽ: : : : ＼ 　　　　 　 　 　 /､）ヽ　　　 /777: : : : :.:.:.:/: : : : : : ://{: : : : }:＼ﾍ: }: :ﾊ: : : : : : 　　　　　 　 　 　 　 つ. 　 ////{: : : : : :.:/: : : : : : :/⌒{: : :.:.:l: : :}/ﾊ: : : }: : : : : :ﾊ 　 　 　 　 　 　 ＿　 　 　 f/{//il: ＼: :.:/: : : : : : :/　　 ,: : :.:.|: :.:}//,}ィi〔7: : : :／:} 　 　 　 　 　 ／//{　　　　{/}}　i{: : : :＼: : : : : :／ 　 　 ､: :.:.}: : :}／//,/: : ／/: :.l 　　　　　　 ////:ﾊ　 　 　i{/{{　i: : f 笊ミ{:.:.:／　__　斗七＜}: : / ＼///7　 /: :.:.| .　　　　　 ////,.......,　　 /　,/l!　{: /　vzﾘ／ 　 　 ,x斧云ﾐ: /: / /:.//／{　 ,: : : :.| 　　　　　/////!.....∧ ,　　 ∨{　i!〈　 ｀^　　 　 　 　 Vり／: :./ /:/／　/　/: : :.:.:.| 　　　　 /////!{........../　　 　＼　:∧　　 　 ,　　 　 　 　 / : / /:// 　 /,／/: : : ‰ .　　　 //////,{.....／　　　　　　ゝ: ﾊ　　　　　　　　　　/:.:./ //,/　／,〈　/: :.／ .　 　 ,//////,'{ｨ　 ＿＿_　　　　{:{　 　 　 ー'　 　 　 /: : :{__{{_ゝ＜　 ＼: ／ 　 　 ///////,} ／::::::::::::}　　　 /ﾘ　　　　　　　　　＜: : ／／ ／ヽ／:.:／ヽ .　　///////／:::::::::::::: : |　　_　{￣丁^, －　爪　　/: ／／ ／　　 }:／　 　 ヽ .　 /////!／::::::::::::::::::::: / ／　 , ィi〔:.:./　 ヽ　 }　 廴＿　　　 　 　 　 　 　 　 ゝ 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　永井やる夫が、表口の方からこちらへまわって来るのを見て、 　　　翼は、かすかに笑った。 　　　小柄なやる夫の風采を見て、早くも侮ったのであろう。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
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,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´ ,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´ ,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´ ,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´ ,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´ ,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´ ,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´ ,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,ﾞ＿＿＿_,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´ ,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,. ／　　 　 　＼.,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´ 　　　　　　　　　　 ／　─　 　 ─　＼ 　　　　　　　 　 ／ 　 （●） 　（●） 　＼　　　永井やる夫でござる 　 　 　 　 　 　 |　 　 　 （__人__）　　 　 | 　　　　　　　 　 ＼　　　　 　 　 　 　 ,／ 　　　　　　　 　 ／　　　 　ー‐　　　　＼ 　　　　　　　 　 　 　 　 ／:_／: : : :＿: : : : : ＼ ヽ　}: : : : : : :＼ 　　　　　　　　　　　　/: : /: : ＼/: : : : ＼:_:_:_:_:≧≦,: : : : : : : : 　　　　　　　　　　 __/:_: /: : : : : : : : : : : : : :ﾏ/ﾊ: :}:.:.|: : : : : : : : :i 　　　　　　　　 　 {: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : :∨∧}:.:.|: : : : : : : : :| 　　　　　　　　 　 |: : : : : : :/: : : : : : /{/{: : : : :∨∧: |: : : : : : : : :| 　　　　　　　　 　 |: : : : : :/{: : : : : :/ ⌒{: : : : : }//ﾊ |: : : : : : : : :| 　　　　　　　　 　 |: : : :.:./　: : : :.:./　 　 , : : : : |∨//!: : : : : : :.:..:| 　　　　　　　　 　 |: : ＼′ l: : : :/　　　斗: : :.:.:|　寸!|: : : : : : : : :| 　　　　　　　　 　 {: : :㌢斧ﾐ: :.:/　 斗泛ミx: ／／ /!|: : : : : : : : :}　 　 風鳴翼です。 　　　　 　 　 　 　 ,: : :,ゝVﾘ: :/　 /　,)ﾊ　/　 /:.:.:// |: : : : : : : :./ 　　 　 　 　 （.　　 ∨:ﾊ　　 V　　 　 ゞ ' ,/　/:.:.://　: : : : : : :／.　　　 立ち合いは、この庭でよろしいか？ 　　　 　 　 　 `　　 }: 从　　' 　 　 　 　 /{　{:.:.://　 ア7￣ {.　　　　　 それとも中で…… 　　　　　　　　　　　|: :{込　　‐　､　　　f: ≧s。{＞''´ ,/: : : : 　 　 　 　 　 　 　 斗: {　　　　　　　＜ {:/　 {: : :./　 /: : : :.∧ 　　　　　　　　　⌒^Ⅵ宀 ､　　爪　　/ {′　ヽ:./ ,／: : : : : :∧ 　　　　　　　　　γ⌒{/=‐ ‘，　{ 　 /　 ≧=‐ミｔ〈＿_{: : : : : :.∧ 　　　　 /{　　 ,　　　　{:.:.:/　 ,　 { ｲ／　　/ ／:.:./ 　 ,: : : : : :.:.∧ _ 　　 　 //{ﾍ　,　　　 　 ,:.ﾊ　　＼／　　　ア:.:.:.:./　 　 ∨: : : : : :∧ﾊ .　　　///}...../　　}　　 〉:.:ﾊ　/^7　 .｡＜:.:.:.:.:／　 　 　‘，: : : : :: :.}/} 　　　{///{. /　　 }　／:.:.:.:[二　/＼:.:.:.:.:.:＜　　　　　　　＼: : : :.:.:|/} 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　垣根の方で、やる夫が名乗るのへ、 　　　軽くうなずいた翼は、離れ屋の方を顎で示す。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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ニニニﾆ|　|_ｌ＿l＿| lニニニニニニ⊃ ||────────|| |￣￣￣|l 　 | |＿ｌ＿ｌ＿l_|　|ニニニニﾆ 　_L　_L |　| ｌ　 l　 | |_[]彑t_ll TT　 l |　||　辷ｉ　　　　　　辷ｉ　|| |￣￣￣|l 　 | |　 ｌ　 ｌ　 l_|　| _L　_L ﾆ ﾆ ﾆ ﾆ|　lニニニ| |苴 卯 ll〈Ｏ〉&l |　||────────|| l ￣￣￣￣¨| |ニニニニ」　| ﾆ ﾆ ﾆ ﾆ 　　　　　|　|　　　　| |二二二|￣ ＜二二二二二二二二二二＞ｰ────| |　 　 　 　 |　| ￣￣￣　　|　　　　| |───|°　 ｀丁｢|￣￣￣￣￣￣丁｢´|| |　　　　　 　 | |　 　 　 　 | 　￣￣￣￣ ￣l￣|￣|　|── ┘|￣￣￣￣￣￣L｢ ￣ ￣ ￣ ￣ ￣ L「 ￣￣￣￣￣￣!└－──‐|　|￣|￣|￣|¨ 　 l　 |　 |　|二二二二エ二二二二二二エ二二二二二二エ二二二二二二ユ二二二二|　|　 |　 |　 | ＿l＿|＿|　|ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ ニ.|　|＿|＿|＿|_ 　　　 　 　 |二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二 二 二 二二 二 | ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ￣￣￣￣￣|￣|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|￣|￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ﾍＹｲｨ州r　　|　 ﾚ'￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヾ 　|　　　ヾY从!屮/r J州ﾘ艸ﾘk　 |　ｉ'￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣`ｉ　|　　　､ﾍY州ﾙfYk 　　　　　　　　　　　　　　,　　 　 /://7: : :/: : : : : : ｌ: : : : : :.:./、: : : : : : }:.:ﾊ: : : : : : : : : ∧ 　　　　　　　　　　　　 　 v,　　 /{:///: : /: : : : : : /|: : : : :.:./乂ﾊ: : : : :.:|/}:.}: : : : : : : : :.:.∧ 　　　　　　　　 　 　 　 　 v,　 f　}/,/: : /: : : : : : /　: : : :.:./　 　 ∨: : : :|/}: }: : : : : : : : : :.:∧ 　　　　　　　　　　 　 　 　 v,　 , /,/:.:.:/: : : : : : /　 l: : : :/　　　　 , : :.:.:.|/ﾊ:l: : : : : : : : : : : :.: 　　　　　　 　 　 　 　 　 　 V,,ィ//ﾍ: /＿:_:_:.:.:/　 ｜: :./　　　 ＿∨: : :}〉/ ﾍ: : : : : : : : : : : | 　　　　　　　　　　　　　　　 ∨/〈ﾊ∧: : : : : :≧s､　|:.:./　斗七　　 ∨: : / /ﾏ}: : : : : : : : : : :|　　　ただし、中はせまい。 　　　　　　　　　　　　　　 　 〈ﾏﾊ∧∧:㌢^斧笊ﾐ　:.:/　 　 /斥笊^㍉: / /:.//l : : : : : : : :.:.:.| 　　　　　　　　　　　　　 　 　 ∨,ﾊ∧∧{｀　V)ツ　 {/　 　 　 V)ツ /: :/ /:.:///: : : : : : : :.:.:.:.|　　　それでよろしければ…… 　　　　　　　　　　　　　 　 　 ∧∨,∧,∧　　　　　/　　　　　　　 /: :/ /:.:///:}: : : : : : : : : :.:|　　　　　　　　　　　　/￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ 　　　　　　　　　　　　　　 　 / ∧ﾏ}:.∧∧　　　　 　　'　　 　 　 /:.:.f　f:.://,′: : : : : : : : :.:.:.|　　　　　　　　　　　　|　いや、庭で結構　　 ＞ ＿＿　　　　　　 ＿　　　　 /: : :∧}}:.:. }　i}､.　　　 ､__＿,　　　 ./: : :|　{:///: : |: : : : : : : :.:.:.:.|　　　　　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿/ ::::::::::::＼　　　 f:::::::::ﾊ　 　 ,: : : : : : ≧s。_|:}＞ 　 　 ｰ‐'　　　 /: : :.:{＞''´: : :.:.|: : : : : : : : : : } ､:::::::::::::::＼　　{:::::::::::::.　　/: : : : : : : ∨,∨:|　　|＞　　　　 ＜|: : ／≧s〈: : :.:.:.|: : : : : : :: : :く . ヽ::::::::::::::::＼ ::::::::::::::::}　, : : : : ≦＿＿ ,∨　Ⅵ　　　爪　 　 }／　　　　　≧s。―┬―≦ { 　　＼::::::::::::::::::}::::::::::::::L/: : : : : :／::::::::::ﾐ｀ ＜ ヽ777}　 /77ア　　　＞''´ ⌒^: : : :.:|: : : : : : 　　　 ＼:::::::::::/::::::::::::::}::::::::::＼:/:::::::::::::::}: : : : ｱヽ∨,}　//,,'/　 ＜: : : |: : :|: : : : : :.:.|: : : : : : : 　　　　　＼:::::{::::::::::::::f:::::::::::::::/::::::::::::::::/｡s≦＿　＼ﾏ//／／　　 ≧s。:.:|: : : : : :.:.|: : : : : : ∧ 　　　　　　 ゝ:l::::::::::::: |::::::::::: /::::::::::::::::(＿_γ::::::::ヽ　ヽ /∠　　　 ／:.:.:.:.:/　 ≧=‐ |: : : : : : : ∧ 　　　 　 　 　 |:::::::::: : |::::::::::/::::::::::::::::/:::::／:::::::::: /　　γ:::::ﾊ　 ／:.:.:.: ／　　　　　 }: : : : : : : : ∧ 　┏━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　やる夫はぶっきらぼうにいう。 　┗━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ､ﾊ,　　ｶ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ^ <　 て　ﾁ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /'Y''~ヾ　ﾝ : : : : : : :/: : : : : : : /: : : :/ 　 |: : : : : : : : :|　　　　　＼: : : : : : : :|: : : : : : : | : : : : : : {: : : : : : : /: : : :/　　｜ : : : : : : : |　　　/　　　 ､: : : : :.:.|: : : : : : : | : : : : : : |: : : : : :.:/: : : :/ 　 　i|: : : : : : : : :|　　 /　 ＿__ ,＼ : : : |: : : : : : : | : : : : : : |: : : : :.:/: : : :/　　 　 |: : : : : : : : :|i　 /／⌒^＼}　 ＼:.:.|: : : : : : : | ―――ﾄ ､: :.:/: : :.:./　 　 　 i|: : : : : : : : :}__,// _),笊 　 }　 }: :＼: : : : : :.:.:| : : : : : : |: : : /≧= 云≧s､　 ｉ|: : : : : : :.:./ 　 　 ぃ/}ﾘ　　　 }: : : : : : : : : :.:| : : : : : : |: :,ィi＞⌒,x云㍉￣￣: : : : : : :/ 　　　 乂rｼ　　　 : : : : : : : : : : : :. .: : : : : :./=/　　　__)rﾐ,ﾊ　ヽ　|: : : : :.:./　　　　 　 -‐' 　 　 l: : : : : : : : : : 八　　　ッ！ ＼: : : : :＼{　　　 ぃ{/} ﾘ　　 i|: : : :.:./　　　　 　 　 　 　 　 l: : : : : : : : : / ､　＼: : :{　＼ 　　乂riシ　 　 : : : : /　 　 　 ､　　　　 　 　 |: : : : : : : : / : ＼　＼:＼　 　　　―‐ ´ 　 ｜:.:./　　　　　 }　　　　　　　从: : : : : : /　　　　　 __ :.:.:.:ﾍ　　＼＼　　　　　　　 　 |: :/__　　　 　 　 　 　 　 　 八: : : : : :./――‐=≦ / ﾍ:.:.:.∧　　　､:ヽ　　　　　　｡s≦　 /　　　　　 　 　 　 　 / : : : : : : / 　 　 　 　 / /∧:.:.∧　　　',: :＼｡s≦　　　　　 {　　　 　 -- 　 　 　 / : : : : : : /　　　 　 　 / //∧:. ∧　 ｡s≦　　　　　　　　　 |　　／　　　　 　 . : : : : : : : :.:/　　　 　 　 / 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　翼の面上に、不快の色がよぎった。 　　　これまでの養子希望者の中で、 　　　このような態度の者は、永井やる夫がはじめてであった。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　もっとも、翼にしてからが、 　　　やる夫に対しての言葉づかいが 　　　礼儀にかなっていたかと言うと、そうではない。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ::::○ﾟo:::::::｡:::ﾟ::::o○:::゜:::｡:::oﾟ:::::::o:::ﾟ:::::｡::::ﾟ::::｡○｡ o゜::::::o゜::ﾟ:::::o｡::::::::::::::::゜::::o:::::::○:::::ﾟ::::゜ o::｡:::::::o::｡ :::::::::::::::::::: :::::｡::::::::::o:::::::::::::::::::::ﾟ::::o:::::::::::::o::::::::::::::::::ﾟ:::::::::::::::o::ﾟ:::::::::::::::::o::::::::::::ﾟ::::::::::｡::::｡:::::::｡::::::::::o:::::::::::::::::::::ﾟ:::::::::o:::::::::::::: 　　　　　　　 　 　 　 　 ／:_／: : : :＿: : : : : ＼ ヽ　}: : : : : : :＼ 　　　　　　　　　　　　/: : /: : ＼/: : : : ＼:_:_:_:_:≧≦,: : : : : : : : 　　　　　　　　　　 __/:_: /: : : : : : : : : : : : : :ﾏ/ﾊ: :}:.:.|: : : : : : : : :i 　　　　　　　　 　 {: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : :∨∧}:.:.|: : : : : : : : :| 　　　　　　　　 　 |: : : : : : :/: : : : : : /{/{: : : : :∨∧: |: : : : : : : : :| 　　　　　　　　 　 |: : : : : :/{: : : : : :/ ⌒{: : : : : }//ﾊ |: : : : : : : : :| 　　　　　　　　 　 |: : : :.:./　: : : :.:./　 　 , : : : : |∨//!: : : : : : :.:..:| 　　　　　　　　 　 |: : ＼′ l: : : :/　　　斗: : :.:.:|　寸!|: : : : : : : : :| 　　　　　　　　 　 {: : :㌢斧ﾐ: :.:/　 斗泛ミx: ／／ /!|: : : : : : : : :} 　　　　 　 　 　 　 ,: : :,ゝVﾘ: :/　 /　,)ﾊ　/　 /:.:.:// |: : : : : : : :./ 　　 　 　 　 （.　　 ∨:ﾊ　　 V　　 　 ゞ ' ,/　/:.:.://　: : : : : : :／.　　　 立ち合いは、この庭でよろしいか？ 　　　 　 　 　 `　　 }: 从　　' 　 　 　 　 /{　{:.:.://　 ア7￣ {.　　　　　 それとも中で…… 　　　　　　　　　　　|: :{込　　‐　､　　　f: ≧s。{＞''´ ,/: : : : 　 　 　 　 　 　 　 斗: {　　　　　　　＜ {:/　 {: : :./　 /: : : :.∧ 　　　　　　　　　⌒^Ⅵ宀 ､　　爪　　/ {′　ヽ:./ ,／: : : : : :∧ 　　　　　　　　　γ⌒{/=‐ ‘，　{ 　 /　 ≧=‐ミｔ〈＿_{: : : : : :.∧ 　　　　 /{　　 ,　　　　{:.:.:/　 ,　 { ｲ／　　/ ／:.:./ 　 ,: : : : : :.:.∧ _ 　　 　 //{ﾍ　,　　　 　 ,:.ﾊ　　＼／　　　ア:.:.:.:./　 　 ∨: : : : : :∧ﾊ .　　　///}...../　　}　　 〉:.:ﾊ　/^7　 .｡＜:.:.:.:.:／　 　 　‘，: : : : :: :.}/} 　　　{///{. /　　 }　／:.:.:.:[二　/＼:.:.:.:.:.:＜　　　　　　　＼: : : :.:.:|/} :::::｡::::::::::o:::::::::::::::::::::ﾟ::::o:::::::::::::o::::::::::::::::::ﾟ:::::::::::::::o::ﾟ:::::::::::::::::o::::::::::::ﾟ::::::::::｡::::｡:::::::｡::::::::::o:::::::::::::::::::::ﾟ:::::::::o:::::::::::::: ::::○ﾟo:::::::｡:::ﾟ::::o○:::゜:::｡:::oﾟ:::::::o:::ﾟ:::::｡::::ﾟ::::｡○｡ o゜::::::o゜::ﾟ:::::o｡::::::::::::::::゜::::o:::::::○:::::ﾟ::::゜ o::｡:::::::o::｡ :::::::::::::::::::: 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　「わざわざ、お運びを願って……」の一言もなく、 　　　いきなり言い放った言葉づかいには、 　　　明らかに軽侮の口調があった。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　このように、人間というものは自分のことが、 　　　まったくわからない動物なのである。 　　　しかし、永井やる夫には、 　　　あからさまに軽侮の態度を見せる翼だが、 　　　たとえば現在の自分の師として敬う 　　　倉田勝蔵に対しての翼は、あくまでも敬虔そのものなのだ。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 　./ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 　,ト'｢l/ _ヽ、 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ｀il| |/ ｀ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |l| ||　　|| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ﾄ-ｲ| |ゝ-'"| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |ｲ"￣ 7 ;-| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ﾉ .ヽ　ィ,ﾅ　ﾄ、 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.-‐'　､_　　 _,ヽﾞ 　 ゝ-‐-､ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　/ｰ'　　｀　 ' _ . 　 lヽ　丶 .ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　 　 　 /　(弋x　!.|　 　 ｰ'＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／｀　　l　　　　|　　　　　　　 ,､　　　 ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,／､　 　 ／l ＿_／ ＼＿＿ノ　/ .＼　　　＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ/ゝ　 .／　　 l ＿|幵幵| ＿＿ /　　　＼-‐'~ !､ 　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　　　　ィi〔/: : : :: : : : : : : : : : :〈≧s。: ／: ::.:.l 　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　　 ／: : :./: : : : : : :_:_≧=‐‐､:.:.:＼　〈 {: : : :.:.| 　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 /: : : :./: : : : :／: : : : : : : : :≧=‐‐=〈}: : : : :| 　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　 ,f: : : :./: : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : :/^}: : : :| 　　　　　　　　　 　 　 　 　 ノ　ィi〔: {:rzz〈: : ／: : : : : : : : : : : : :,: : : : : : : : }: : :.:| 　　　　　　　　　　　　 ィi〔: : : : : : :.///⌒ﾏ￣{: : : :r＼――　 /: : : : /}: : :.!: : : | 　　　　　 　 　 　 ィi〔 : : : : : _:_:_:_:{//　 　 }/} }／{ r笊ミ､　　/: : : : :/｜: : }: : : | 　　　　　　　 ／: : : : : : : : :.{―― {/　　　 }/{ { }: ,　乂ｼ {ヽ ,: : : :／　 {: : /: : :.:| 　　　　 ‐=: : : : : : : : : : : : :∧　 　 乂＿_ノ/// {: }　　　 　 /: :,x云‐ /ﾊ:/ {: :.:.:.| ‐=≦: : : : : : :: : : : : : : : : : : ∧　　　ゝ‐=≦_/ /: :|　 　 　 /／ 乂ﾉ〉/　/　{: : :.:} : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :∧　　∧≧==≦: :.:.|　　　 　　 '　　 ,:.l　　 　 ): :./ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :∧ 　 ∧ ィi〔　/ヽ:}　　 v　 ｭ　　 ,: : |　　　/ : / : : : : : : : : : : : : : : : : : :＞''´⌒^　＼　∧　　 〈､　 ＼　　 　 　 イ: :.:|　　 /: :/ : : : : : : : : : : __: : : : : /　　　　　　　 ＼　＼　 {/ヽ　　r ‐=≦　ヽ:.:.:.} 　 ,: :./ : : : : : : : : ://∧: : :./　　　　　　　　　ﾏ＼ /　∨/} / 　 ＞''´/　 }:/　　{: / : : : : : : : :////,ﾍ: /　　　　　　　　　　 ＼＼ ､　ﾏ}/　／: : : /　　/　 　 {/ : : : : : : ://////∧　　　　　　　　　　　　　] ﾊ ヽ　 イ､: : :.:/　　　　 　 / : : : : : :////////∧　　　　　_　　　　　　／:.f　 辷t }] ＼/ : : : :.:.//////////∧　／:::::::}　ヽ　　／／^　 {:.:.:.:.ゝ＼ヽ＼ .
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ヾ､ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |!　　　　　　　　　　　　　　　　＿_ 　　　 　 , - ── --､　 _,r‐､＿ｒ‐-､　　 /ﾉ !　　　　　　　　　　　　　　 r'´-､ｲ^!､ 　　　　 {　　　　　　 r＿　　　￣　　 |_,／/ ﾉヽ　　　　　　　　　 　 　 　 | 「f^厂ｿﾉ 　　　　 ヽ､　　　,　--- ､｀ヽ､　ヽ　　ｊ､　/ /　 }　　　　　　　　　　　　　├ｲノ　　| 　　　　　, -'ー'´　ー 　 ニミ､ヽ　　/7ﾑ彡'/ /　　　　　　　　　　　,-､ｒ､' ∧　　 / 　　　　　|　 ＿　─　ニ二二ミ､＼ /　, -┴---､__　　　　　　　 rﾍ ヽ` ヽ/`ーｲ 　　　　 厂´　, -　ﾆ二三三__, --ｧ- '´ﾍィ´￣ー 二ﾆヽ　　　 r┴､! ヽヽ,ﾉ!　 ./ 　　　　 | ／　∠二二彡 ｒ'´　　 /　 ノﾉﾊヽ､　 ＼丶 ｀ヽ､　　{ｊ__ﾋi}|ー 彡|　./ 　　　　//　（( ∠彡＿,／ト-　// i| /// ﾉ 川ﾄ､ヽ＼＼ヽ!　 / /ﾆﾁ〉､__,､ﾍ,/ 　　　 //　　ヽ, - '´￣／ ヽ　 |川 || | !////!||　ﾄ､!リ」|」iﾝ / / ＿ /　|　　 ', 　　　 ヽ､___／ ／　　　　　/ゝ.|川 || ////ﾉﾉ_Ll」iﾉｲｊ_|ヽ / /-「|／　　|　 　 !-､＿ 　　　　　 / ／）　　／　　_」　 ヽﾘ | //! |ﾉｨi::'!`　　 　.| / /ヽﾉ　＼　 /ｌ　 　 l ／￣￣｀ヽ､ 　　　　　ﾉ/∠＿ソ ｀￣´　　　　 ＼ﾘ「ﾉ ﾄ､ 'ﾞ´　　_,` /, /| !　}　　　｀￣|　 　 |　　　　 ＼ 　　　　　ﾚ'　　　　　i　　　　　　_　- 彡ﾉﾍﾉ　　 ＿_,/, /ノﾉ　　__　 _メ7 |　　　|　　　　 　 ｀ 　　　　　　　　　　　ヽ､＿_,　- 三彡-'／￣｀７ー / /ヽノY´￣／７/r┴'　　　.! 　　　　　　　　　　　　　 ／´￣７　　ヽ　 ／´　 ./ /　　　　／ （/ ／　 　 　 　 ! 　　　　　　　　　　　　 /　　　,ノ　　　　ﾚ'　　　/ / 　 　 ／　　　/＿＿ ,..　-‐ '　,ィ⌒ヽ 　　　　＿r､　 　 　 　 !　　´, -- ──' --､_/ /＿_,　'"　　　 ／７ﾉ　ノ　　 ヽ_ノ　　　　| 　　　 厂　 |　　　　　　　 ／ 　 　 　 　 　 / /　　　　　　　／ ／ ／　　　　　　　　　　/ 　　　ﾉ　　 ｊ　　　　　　／　　　　　 　 　 / /　　　　 　 　 /／／|　　　　 　 　 　 　 　 | 　　　|　 　 !　　　　 　 }　　　　　　　　 / /　　　　　　　 /_／∠」　　　　　　　　　　　 / ／ 　　　|　　　`ー一1_／　　　　　　　　/ /　　　, - ─‐ '"´／￣ﾞ|　　　　　　　　　　　 ﾚ' 　　　|　　　, - '"´　＿__　　　　　　/ /　, - '´＿　　 , -'´＿＿_| 　　　|　 ／,. -‐ '´　, -'´ヽ 　 　 ./ /- '　￣　　ヽ_,ノ￣￣￣￣| 　　　／'´　　　　／ヽ､　　ヽ_,ィ/ /　　　　 /⌒７─ｧ-､＿＿ _,」_ 　　/　 　 　 　 /　　　 ｀ ー- / /　　　　／　 / ／　　　/　 |　 　ト､__ 　　}　　　　　 /　 　 　 　 　./ /ヽ 　 ／　 ／ /､＿_　 /　　 |　　 |　　｀Y´i￣｀ヽ､ 　　!　　　　 /｀￣｀ヽ､＿　/ /--ア´　 ／　 ノー　　 /　　　 |　　 |　　　|　|　＿　| 　 /　　　／　　　　　　　 //　　/　 ／　 　 |　　　　 |　　　 /|　　　　　　　|＿,ノヾ､ 　 |　 　/　　　　　　　　 //　　/／　　　　　|　　　／　　　/　!　　 /ヽ　　 |　　　　 ヽ 　 | 　 / 　 　　 　 　 　 l/ , -' /　　　　　　/　 ／　　　　/　 /　　/　 ）　　! 　 丶/　　　　　　　,. - '´　　/　　　 　 　 /／ 　　　　　　　 　,／ 　 　 　 /　　　　　　／ ← 「股立を取る」というのは、 　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 この部分をつまみ上げて、袴の紐や帯ではさみこむこと。 　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 股立を取ることで、 　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 袴の裾が引き上がり、裾捌きがしやすくなる。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　それと見て、翼は離れ屋の内へ入った。 　　　これも身仕度をするつもりなのであろう。 　　　縁側から離れの内へ入っていく翼の後ろ姿を見やり、 　　　やる夫が軽く舌打ちをした。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　_L　_L |　|_ｌ＿l＿| |　　ﾋ三三]　　 　 |lー─‐┴──|　　｛｝|| |　 　 　 |l 　 | |＿ｌ＿ｌ＿l_|　| _L　_L 　_L　_L |　|_ｌ＿l＿| |　r─┐ |三|　 　 ||─────┴──|| |　 　 　 |l 　 | |＿ｌ＿ｌ＿l_|　| _L　_L 　_L　_L |　|_ｌ＿l＿| |　7茴〈　|℡|　 　 ||　辷ｉ　　　　　　辷ｉ　|| |　 　 　 |l 　 | |＿ｌ＿ｌ＿l_|　| _L　_L ニニニﾆ|　|_ｌ＿l＿| lニニニニニニ⊃ ||────────|| |￣￣￣|l 　 | |＿ｌ＿ｌ＿l_|　|ニニニニﾆ 　_L　_L |　|.∧__　　 　 _　t_ll TT　 l |　||　辷ｉ　　　　　　辷ｉ　|| |￣￣￣|l 　 | |　 ｌ　 ｌ　 l_|　| _L　_L ﾆ ﾆ ﾆ ﾆ|　/:./ {＞‐＜}∧....ll〈Ｏ〉&l |　||────────|| l ￣￣￣￣¨| |ニニニニ」　| ﾆ ﾆ ﾆ ﾆ 　　　 　 ィ: : {　/――ﾍ　}､....|￣ ＜二二二二二二二二二二＞ｰ────| |　 　 　 　 |　| ￣￣　/ : : ∧ {: : ⌒: : } Ⅳ...|°　 ｀丁｢|￣￣￣￣￣￣丁｢´|| |　　　　　 　 | |　 　 　 　 | 　￣￣￣￣ ￣l..　/.:..:./ﾏ}} }.: : : : : :.{ {7....￣￣￣L｢ ￣ ￣ ￣ ￣ ￣ L「 ￣￣￣￣￣￣!└－──‐|　|￣|￣|￣|¨ 　 l. 八: :/　/ ^.: : : :. :. :.ゝ{ﾞ二二二二二エ二二二二二二エ二二二二二二ユ二二二二|　|　 |　 |　 | ＿l＿| ^　 / : : : : : : : : : ∧　ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ ニ.|　|＿|＿|＿|_ 　　　　　 / : : : : : : : : : / ∧....二二二二二二二二二二二二二二二二 二 二 二二 二 | ￣￣￣.,.: : : : : : : :. :. :. :./ ∧　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ￣￣..../.: : : :.l.: : : :. :. :.l: :/::∧ . ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|￣|￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ﾍＹｲ.../.: :. :. :.|: : : : : : :.|.: :./ ∧.....￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヾ 　|　　　ヾY从!屮/r J州ﾘ,.: : : : : :.|: : : : : : :.|: : :./::∧.....￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣`ｉ　|　　　､ﾍY州ﾙfYk 　　　{: :/rr/ {＜ ⌒ ア‐=≦ /: :} 　　　 ^{/::::}　乂 : :T:. ／ﾍ乂}⌒ 　　　　{{＜{　　ｱ＞＜/∧/^ﾍ 　　 r‐=≦乂/　/二二ヽ,{丁＞'' ｱ .　　　　 {￣ア　〕　　　〔 ＜￣}　 l 　　 {　　,　 ゝ ア≧=≦≦, 　 , 　　八　 ∨,　////////∧　,/　 } 　　　 ,　　〉〉〈/////////〉〈〈　 , 　　　 ∨ 〈〈　〉:::::::::::::::::::〈　 〉〉/ 　r≧= ∨ ∨,　≧::r廴≦ ∨/ , ‐=≦ ｱ 　∨　　.∨ ,/　　　}　{　　　〉 /　　　 / 　 ∨777}＼〉＿＿ 　}＿__〈 / 7777/ .　　∨//{ /::::::::::::7　 }:::::::::::::/〈//,/　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ 　　　 {//{￣ ',:::::::,　　::::::/￣￣}//　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　　　　　 　＿＿＿　　　　　　 　 　 | 　　　 ∨ﾍ　　{::::::,　　 ,::::}　　　//　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　／　　 　　＼　　　 　 　 　 | 　　　　 ﾏ∧　ﾍ:::}　　　}/　　 //　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　　　 ／　 _ノ ''　'ー　＼　ﾁｯ　 　 . | 　　　　　∨}　　/,　 　 /　　 , /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　　／　　（●）　 （●）　 ＼　　　　..| 　　　　　　〉― {:}　　　}― 〈/{　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|　 　　　 （__人__）　 　　|　 　 　 | 　　　　　 /　　/:{　　　}　　/:::l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　＼　　　 　 　 　 　 　 ／　　　　..| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/ .
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　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿　　　＿＿＿＿_ 　　　　　　　　　　　／　　　 　　＼／　 　　　 　 ＼　　　　　　 ‐-､ 　　　　　､-‐ 　　／─　　 ─　 　 　 　 　 ─　　─＼. 　 　 __＿,ノ-､ 　　　､- !､,＿_／（● ）　（● ）　 彡　　 （ ●）　（ ●）ヽ　　　 __＿,ノ 　　　!､,＿__　l　　（__人__）　　 　　　 　　　　（__人__）　 　| 　　　　　　　　＼　　　　　　 　 　 彡　　　　　　　　　 ／ 　　　　　　　　　/　　　　 　 　 　 　　　　　　　　 　 　ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′' 　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_　　　　´ 　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ 　 　 　 ＼ 　　　　　　　　　　　　　　 ／　 ─　　─　 ＼ 　　　　　　　　　　　 　 ／　　（●）　（●）　　＼ 　　　　　 　 　 　 　 　 l　 　 　 （__人__）　 　 　 ｌ 　　　　　　　　　　　 　 ＼　　　 　 　 　 　 　 ／ 　　　　　　　　　　　 　 ／　　　 　 　 　 　 　 ＼ 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　それから辺りを見回し、 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｺﾞｻﾞ 　　　台所の戸口に、丸めて立てかけてあった茣蓙を見つけると、 　　　これを銀杏の樹の根元へ敷きのべ、 　　　　　　　ﾊｽﾞ 　　　腰から脱した大小の刀を静かに置く。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 （､､ 　　　　　　　　　　　　　　 ）) 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＼_ヾ　　　　　　　＿ゞ　） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,(､､ゝll　;l　/／ノ　　　ノ 　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::（､､ 　　,）　ll　　ﾉ　　　）) 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゞ　 ,r　 |ll　lll 　,,ﾉ~ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 〉 /ヾ　l| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |l ゝﾉ/l | 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 -　-　、　　　　　　　　　　 　 　 |l　ll　〉 | 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 － －） ヽ　_　　 　 　 　 　 　 　 |,|　　ﾉll| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 八人__）　ノrた)　　　　　　　　 　 ﾉ l　 ∧ | 　　　　　　 ＿＿＿＿＿＿＿......|　l　　　ｒ‐ ､..　＿＿　　　　 　 　 〉ﾉ　 |ll　ヾ;;:: .　　　　　　＼;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;‡〔_r)て_ﾉ .＼ ＼ﾞ:;:;:;:;:＼.　　　　　ノ し､　し　ヽ::: 　　　 　 　 　 ＼;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.┃:;:;:;:;:;:;:;:;:;:; （＿,) :;:;:;:;:;:;:＼ .　　　 　 　 　 　 ＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＼ .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　台所の内では、シュテルが戸障子に指で穴をあけ、 　　　これに顔を押しつけ、息をのんで やる夫を見つめている。 　　　折しも、万右衛門は外出していた。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣||____＿＿＿＿____|||____＿＿＿＿____||￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |￣￣￣￣￣|　|||　|￣￣￣￣￣| || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 ★| || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |[l.|||.l]|　 　 　 　 　 | || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |＿＿＿＿＿|　|||　|＿＿＿＿＿| || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ||┌┬┬┬┬┐. ||| .┌┬┬┬┬┐|| 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ||├┼┼┼┼┤. ||| .├┼┼┼┼┤|| ＿＿＿＿＿＿＿＿＿||└┴┴┴┴┘. ||| .└┴┴┴┴┘||＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ 　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 __＿ 　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ´￣.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀＞x､　__ 　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　..:.:.:　　　..................:.:.:.:´　　ミヾ 　　　　　　　　　　　　 ／　　.:.:　　:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:≧气＼ 　　　　　 (＿＿＿_,イ ／ :.:.　　..:.:. 　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:}　}:.:.:.:ヽ:.:ヽ:.＼ 　　　　　　　 　 　 ／/　.:/　　.:.:　　..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾊ　| ｌ ﾊ.:.ﾍ.:.､ヽ} 　　　　　　　　　 ∥/|　.:ｲ　.:　　..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ｲ厂|`}:.:.!.:.:.|.:.:!ヽl 　　　 　 　 　 　 .{ /:.| :/ ! .:　　.:.:.:./´ﾍ　　 ／fﾃV､ ﾉ.:.:|.:.:.:|.:.:! ｺﾞ 　　　　　　　 　 ／ : j/ .:入　.:.:.:.:.八{ヽﾊ ∨　 ﾊ/ ヾ.:.:.:|.:.:.从.| ｸ .　　　　　　　／　.:.:.:.:.:.:ｲイ.:.:.:.:.:.:.:.:.:〉ヾ|　ﾊ　 `´ 　{.:.:/|.:.:/　ﾉ ﾘ 　　　　　 ..イ,　 .:.:.:／/..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i.:.:.:| | 　し 　 　 ゝ'}:./　　　： ..ー=＝彡イ　 .:.／. r{:.:. 八.:.:.:.:.i : :.:ﾄ､: .!|　　　　　_ﾉ.|.ﾉ' 　 　 ／　　 : ／ :.:/:. ﾄ､:/: .∨:.: }:.:.:.| :.Y.ヽ:::::....　 /.i:.|! 　　　.__, 　　/／/.:.:／/ :.:ｲ:.:.:.:∨.:.:.:.:.}i:.:.:ﾄ､ :| :.:i_､r -‐‐ﾊ´ i从　　 　{l　｀¨!-, 　 / 　 j／　人:.( { :.:.:.:.:|(ハ ; }:.:ﾉ: )人: !　.￣¨¨ ヽ　　　　　〃}　　　 ヽ 　　　　　　　 个ゝ乂 .:.:|.　.ムイ:.:/ｲ　ヽ::::::::::::::::::::::乂_　　　l　 __＿＿/__ 　　　　　　　　／:::::::｀ 弋:::ヽ .':./ //::::::::::::::::.∩::::::ﾊ==ﾍ　 ...〉´::::::::r=====x 　　　　　　　厶===/.::::::::::::::::::::///{:::::::::::::::::::∪::::::} }::::::!} /:::::::::::::://:::::::::::::ｌ| 　　　　　　　{|　　/ ／＼:::::::::///r<===x:::::::::::::::::::リ:::::::| {=====〃::::::::::::::::|| 　　　　　　　!|　/ﾚ ／＼ ＼/// ﾍ::::::::::::≧====≦::::::::/　〉―‐-.:::::::::::∩::::ﾘ 　 　 　 　 　 Ｖ　／::::/:::::＼　/ ::::::＼::::::::::::::::::::___x≧く:::::|====x ＼.::::∪:/ 　　　　　 　 /／､__t{:::::::::::::::ヽ!::::::::::::::::≧　__￣　///∧ヽ'＼__::::ヾ､ ≧∨ 　　　　　　 　　{{:::::{二二二二二二二二二≧x `ヽv///////∧::::＼_ﾉ/ 　　　　　　　　 ||:::::`ﾐ≦二二二二二二二二二≧　｀ヽ//////∧:::::::/
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　やる夫が、たもとから革紐を出し、 　　　たすきにまわしたとき、翼が縁側へあらわれた。 　　　翼の白い稽古着は筒袖なので、たすきをかけぬ。 　　　袴も工夫して仕立ててあるので股立を取る必要は無い。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　　　　　　　　_/: ／: : : : :./: : : :,: : :ヽ:ヾ!:i::::}ii､: : : ヽ: : : : :｀:ヽ.､ 　　　　　　　　　　　　　　 |ﾐ|/: : : : :/:,ｨ: : : : .ﾊ: : : : : ト:::::}ii|:ヽ: : : :ヽ:: : ｀ヽ: : :｀ヽ 　　　　　　　　　　　　　　 V:/: :/: ／ ,: : : :/ 　 !::!: :!:|iii}:_:!ii|:::::ヽ: : : :ヾ::.. : : ＼: : : 　　　　　　　　　　　　　　/:, !: /､/　 ,: : : / 　　 !:!: !: ﾄミﾐ!ﾘ::::ノ: ヽ: :.γ´￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ 　　　　　　　　　　　　　 ﾊ. ! V:/,､ヽ､: : :/　 _,.ィヽ: ﾘ /:.}ii/,イ:::ヽ:::ヽ:..|　永井殿。　 　 　 　 . | 　　　　　　　　　　　　　 !ﾐ...! }:.{　　炒:./　　 小ﾘ ﾉ,!:|　/./;;//: : : :､ :..|　よろしいか？　　　　| 　　　　　　　　　　　　　　ヾヽ!:.ヽ　　'　 i　　 ｀´ /: ﾘ/../;;//::､: : : :ヽ.:.ゝ＿＿＿＿＿＿＿__,ノ 　　　　　　　　　　　　　　　 Tiヾ:ﾄ､　　　　 rー<:://ノ-/:!::::::::::､: : : :.ヽ : : : :ヽ　　ヾ 　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ, -+＼ ´　　|　　　　 |,/､: :!:::::::::::､: : : : :.､: : : : :ヽ 　　　　　　　　　　　　　 ＜´　　　　　 ヽ- '| ,. - ―- <: : :!:::::::::::::､: : : : :､: : : : : ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　￣/:ヽ.､　　ﾄ ／　　　　　　ヽ: !::::::::::::::::､: : : : :､: : : : : :ヽ 　　　　　　　　　　　　　　 , -- <..「 _ >' -=三三i　　　　 !:.!::::::::::::::::::､: : : : ､: : : : : : 　　　　　　　　　　　　　 /　　 ,r三三=-:::::7 三/　　　　 |: !::::::::::::::::::::､: : : : : : : : ､: 　　　　　　　　　　　／:,:|　 ／-''´三三 !::/ 三L＿　　　!: :.!:::::::::::::::::::::::､: : : : :､: : 　γ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ./　　 ,: : : !:::::::::::::::::::::::::､: : : :,／ 　 |　　　　　 　　　 ＿＿＿_　　　　　　 　 　 　 | 　 |　　　　　　　／　　 　 　 ＼　　　 　 　 　 　 | 　 |　　　 　　／ 　＿,　 、＿　＼　　　 　 　 　 .| 　 |　　　　／ 　（ ―）三（― ）　.＼　　チッ　　.| 　 |　　　　|　　 '"　（__人__）"'　　　|　　　 　 　 .| 　 |　　　　＼　　　　` ⌒ ´ 　 　／　　　　　　　| 　 |　　　　／ゝ　 　 "`　　　　　｀ヽ.　　　 　 　 .| 　 |　　 ／　　　　　　　　　　　　　　＼　　　 　 .| 　 ゝ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,ノ 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　やる夫はこたえず、 　　　そのかわりに、今度は強い舌打ちを鳴らした。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　見る見る、翼の顔が紅潮する。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━┛ _'''''　'''';;;;;;;,,,;;;;;;'''''';;;;,,,,　　　　　　　''';;;;,,,　　　　　　　　''';;;,,,　　　,,,,,;;;;;;'''''';;;;;,,,,＿　　 　 ,,,,,,;;;;;;;'''''' 　　 ,,,;;;''''''　'''';;;;;;,,,,　'''';;;;,,,,　　　　　　''';;;,　　　　　　,,,,;;;;''''　　　''';;;;,,..　　　γﾋﾞ Y　　,;;;;;;;;'''''' 　 '''''''''　　　　　''''''';;;;;;,,,,　''';;;;　　　　　;;''　　　　,,,;;;;;'''''　　　　　　'''';;;;,,,....../ ｷｯ /;　''''';;;;;;;,,,,,, ＼_人人人/　　　　　 ''''''''';;;;;;;;,,,,　　　; 　 　 　 ;'　　　　　　 　 ,,,,,,,,,,;;;;;''''. ゝ !! / 　;　　　　''''';;;;;,,, : :ﾞ） ﾋﾞｷｯ （ﾞ: : : : : /: : : :/ 　 |: : : : : : : : :|　　　　　＼: : : : : : : :|: : : : : : : |..ﾞ￣　　　　　　'　　　　　'''; : /^Y^Y^Y^＼ : : /: : : :/　　｜ : : : : : : : |　　　/.　　　 ﾉL.: : :.:.|: : : : : : : |　　　　　　　　　,,, : : : : : : |: : : : : :.:/: : : :/ 　 　i|: : : : : : : : :|　　 /　 ＿__ ⌒. : : : |: : : : : : : |. 　 　 　 ,,,,,;;;;'''''' : : : : : : |: : : : :.:/: : : :/　　 　 |: : : : : : : : :|i　 /／⌒^＼}　 ＼:.:.|: : : : : : : | ';;;;;,,, ―――ﾄ ､: :.:/: : :.:./　 　 　 i|: : : : : : : : :}__,// _),笊 　 }　 }: :＼: : : : : :.:.:| 　 　 ＼ヽ l｜l｜l｜l｜l｜l｜l｜l /／ : : : : : : |: : : /≧= 云≧s､　 ｉ|: : : : : : :.:./ 　 　 ぃ/}ﾘ　　　 }: : : : : : : : : :.:|.　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　／ : : : : : : |: :,ィi＞⌒,x云㍉￣￣: : : : : : :/:::::::::　 乂rｼ　　　 : : : : : : : : : : : : 　 　 二　　 　 ぶれいなッ！　　　　二 .: : : : : :./=/　　　__)rﾐ,ﾊ　ヽ　|: : : : :.:./:::::::::::　 　 -‐' 　 　 l: : : : : : : : : : 八　　 ／/　　　　　　　　　　　　　　　＼ ＼: : : : :＼{　　　 ぃ{/} ﾘ　　 i|: : : :.:./::::::::::　　　　　　　　　l: : : : : : : : : /　　　 　 // l｜l｜l｜l｜l｜l｜l｜l ヽ＼ ､　＼: : :{　＼ 　　乂riシ　 　 : : : : /　 　 　 ､　　　　 　 　 |: : : : : : : : / : ＼　＼:＼　 　　　―‐ ´ 　 ｜:.:./　　　　　 }　　　　　　　从: : : : : : /　　　　　 __ﾞ''';;;;;　　　 ,,,,;'';, :.:.:.:ﾍ　　＼＼　　　　　　　 　 |: :/__　　　 　 　 　 　 　 　 八: : : : : :./――‐=≦ / ,;'　;'''';;;,,,;'''　　';,;' ﾍ:.:.:.∧　　　､:ヽ　　　　　　｡s≦　 /　　　　　 　 　 　 　 / : : : : : : /.　　　＼_人人人/....　''';;;;,,, /∧:.:.∧　　　',: :＼｡s≦　　　　　 {　　　 　 -- 　 　 　 / : : : : : : /　　 　 　 ） ﾋﾞｷｯ （ //∧:. ∧　 ｡s≦　　　　　　　　　 |　　／　　　　 　 . : : : : : : : :.:/　　 　 　 /^Y^Y^Y^＼ .
37
　┏━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　縁側から飛び降り、走り出て、 　　　翼は正眼につけた。 　┗━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　 /´〉,､　　　　　　　　　　　 　 　 |　|　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,/　 　 　 　 　 }1 　　 l､￣￣了〈_ノ<_/　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　|　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /し　　 　 _　,.イ7_ 　　　 二ｺ ,|　　　　　　　　　　　　　　　　　　 入 ﾊ　　　　 　 　 　 　 　 ､,.ノ　　 ￣￣　　　/Zz 　　 /＿＿」　　　　　|￣|rﾍ.　　　 　 　 　 　 }　||　}　　　　　　　　　　 |し   　　▄　　▅　 　 {二 　　 '´. 　 　 （＾ｰヵ　L__」L/　 　 　 　 　 　 /‐,ｉ|| 入　 ＿　　　　　　　|　　 　 █　　　▆　　|≠、 .　　 　 　 　 r三'_　　　　　　　　　　　　　 , 　 f ||∨∧　ｱ　　　　　 イ7　　 　 ▐▌　　▀   　ﾍ≦z 　　　　　　　 　 ∧　　　　 　 　 　 　 　 _/　　, ⅱ ∨∧〈.　 　 　 　 j{!　　　　　 ▀ 　 　 　 　 ／ 　　　 　 r--､　（/　 　 　 　 　 　 　 　 { V＜/__ｌ!/∧　　 ,　 　 　 　 N　　　　　　　　　　　　/ 　　 　 _,,,ﾆｺ〈　 〈〉　 　 　 　 　 　 　 / 7 / /:イ{}^,: :‘，　 ヽ..　　　　!　　　　 █▃▅ ┃┃  Y 　 　 （__,,,-ｰ''.　　 　 　 /~7 ／）.　　,　//　{: : : }: 八:{:ﾊ ィi〔^},　 　 ,j! 　 　 ▀▀▆. 　 　 　 |! 　　　 　 　 　 　 /二~|/_/∠／. 　 〈_/ =‐〈l: ／:/ }: : }入　∧:.:....＿ﾉ. 　 　 ▆　　▀　　　　} ! 　　　　　　　　　/￣ 」.　　 　 　 　 　 ⌒{　∨tj/　tjV// 〉､ i}:从.ﾞ弋Z7   　▀▅▄. 　 　 　 lN .　　　　 　 　 　 ~~￣.　　　　 　 　 　 　 ｧ　 ,入　　ｨ〈/ 〈　 ゞ／ 　 /　　　　　　　　　　 , _ﾍ 　　　　　　 　 ／^ヽ､　／〉. 　 　 　 　 /: : 　/__爪__ﾊ^/: :,//　　　/, z=≠　　,ﾍ　r≠Z≠匕}z 　　 　 　 ャｰ-､フ /´く／／>.　　 　 ,: : : :{ / {...^..ﾊﾍ {: :./〈. 　 ／´　　　}rﾍV　∨ 　｀＼⌒ 　　　 　 　 `ｰ-､__,| 　　　`"　　　　/: : : : :{{　{....,......〉ﾊ: :{: :{ﾊ 　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,: : : : :_:_{ゝ__ｱ 〈___ﾉ:_:{: :l: :.:, 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :.〈....ﾚ∨, 　 , /...../: ∧:∧ 　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /: : :_:_:_∧__{ v}　 i},'__∧弋: 〉:.∧ 　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /＞ｧ　　|　　}i ^ {j ^∨　|⌒^＼: ∧ 　　　　　　　　　　　　　　　 　 ∧...|　　｜ /...{　　　 }∧i|　　 /..):)^ 　　　　　　　　　　　　　　 　 ∨∧ｉ|　　｜......∧　　 /...∧　 /...//...／ 　　　　　　　　　　　　　　　　 f＜入　　ｨ...........∧　 }.....,..∧/........／＿ 　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |_ ＼　ｱ　{.....＼.../　〈.../....../',¨¨¨¨／ | 　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |ﾆ＼＼　 |.........入辷/＼..../　 ｡s≦ィﾆ! 　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |ﾆﾆ∧∧｜.／ /　　‘， ゝ' /　/ﾆﾆﾆ=| 　　　　　　　　　　　　　 　 　 入..ヽ∧∧　　,　　　　　 　 /　/ﾆ/...／{ 　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ∨∧,∧..ｱ　　　　　 ヽ〈＼ ＼...〈　 {
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　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＿＿＿ 　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　 ＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／＿,　 、＿　 ＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／ （●）　（●）　　　＼ 　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　（__人__）　　　　　　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＼_　　 　 　 　 　 ＿／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 / 、　　 　 　 、 ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　 |　|　　　　　　|　｜ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |　|　　　　　　|　｜ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ヽ.|　　　　　　ヽィ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾒ . ヽ　 ＿_　 　 ﾉ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ.　　_|　　| _|　　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 （＿＿,（＿＿） 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　やる夫の方は、 　　　木太刀をだらりと引っさげたまま、 　　　ｼﾞｯ 　　　凝と、翼を見つめているではないか。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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　　　　　　 　 /: :.｡＜/=＼ r---ヽ: : : : : : : ＼: : : : :.:／　　 |: : : : : : : : : : : : : : |: : : : : :＼ 　　　　 　 　 r＜　　/二=,ﾊ ∨∧/ヽ: : : : :.:／＼: ／　　 　 | : : : : : : : : |: : : : :ｉ|: : :＼: : : :.　 ━┓ 　 　 　 　 　 |　　　/二ニﾆ∧∨∧/∧: :／r云芋＼　 　 　 | : : : : : : : : |: : : : :ｉ|: : : : :＼: : :　┏┛ 　　 ＿＿＿_|ｉ　　/ニニニニ}, ∨∧/∧＜{ﾏ(　 __)心､　 　 |: : : : : : : : :八 : : : |: : : : : : :＼　 ・ 　　∨..............|i 　/二二ニﾆﾆ}　 }......}//,}: :∧ 　 ぃじﾘ ＼　　: : : : : : : :/}: : : : :.:|: : : : : : : : : .　　 ∨----i!　/二ニニニﾆ八 i|.... }//,l: : :∧ 　ゞ‐ ' 　　 ´ |: : : : :___/＿: : : : ﾘ: : : : : : : : : ｡s≦: ∨　　 ゝニニニニニ/　 /.....///!}: : : ∧　　　　　　　 |: :.／笊ミ,　ﾊ: : :./: : : : : : : : : : : : : : : :.∨　　　≧=―‐=≦　,‰....///!/: : : : :∧　　　 　 　 i|: : : ん,ﾘ//: : : :./|: : : : :|: : : /￣￣￣￣￣￣￣ヽ : : : : : : :.∨　　　∧≧=‐=≦......％//‰: : : : : :.∧　　　　　　|:／ ゞ '　, : :{: :/ 从ﾊ: : |: : : |　　永井殿…….　　| : : : : : : : :.∨　 　 ∧: :＜≧=≦/＞´　 ⌒宀､: : ﾊ　　　 　 ／　　　　/: : :{:/|　　　} : |: : : ヽ＿＿＿＿＿＿＿/ : : : : : : : : : ＼　　 ,∧: : : : : : : : :ﾄ､　　　　　　＼: ｌ　,　 ―　､　　 　 ,: : : :{,':.|　　　| : |＼: : : : : : : : : : : : : :.:＼　　 　,: : : : : : :./　　 　 　 　 　 ヽ　　　　　　　　　. : : :/: :.:|　　　|: / : : : : : : : : : : : : : :＼　　ヽ:_:_:_:_:/　　　＼　　　　　　　　　　　　　 人ア^‘，:.:|　　　|/ : : : : : : : :ィi〔￣￣　＼ 　 ＼　 〈ヽ　　　 ＼　　　　　　　　　　. : : : : |　　 ＼! : : : :％＿＿＿＿　　　＼　　＼∧,＼　　　　　　　　 　 　 ィﾊ: : : :.:.:.| ⌒＜: : : : : : : : : : : :.≧=‐＼__/　∧　＼　　　　 /＞ ＜∨　∧: : : :.:| 　　　　　 ＜: : : : : : : : .｡＜　 　 ヽ∧ 　 ﾊ　 r<7 　 　 　 ∨　∧: : :.:| 　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＿＿＿ 　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　 ＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／＿,　 、＿　 ＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／ （●）　（●）　　　＼　　…… 　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　（__人__）　　　　　　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＼_　　 　 　 　 　 ＿／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 / 、　　 　 　 、 ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　 |　|　　　　　　|　｜ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |　|　　　　　　|　｜ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ヽ.|　　　　　　ヽィ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾒ . ヽ　 ＿_　 　 ﾉ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ.　　_|　　| _|　　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 （＿＿,（＿＿） .
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 入 ﾊ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　||　} 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /‐,ｉ|| 入　 ＿ 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 , 　 f ||∨∧　ｱ 　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 _/　　, ⅱ ∨∧〈. 　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 { V＜/__ｌ!/∧　　 , 　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 / 7 / /:イ{}^,: :‘，　 ヽ.. 　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,　//　{: : : }: 八:{:ﾊ ィi〔^}, 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〈_/ =‐〈l: ／:/ }: : }入　∧:.:. 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ⌒{　∨tj/　tjV// 〉､ i}:从.　　これ、永井殿。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｧ　 ,入　　ｨ〈/ 〈　 ゞ／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : 　/__爪__ﾊ^/: :,// 　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,: : : :{ / {...^..ﾊﾍ {: :./〈. 　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /: : : : :{{　{....,......〉ﾊ: :{: :{ﾊ 　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,: : : : :_:_{ゝ__ｱ 〈___ﾉ:_:{: :l: :.:, 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :.〈....ﾚ∨, 　 , /...../: ∧:∧ 　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /: : :_:_:_∧__{ v}　 i},'__∧弋: 〉:.∧ 　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /＞ｧ　　|　　}i ^ {j ^∨　|⌒^＼: ∧ 　　　　　　　　　　　　　　　 　 ∧...|　　｜ /...{　　　 }∧i|　　 /..):)^ 　　　　　　　　　　　　　　 　 ∨∧ｉ|　　｜......∧　　 /...∧　 /...//...／ 　　　　　　　　　　　　　　　　 f＜入　　ｨ...........∧　 }.....,..∧/........／＿ 　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |_ ＼　ｱ　{.....＼.../　〈.../....../',¨¨¨¨／ | 　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |ﾆ＼＼　 |.........入辷/＼..../　 ｡s≦ィﾆ! 　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |ﾆﾆ∧∧｜.／ /　　‘， ゝ' /　/ﾆﾆﾆ=| 　　　　　　　　　　　　　 　 　 入..ヽ∧∧　　,　　　　　 　 /　/ﾆ/...／{ 　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ∨∧,∧..ｱ　　　　　 ヽ〈＼ ＼...〈　 { 　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＿＿＿ 　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　 ＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／＿,　 、＿　 ＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／ （●）　（●）　　　＼　　…… 　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　（__人__）　　　　　　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＼_　　 　 　 　 　 ＿／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 / 、　　 　 　 、 ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　 |　|　　　　　　|　｜ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |　|　　　　　　|　｜ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ヽ.|　　　　　　ヽィ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾒ . ヽ　 ＿_　 　 ﾉ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ.　　_|　　| _|　　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 （＿＿,（＿＿） .
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.　　 　 　 　 ＼＼＼　　　　　　 　 　 　 　 | |　　　　　　　　 //　　　　 　 　 ／／ ﾆﾆ二二二|: : : ＼＼＼:./: : : : : :/ /: : : : :ﾞ| |ﾞ: : : : :/　　　 //: : : : : : : : :ﾞ／／.ﾞ二二| ﾆﾆ二二二|: : : : :.ﾞ＼＼ﾞ: : : : :／ /: : : : : :ﾞ| : : : : :/　　　 /. Ⅵ: : : : : : :..ﾞ／...二二二| ニﾆﾆ二二{: : : : : : : : / ＼.／　 /: : : : : : :.|..: : : ,　　　　/....　Ⅵ: : : :..ﾞ／.∧ﾆニニニ| 二ﾆ=‐ 　 ∧ : : : : :￢-ミ.,　 　 ,′: : : : : : : : :／　　　 　 　 斗f七: : : :　/　　, ‐=ﾆ二 ﾆ∧:.:.:∧　∧: : : : /／≫ｧ=ミｔ､: : : : : : : : :／　 　 　 ,jＩ斗劣ミｔ､ : : : : :/　　/:.:.:.:/二 二∧:.:.:∧　∧: : .,イｉ／^ん//沁＼: : : : ／　 　 　 ／ｨf//沁^＼〕iト: :,'　　/:.:.:.:/二=.　　　　　|＼　　　　 /＼　　　　　/ |　　　／/　 / ∨=∧:.:.:∧　∧: :ゞi:{ 　 h {/,}刋＼≧／　　 ｀ ≦／ h {//刋 　 )i:/: ,′　,:.:.:. /二ﾆ/　　　 ＿|　 ＼/＼/　　 ＼／＼/　|∧／　/／/ :.∨=∧:.:.:∧　∧: :', ＼　い//}リ : ／　　　　 　 　 　 い//}リ　／/:./　　/:.:.:./二ﾆ/: :.　 　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　/ : :.∨=∧:.:.:∧　∧: :'，　 乂^)少／　　　　 　 　 　 　 乂^)少　　/:./　　/:.:.:.ﾞ＿ ＿...: :.　 　 ∠　　永井殿、さ、まいられい！ 　　＞ :.ﾞ＿ ＿ ＿ ＿ _ ∧:. :,　 ｀ ー‐　 　 　 　 　 　 　 　 　 ‐一 ´　 /:.,─ ─ ─ ─ ─..ﾞ:.　　　 ／＿　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ ＼ :.ﾞ─ ─.ﾞ∧:.:.:∧　∧:.‘，　　　　　　　　　.:| 　 　 　 　 　 　 　 /:./　　/:.: ￣ ￣ ￣...:　　 　 ￣　/　／∨|　/Ｗ＼　　/＼|＼　 .|　￣ :.／　 ≧s｡.,_＿,i＿__i: : ｉ　　　 　 　 　 　 :.}　　　　　　　　　　/:./＿__ｉ＿_,ｉ.｡s≦　　 ＼.　 　 　 /／　　　|/　　 　 ＼/　　 　 ＼| /　　　　　∨ ∧ ∨: : :.:|　　　　　　　　 ＿＿＿　　 　 　 　 ,′: : : / /　　/ 　　　 　 　 ∨ ∧ ∨: :.ｉ|＼　　　　　　f:.:.:.:.:.:.:.:.:.}　　　　　 /: : : : :./ /　　/ ――――‐ ∨ ∧ ∨: :| 　〕iト　　　　乂:.:.:.:.:.: ﾉ　　　　ィi〔: : : : :/ /　 ＼.　￣￣￣￣ :.:.:.:.:.:.:.∧　　 ∨ ∧ ∨:|....　　　/....　　　￣. |　　　　　/ /: : :.:／ /　　/....＼.:.:.:.:.:.:.:.:/ :.:.:.:.:.:.:.:.:∧,　　∨ ∧ Ⅵ 　 　 /.....　＞.　 　 |　 ＜　 / /: : ／　,/　　/　/:.:.:ﾞ＼＼:./ 　　　 　 　 　 ／　　　　　　　/ 　 　 　 　 　 | |　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼＼ .　　　　 　 ／　　　　　　 　 /　　　　　　　　 | | |　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＼ 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　やる夫はこたえず、 　　　木太刀を構えようともしない。 　　　構えないなら構えないなりに、 　　　立ち合いの姿勢をとっているかというと、そうではない。 　　　いまのやる夫なら、子供でも打てると思えるほどだ。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＿＿＿ 　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　 ＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／＿,　 、＿　 ＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／ （●）　（●）　　　＼ 　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　（__人__）　　　　　　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＼_　　 　 　 　 　 ＿／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 / 、　　 　 　 、 ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　 |　|　　　　　　|　｜ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |　|　　　　　　|　｜ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ヽ.|　　　　　　ヽィ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾒ . ヽ　 ＿_　 　 ﾉ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ.　　_|　　| _|　　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 （＿＿,（＿＿） .
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　　　 　 　 　 　 アﾆﾆﾆﾆﾆﾆ{: ∨: :＼ 　　　　　　　　〃:／ｱ: : : : :.≧=‘，: : :＼ .　　　　　 　 /^^: : : l: : : :fヽ: : : :.:∨: : : :.＼ 　　　　　　　, : : : : : |: : : /ｰ＼: : :.:∨: : : : : : 　　　　　　　{: : : :.:./|: : ,　／　ヽ: :r＜: : : : : l 　　　　　　　|: : : ＼ !: ,／,x笊ｶ V // }: : :.:.:.|　　　　永井殿。 　　　　　　　|: : :./r笊 　 / vﾘ/: { i{.{　|: : :.:.:.| 　 　 　 　 　 : : ハ ゞ'　'　　　 {:.八{ {　|/}: : :八.　 　 そこもとは…… . 　 　 　 　 八: |:叭　　に≧　{: : :/ ア /: :./: : ＼ .　　　　　　 　 ＼:.父　 　 　 八:./爪／⌒^: : : : :.:＼ .　　　　 　 　 　 　 V--≧≦　∧＜: : : : : : : : : : : : : ≧s｡.,_ 　　　　 　 　 　 ⌒ｧ‐=≦　}i / 　 ／ ア　宀宀ﾐ: : ＜:_:_:_:_: : :＼ 　　　　　　　　 　 /: : : : :) f,〈 ＞'...≦　　　　　　 . : : : : : : : :.:.＞＼ 　　　　　　　　　 ,: :ィi〔..〈笊r-',⌒＼.....‘， /＼　　, : : : : : : : : : :∧ 　　　 　 　 　 /:/　_ /../ /^.......∧　 ‘，..,　{.........,　　,: : : : : : : : : :.∧ 　 　 　 　 　 ,: / /..V　 /...............∧　　ヽ}-〈.......∧　 ,: : : : : : : : : : ∧ 　　　　　　 /: ,　 {./　‰............,...／ ， 　 ﾊ　，........〉 　 . : : : : : : : : :∧ .　 　 　 　 ,: :/　 /　/.................{/　　 }　 　 }　‘，......,　　ゝ :_:_:_:_:_: : : ∧ 　　　　　 /:./　 ｉ{　 {＜............八　　 }　　入,　, ∨..∧　　‘，/...........⌒^: 　　　　　{: / 　 八 八　ヽ../......ｱ≧=‐=≦　} ,　　,.......--､　 ,..........................: 　　　　　{/　　/.....ゝ　ア ＼..／　　 |　 / 　 }　　 ∨........∧　 ,.......................: 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　木太刀を引いた翼が、 　　　怒りをこめた声で何か言いかけたとき―― 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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　　　　　　　　　　 ノ　　　　　　　　　 　 ＿＿＿_ 　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　 ／　　 　 　＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　＼ 　　　　　　　　 Ｚ.　　 　 　 　 　 ／ 　　　　　　　　　 　＼ 　　　　　　　 　 c）　　　　 　 　 |　 　 　　　　　　　 　 　 | 　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　 　　　　　　　　　,／ 　　　　　　　　　 ﾚ |　　 　 　 　 ／　　　　　　　　''⌒ ＼ 　　　　　　　　　　丿.　　 ／.　 /　　　　　　　　　ヽ 　　　} 　　　　 　 　 　 　 　 　 〃(.　　|　　　　　　　　　　　ヽ､_ノ 　　　 　 　 　 　 　 　 　 ゝ---―　　 　 　 　 　 　 　 ） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　〈 　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 {　　　　　　　　　　　ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　＼　　　　　ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　 　 　＼　　　　 } 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　| /　　　/ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　/ .|　　　/ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　＼ゝ　 ＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣　　 ￣ 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　やる夫はくるりと翼に背を向けた。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　そして木太刀を袋の中にしまった。 　　　袴の股立をおろし、たすきを外した。 　　　これは、まさに翼と闘う意志のないことを、 　　　かたちで示したことになる。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐　‐- ､ 　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　＼ 　　　　　　　　　　　　　/　　　_,　　　　　　ヽ 　　　　　　　　　　　　 ,ゝ､ﾉ´(● )　　　　 　ヽ 　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　)＿ 　　　　　　　　　　　　| ゝ ' ｰ'　　　　　　　／　　 ｀ヽ 　　　　　　　　　　　　ヽ　ー‐　　　　　　　　　　　　　｀ヽ､ 　　　　　　　　　　　　　 `ヽ_　-‐　　　　　　　　　　　　　　＼ 　　　　　　　　　　　　　　/　　ゝ'"　　　　　　　≦､　　　　　　ヽ 　　　　　　　　　　　　　 ﾉ　　　　　　　　　　　　　　｀フ￣　　　/ 　　　　　　　　　　　　 /　　 ヽ　　　　　　　　　　　 /　　　　 ／ 　　　　　　　　　　　　/　　　　r- ､' ヽﾍ ､-ｭ　　 _ﾉ　　　 ／ 　　　　　　　　　　　 ﾉ　￣￣└-ﾒ_j .| | |~ﾞi||-､￣ヽ. ／ ﾞi 　　　　　　　　　　　i　　　　　　 'ゝ､_｀`´-ｲ||　ﾞi　　 |¨`‐-'．_　　　しゅ 　　　　　　　　　　　ゝ､　_ -‐'"´　　 j　└'"｀Tﾉゝ､ﾉ‐-．_　　~¨ ‐-．_ るっ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i､　　　　｀`´　　　　　｀ヽ` ‐-．__ ` ‐-．__ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ヽ　　　　　　　／　　　ヽ､　　　` ‐-．__ 〉 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　ヽ　　　　 ／　　　　　　ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　 ＼　　/　　　　　　　　ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　,‐､　　　　　　　　　 `､ ────────────────────────────────────── ||　 |: : !: |: : ／ヽ､: : : :,. -ヾ:i: i:/: : : : : : : : : : :　: : :|: : : : |.:､: :ヽ ||　 |: : !: ﾚ: :.:.:,.-''＼　　　　 Y: : : : : : : : : ｲ: :i: : : : |: : |: :.!: ヽ: :ヽ ﾘ　 !: : !: |:ノr＝=＼ヽ　　 　/:.:. : : : : : : ｲ;!i:/!: : : : !: : !: :.|:.: ヽ: :ヽ 　　|: : !: |´ |!'　　ヾﾐ､ヽ 　 /.:.: : : : : :／ヾ/ｨ:. : : : .:| :.｜: |:.: : ヽ 　,/: : :!:|　　　 /し;; } iﾐヽ /:.:.: : : :.／　　　 |:. : : : :.!: : :|: ｜:.:. : : ノ: : : :.!:|　　 　トYソ　 ! ｀!:.:.:. : : /　　　　　|:. : :.: :!: : : !:. :|:.:.: : : :.:. : : : !:|　　 ヽ､´　　　　 !:.:.:.: :/ 　＿＿__ ,!:.: :.: :.!: : : !:.: :|:.:.:.:. :　　　………… :.: : : : ,!:|　　　　　　　　　 |:.:.:.:/ ィ=ﾐヽ､　 , !:.: :.: :.| : :/:.: /i:､:.:.:.: :.: : : /!:ﾉ　　　　　　　　　 !:.:.:.! /ｯｿ　ﾉ'／:ハ:.:.:.:!: : :ﾊ:.: /:!:.!ヽ:.:. :. : / ,/　　　　　　　　　 ,.ヽ:.:.|ヽ｀´ '／:.:/　 ﾊ:.:. ヽ:/　v/:.!: :! ヽ:.: :／ ヽ　　　　　　　 　　 '　 ヽ|　　／:.:. /　/ ﾉ＼:!:ﾒ　/ﾊ:. !: :.! ヾ ､　　 ヽ　　　　　　O　　　　 ｀ /:i: : :.:./／／!:.: : ﾒ　/　 |: :!: :.! ────────────────────────────────────── 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　翼は、むしろ、あきれたように やる夫を見まもっている。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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────────────────────────────────────────────────── 　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿＿＿＿ 　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／ 　　 　 　 ＼ 　　 　 　 　 　 |i:i:i:i:i:i|　　　 ／　―　　― 　　＼ 　　 　 　 　 　 |i:i:i:i:i:i| 　 ／　（●）　 （●）　 　 ＼ 　　 　 　 　 　 |i:i:i:i:i:i| 　 | 　 　 （__人__）　　 　 　 | 　　 　 　 　 　 |i:i:i:i:i:i|　　＼　　　 　 　 　 　 　 ／ 　　 　 　 　 　 |i:i:i:i:i:i|.....　／ ゝ　　 　 　 　 ィ'ヽ　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　 　 　 　 　 |i:i:i:i:i:i|..ﾞ／ 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼ 　　 　 　 　 　 |i:i:i:i:i:i|/　　 ｨ　　　　　　　　　 r 　 ＼　　　　　　　　　 　 　 　 永井やる夫は、両刀を腰へたばさみ、 　　 　 　 　 　 |i:i:i:i:i:i|. 　 `||　　　　　 　 　　　|ヽ　　ヽ 　　 　 　 　 　 |i:i:i:i:i:i|.ﾞ⌒ヾ|　　　　　　　　　　|　|,　　|　 　 　 　 　 　 　 　 　 両刀を置いた茣蓙をくるくると巻き、 　　 　 　 　 　 |i:i:i:i:i:i|..___,ｿl　　　　　　　　　　│（ ,,_,ﾉ　 　 　 　 　 　 　 　 　 これを台所の戸口へ立てかけた。 　　 　 　 　 　 |i:i:i:i:i:i|　　　 |　　　　　　　　　　| 　　 　 　 　 　 |i:i:i:i:i:i|...　　　l　　　 Y´　　 　 /　　　　　　　　　 　 　 　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　 　 　 　 　 |i:i:i:i:i:i|...　　　ヽ,　　 （ 　 　 ,/ 　　 　 　 　 　 |i:i:i:i:i:i| 　 　 　 ヾ　　|　　　| 　　 　 　 　 　 |i:i:i:i:i:i|　　　　　　≒;|　　　| 　　 　 　 　 　 |i:i:i:i:i:i|　　　　　　(.（"＿｀ﾞ_） ────────────────────────────────────────────────── 　　　　　　　　 |: : : : :/: : : : : : : : : : : : : /∨: : : : : : : : : |: : : : :|: : : : : 　　　　　　　　 |: : : :/: : : : : : : | : : : : : / ^∨: : : : : : : : :|: : : :_:|: : : : : 　　　　　 _　　｜: : :l: : : : :.:.:／|: : : : :./　　 ', : : : : : : : : |: :／/|: : : : : 　　　 　 ∨, 　 !: : : |: : : :／ 　 : : : : /　　　 ∨: : : : : : :.／//,｜: : : : .　　 　 　 ∨＜l: : :.:|: _∠　　　|: : : /　　　　 斗ｬ允: : /　/:.:7,'|: : : : : 　　 　 　 //＞∧:.:.:|:/≫云ミ i|: :.:/　　 ,jＩ斗劣ミ: : : /　/:.://,'!: : : : : .　　　 　 ∨∧:.:∧: |i { 　_）ﾊ ヽ: :′　/ 　_,)ﾊ　/: : /　/:.:/// |: : |: : 　 　 　 　 ∨∧:.:∧:　　 乂ソ{:.:/　　　　 乂ソ　 }: /　/:.:///　 ￣}: :　　　な、永井殿…… 　　　　　　 ∨∧:.:∧　　 ー　ｌ/　　　　　　ｰ　　 l/　/:.:/// 　 　 i|: : .　　 　 　 　 ∨∧:.:∧　　　 　 　 '　　　　 　 　 ,/　/:.:///　　 ／ !: /...　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　　　　 　 〉/∧:.∧　　 　 　 ---､　　　u　 i{　l{:.:.ｌ/,'{ ＞´ /:.:⌒/ 　　　　　　　/:.:≧―≦介 　 　 ゝ　　'　　 　 　 |≧=‐‐=≦　 /: : : /:　　　　　翼は、かすれた声で何か言いかけたが、 　　　 　 　 /: : : : :|: :| }:/　 ＞ 　 　 　 　 ＜　　|: :/　／　 ／＼: :/: :　　　 　 言うべき言葉が無かった。 .　　 　 　 / : ィi〔 ｉ|: :| |′ 　 　 l　 _　　　 　 ／i|:/,／　 ／＿＿＼: : 　　　　　/: :≧=‐八/＿ 　　　　{__　　　‐= / 　 {/ 　 ／^: : : : : :./: :　　　　　 養子希望の試合相手が、 　 　 　 /: : : : : : : : : : : : : ミｔ､　 ﾏ}　///／　＞〈__／: : : : : : : : :{: : :.　　　　　このような振る舞いをしたのは、はじめてである。 .　　　_/-----r----r‐=≦　　＼∨/,／＞ ´　　　　≧s。:_:_:_:_:_!: : : 　　 /　　　 　 ゝ: : : :＼　　-- ___ヽ//／　　 ＿＿＿_ ／:.:.:.:/　 |: : :.　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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三ヽ:; ;:;: :;'':; : ;;:: ;:: ∨ :ﾊ:;: ;: ;:;／:; :; :ｿ:; :; :!　/:;: :;: '':; 　:; 　:.　:　:;;'':;Y:;:; : :;｀ヾ＼ :; :: ;ｨ､:; __:ｒゝ　ﾊ:;.: :.: : ; r'´　:'';　:j　!:. :,ｲ　''　 /..;:　:'　 .,;:;':,ｲ:;: ; ;:;: ;: ｀ヾ,､＝=≧ｭ､Yｌｊ　 .}:;: ;:; ;;rj:;　　::.; /　j:;ノ:;: ;: :; :: ;:; :;: ::; '' :;: :;j!;;: ;: X;:: :;: : :;:ﾊｌヽ;:ﾐ｀ｰ-､ミi!　hヾ:;: :ｿ;:::　:; ,;ｲ／ゞY:;彡_ノ:;: :;: 　:;; ''　,;イ-='´ ;: : '': :;:; : : :ヾ｀ヽ;:; :;:j| li! ﾄ=､＼j! :;ィｰ' ,ﾉ:; ;ｲ7ｊ /＿:;: :;: :; :: :;: :; :ﾉ/:;: ;;: ;:: : : :　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ': :;:; ::;: :; : ;: ;:　 やる夫が銀杏の樹のところへ戻ってきて、　　　　　　　_ ;:;: :ゞ,､: ;; :.　 幹に立てかけておいた木太刀の袋を手に取った。　　 : :; ~ ソイ ;: ::　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ;:'':;: :j/:;__ ;: ;.　 涼風が吹きながれる裏庭の何処かで、.　　 　 　 　 　 ヽ,:: /rｭ＿ : : :.　秋の蝉が鳴いていた。　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 \ｊ/ ,:; :;;: ヽ='　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 :; ｲﾊ .,;:; : ゞ‐=-‐'´:;:; :;￣¨ー-!7''ｲｿ´　ﾐヽ!,, ヾY　:　:　,　'':;　:;::　:; :; : . .,.: ;; ヾ l.;: :;: :; :;:;::;: : ;:;: : :; :;; : ; r､ｊ　彡　　 : :lｒ'ｲ !{ ヽ__　　　 :; :;:: :; :; :: : ;:;: :;: :; } l|:;: :; : ;:; :;;: ;: ;;: :;' :;; ;: : .Y|}ィ　　　　ミ{ﾄ''　ﾍ　｀ヾ､＿,,ィ'' :; :;: ''　＿ _三ﾆノ:: ;: ;: ;; ;:: :; :;; ;:: :: ;:'' :; ::T'' __,,ィ　=ｭ''　 ヾﾊ　,,ィ´　　 __ ==--'´:;: :;:; :;: :; : ;:: ;;':; :;;' ;: :;:: :;; :; : ; :; ﾉｿvゞ,､　　｀ヾ｀　ﾐ Y/j/　 ィ´:;: .;:: ;:; '':;:' :;: :;: ;: ; :: ;:; ;:; :;; ;: ;::; ;:;;'' :;: :;ィ’ノ!fy彡ﾍ_ｒィY　　ミ }!j/j/　j:: :; :; ::: ;: ;: ;::: ;: : :; ::;''': ;: ;:;; ;::: :;;:; :;: ;: :; {イヾ''tｿvゞｿxfyヾ ￣ヾﾐ!|-':;｀´ : ;: ;: ;:::;':; :;::: ;,.,..;:::' . :;;ィヾ :;; :;; :;: :;;;: ;'' :;:; 〉ｲ/ｿfyゝ=-yｿfﾐ｀ヽィ ミｌ! : ;: :: ;;;: :::';;;:': :: :: :;:; ;:;-''¨´ :; ;; ;:;'' ::;: ::: ;:;: /j/j/　　　　　 ヾﾐｲｊ　　ﾐl|!:;:;: ;;''.;　:.;'';:;..,　{'´~ ｀;: :;; :; :: ;:'': ;::;/1j!/j/'´　￣｀ミ ﾉ彡￣ヾ!|::; ;:'' :;:　:;: :;;　''´ 　ヾ:;:: ;:;: ;;::: ',//j/イ　　　　　　ゝ''　￣ミｌ!:;:　:;: :;: ;ｲ´ 　　ゝ:; '':;;:: ::;ﾉX/j/´-―　ｰ-､ ｊ　　　ﾞ''ヾ!: ;:; :; ´~ 　　{:;:: :;:;;: r'ﾐY彡yｨ彡　ｲ{ 　 Yイ　　ｰ　ゝ;''´ 　　　｀ヾ:;: '-yｲ!/´　ｒｲ>=ｭ､　''　　　　　ﾐﾉ.　_＿＿＿ 　　　　　　ヾj//　 Yミｒ　ヾミヽY-=三ﾆミ| ／　 　 　　＼ 　　　　　　 /j/jｨ　 ｿ' ｲ彡≧　l|　　＝..ﾞ／─ 　 　─　　＼ 　　　　 　 /ｊ/lj/j/イ　｀''　三ヾ!　　　／　（●）　（●） 　　 ＼ 　　　　　 /j/i/ｊ!/ ｿ　　ﾐ 　 　 i!　 ﾐ. | 　 　（__人__） 　 　　 　| 　　　　／ミヾ!ｊ/ ｨ /: :　　　　 j|ﾐ...　　＼.　 　 　 　 　 　 　 ／ 　, イ´ミヾソｲ/ｊ彡!:: j　　ミｿi....　　　／　!::::　　　　　　　 　ﾍ ´ミヾ､ ソｲ/／ｲｊ ｌ: :ｲ　　ﾐ|l|　　＿,,.ゝ＿|::::　　　　　　 ﾍ　　ﾊ 　　ソｲ/シ/: :;'　ｊｿ彡 _,．､ヾ　 ｀7　ｒ￣.|::::　　　 　 　 　 ＼／ ソｲ/!／//:_ノ　/_ ｿ'　　　)　　 /　/ 　:ﾞ|::::　　　　　　　　| /!l//／r''´;_:_::　r-'j　__,ィ''　　/　/　 '/:ﾍ:::::　／ 　 　 　 i /!ｲ,ソ´ヾﾐ}　　ヾ!/イ≦'´}　 /　/　 ＼: :.ﾞ＼: |　 　　　／ ヾミｲ　彡ｿ　　 ﾊ　川イx ､./　/,z　ヽ､ヾｒｆ; ﾍ＼＿／| : : : : : :／　;;:'ｿ: : ∨ｲ: : :ヽ~￣｀: : : : : :ミヾ: : :＼＿／ { .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　翼へ背を向け、 　　　歩みはじめた永井やる夫が、ふと足をとめ、 　　　振り向いて翼を見据え、いきなりこう言った。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　 　 　 　 　 　 ＿＿＿_ 　　　 　 　 　 　 ／　　 　 　＼ 　　　 　 　 　 ／　─　 　 ─　＼ .　　　　　　／ 　 （●） 　（●） 　＼　　　このような女、抱く気もせぬ .　 　 　 　 |　 　 　 （__人__）　　 　 | .　　　　　　＼　　　　 　 　 　 　 ,／ 　　　 　 　 　 i　　　　 ー´　　　ヽ .　　　　　　　 { 　 　 　 　 　 　 　 ヽ .　　　　　　 　 〉　　　　　 ヾ　　　　ヽ 　　　 　 　 　 i　　　　　　　 ＼　　　ヽ .　　　　 　 　 {　　　　　　　 　 ｀i　 　 } .　 　 　 　 　 ヽ　　　　　　　 　 |　　 i .　　　　 　 　 /　　　 　 　 　 　 |　　〈 　　 　 　 　 /　　　　＼　　　　〈　__ノ .　 　 　 　 〈　　　 __,,―丶　　　｀´/ 　　　 　 　 ＼　 　 |　　　|　　 　 / 　　　 　 　 　 ＼　 |　　　:|　　　 i 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　言うや、やる夫は颯と身を返し、 　　　たちまちに翼の視界から消え去った。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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　　　　　　　　　　 /: : : :／,/.: : : : : :. :./.: : : :. :./}:,.: : : :.∧ ＼.: : : : : : : : : : : : : : : : :.＼ 　 　 　 　 　 {{ 　 ,: : : :////: : : : : : : :/|: : : : : /{{/_}.: .:./ ∧} },＼.: : : :. :. :. :.＼.: : : :. :. :.＼ 　　　　　　　 { ,　 {: : :////: : : : : : : :, ｜: : : :/ ^　 |.:. :.:./: :}/ }: : ヽ : : : : : : : : ＼: : : : : 　　　　　　　 {∧ ｡s≦//,{.: : : :. :. :./　 !: : : / 　 　 !: :|.: :. :.|:. ,}　 　 ＼.: : : : : : : :.＼: : 　　　　　　　 ,　 {/〈: : }^{ |.: :. :. .:._/　　|: : /　　　　l,: :|.: :. :.| ∧　　　　　.: : : : : : : : : 　 ‐匕_ 　　　　　　　 ∨ {/∧:.{　!: : : : : :,x=ミ､ :. /　 　 _斗也､: : : |// ヽ　　　　 ‘，.: : : : : : 　 （乂 ） 　　　　　　　 ∧ {//,}:.:{　: : : /《　んﾊ　|:,   :::::::::　んﾊ　》 }: :}:},.: : :.＼　　 　 : : : : : : : : 　　　　　　／: : , {//}:.:.',｜:.: {　　乂ｿ　′:::::::::　乂ｿ　 { | /:,'}.: :. :. .:.＼　　 }: : : : : : : : :　　 ￣） 　 　 　 ／: : : : : ,∨,'!:.:.:',{ : : |＿ ｀¨^　　　 　 　 ^¨´　从/:},/.: : : : : :. :.＼　: : :.:|: : : :.:|:　　　 ・ 　 　 ／: : :.γ ￣ヽﾏ込_八 : |　　 ￣　ア　 '　　　 　 八/ 7.: :. :. .:.＼: : : : : |: : :.|.: : : :.|: : 　 　 ・ .　 : : : : : :.,　　　 　 ＼ ＼, ＼　　　　 /　r　 ,　　　 〈: /}/ヽ＿.: : : : :.＼.: .:.≧=‐‐=≦}: : :　　　 ・ /r‐=≦　/　　 　 　 　 ヽ { ､ 　 　 　,〈　　　 　 .　　 {:/ /　　　//}.: :. :. :.＼.: : : :. :. :. :.＼ : :{/////777≧s。_　　　＼,　｀''＜　 ∧＞　＜　　 从/＞''´} ,/,'}.: : : :. :. :.＼: : : : : : : : : :Ⅶ////////////≧s。__　 /:.:.:.:｀''＜ﾍ /　　　＞''〈　　　 : //,.: : : : : : : :. :.＼: : : : : : : : Ⅶ/////////////////≧s : :／　　＼}　／＼ : :∧ }　 }//,}.: : : : : : : : :. :. :.ヽ: : : : : .:.:.:.Ⅵ///////////////////∧　　　 　 笊　　　＼:.∧{　///,}: : : : : : : : : : : : : :.＼: : : : .:. :.:.∨//////////////////,'!∧　　　〈/乂_〉　　　＼:}{ ////}: : : : : : : : : : : : : : : : ＼: : 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　翼は、ひらいた口をそのままに立ちすくむかたちとなった。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＼_人人人/　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,/　 　 　 　 　 }1 : : : :／: : : : : : : : : : : : :／.: : : :./ : : : : : : : : : ,: :,.: : : : : :..ﾞ） ﾋﾞｷｯ （ //∧ : : : : ///}　　　{　 　 　 　 　 　 /し　　 　 _　,.イ7_ : :／.: : : : : : : :. :. :. :.／: : : : : :/.: : : : : : : :. :.{/w/.: : : : :../^Y^Y^Y^＼ /∧: : :.////} }　　 〈.　　 　 　 ､,.ノ　　 ￣￣　　　/Zz : : : : : : : : : : : : : :.／.: : : :.／:/.: : : : : :. :. :. :.|　/ : : |.: : :. :. :. :.|.: : : :.}//｡s≦,＼///: :! ／}∧　　　　|し　　 　 　 　 　 　 {二 .: : : : : : : : : :. :.／: : : : ／: : /.: : : : : :. :.|: : : | f: : : :.|.: : :. :. :. :.|.: : : :.〉///////,'＼: ／／{} ∧　　　 |.　　　　 ひ 　 　 　 |≠、 .: : : : : : : :. :.／: : : :.／.: : :./.: : : :. :. :./｜.:..:.| l: : : : |.: : :. :. :. :.|: : :.ｱ　 〉////////〉／　, }/ ∧ . イ7　　　　　　、　　　　ﾍ≦z : : : : : : : :／: : : :／/.: :. .:./: : : : : : :./　 :: : :.| ｌ.: :. :.／.: : : : : :.|: : /　 /:.:.////／}￣}　 /: {＼,∧...j{!　　　　　 　 　 　 　 　 ／ : : ‐=≦ /: : :.／　/: : :._ /.: : : :. :. :./　　l: : :.} |　／ |.: : : : : : :.|: /　 /:.:.:////　　{　/ ,/: : |　 ＼}　N. 　 　 　 卑　　　　　 / : : : : : :./: :.／ア{/.: : : :./＼: : : : : :′　｜:.:/ ／＿＿__ : : : : : /　 /:.:.:////　 　il / ,/: : :.}､.　　　 !.　　 　 　 怯　　　　.Y : : : : :./　////,/: : :.∧,: : /f≧s。′:::::::: :.,／γ　　 　 ｀ｧ : : /　 /:.:.:////　　　}/　,′: :/ ‘，...　,j!　　　　 　 ： 　 　 　 |! : :ィi〔　 ////,/.: : :./ / : / {{: / _｀^:::::::::::{/:::::/　fぅ　　　　 〉 , 　 ′:.,///　　　 /　/}: : :/....　　＿ﾉ.　　　　 　 ：　　　　 .} ! ////／///,/: : ／ ,: : :/ 〉: /　ゞ　::::::::::::::::::::::　 ＿,　　 ／: :{　 {:.:.:.:{/,/　　　/ 　//: :./.　　 　 弋Z7　　　　　　　　　　 lN //////＞,/ ∠__ /:.:.:/ /:.:/ ', ー::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/: : : : {　 {:.:.:.:|/{　　／　／/: :./.　　 　 　 /　　　　　　　　　　 , _ﾍ //////::::／::::::::}/:.／ /:.:/　∧　　　　,　　　　　　　 /:ﾞ＼_人人人/ /|＞'　／　/: : /　　　＿..../, z=≠　　,ﾍ　r≠Z≠匕}z /////:::::::::::::::::::{／　 〈: /　/:.∧　　　　　　　　　 ィ: : : : : ） ﾋﾞｷｯ （ ≦　,／ 　 /: : /｡s≦// ／´　　　}rﾍV　∨ 　｀＼⌒ ////::::::::::::::::::::,'　　　　/. ＿..._ 込　　 　に=ｧ　/: : ＞''..ﾞ/^Y^Y^Y^＼.／　｡s /: : //////////,'!　 　 　 　 　 | ///::::::::::::::::::／　　 　,/γﾋﾞ Y..　⌒≧s。 　 ／／　　／　　≦‐=≦ ィi〔////: : :///ﾞ＼_人人人/ //{:::::::::::: ／　 　 　 　 / ｷｯ /.　　　　／＞:.:／　　／}　／ {:.:. ／////////: : ://////.） ﾋﾞｷｯ （ //{::: : ／　　　　 　 　 ゝ !! /.　 ＼,／: : /／　二　__f笊　　 ／////////,/: : ://///..ﾞ/^Y^Y^Y^＼ 　　　 　 　 　 　 　 　 　 ￣ 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　全身の血が逆流するかと思うほどで、 　　　我にもなく躰が微かにふるえはじめた。 　　　わずかに呻くような一言が翼の口から洩れた。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
50
　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　戸障子の覗き穴から、 　　　この一部始終を、シュテルがひそかに目撃している。.　　　　　　 　 　 |　 l !　.l i!　 ||　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 l !　.l i!　 ||　| 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛　　 　 　 　 ,L_ノ.!　八､　||　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 cへλっ 　 　 　 　 ,へ 　　　　　　ゝ__ノ　{　 i}　||　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 どー≧<　　　　　　,<／　　　　＿ 　 |　　　 ー''　.||　| ..《ｒ―[]――[]―ｭ》　　 　 　　　 　　　　　　し'⌒,γ´｀ヽ　..／　>　　　　 「--」=========　 ||　| 　|￣￣￣￣￣￣|　 　＿[]__[]＿　 　 　 　 　ﾚ}≧＝=====＝≦{　　　＿_ｒ‐ｭ＿ｒ‐ｭ＿_　　.::||　| 　| : ::::::::::::::::::::::::　|...　[二二二二]　 　　　　　　ゞ＃＃＃＃＃メ.　／゛＝=========＝'＼　||　| 　ゝ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ＿__]＿＿＿__[_.二i'三三三三三三ﾖ二二二二≦////////////////,'∧|　| ／ﾆﾆ二二二二=======ニニﾆﾆﾆヽ　I＿＿I＿＿I＿＿I＿＿I＿＿|//////////////////i|　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ.＿I＿＿I＿＿I＿＿I＿＿I__|//////////////////l|　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ::ｉ＿＿I＿＿I＿＿I＿＿I＿__.|//////////////////.|　| ────────────────────────────────────────────────── 　　　 　 /:. :. ｲ:. :. |:. :. :. /:. :. } |:.|::::::::::::::::ﾍ:. :!　!:. :!:. :. :.:ﾘ:. :. |:. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :.:{ 　 　 　 ,':. :.://.:. :. |ｉ:. : 〃:. :.ﾉ ﾍ:|::::::::::::::::::::Ⅵ　|:. :|:. :. ∧:. :.: !:!:. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :! .　　　　: :.:/ ｲ:. :. : |ｌ:. :,':.:_／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:.:ﾘ:.:.:/:.:∧:. :|:|:. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :.!:. :| 　　　　i:.:/ / !:. :. : |',:. {∧　　　　　　 　 　 　 　 |:/:.: /:. :. :∧:.|ﾍ:. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :|:. :.! 　　　　|/　　 ',:. :. /!:ヾ!:.:ﾍ　 　 　 　 　 　 　 　 ｲ|:. ｲ::. :. :. : ﾍ!:. ∨:. :. :. :. :. :. :. :. :.:!:.从 　　　　　　　　',:. :,; ∨:. :ｲ∧　　　　　 　 　 　 　 |:/:|:. :. :.:|!:. :. :. :.∨:. :. :. :. :. :. :. :.:.ﾄ､:. ﾍ 　　　　　　　　 ',: {　 ∨:| {:.∧　ｒ ヽ　　　　　し 　|:. :, :. :. :.|!:. :. :. :. ∨:. :. :. :.|:. :. :. :.:!　＼:ヽ 　 　 　 　 　 　 ヾ! 　 ヾ| |:. :. ＼　′　　 　 　 　 |:.:/:. :. :.:从:. :. :. :. ∨:. :. :. |:. :. :. :.:|　　 ｀ヾ 　　　　　　　　　　　　　　|:. :. :. :|＼　　　　　　イ |/!:. :. :.//　{ヽ:. :. :. :.:. :. :. :!:. :. :. :ｲ 　　　　　　　　　　　　　　∨:. :. :!i:i:i｀ー‐::::''":}　 ｲ ﾘ:. :.:/　　」ヾ＼:. :. ',ﾍ:. :.:ﾄ:. :. :/ﾘ 　　　　　　　 　 　 　 　 　 ∨:. :.!ﾍi:i:i:i:i:i:i:i┌====ｲ. ／ー＝-‐‐- ＼:. ',　Ⅵﾍ:. / 　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼:.|　∠ニニ├―┐〃:::::イ二二二二ﾆ＼`　　 Ⅵ 　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,.イﾆヾ仁二二ｲｌ______!::::::イ ﾆ二二二二二ﾆ ＼ 　　　　　　 　 　 　 　 　 /ﾆﾆ/ﾆ/二ﾆ／:::::::::::::::／二二二二二二二二ﾆ人 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /ﾆﾆ/ﾆ/二ﾆ/::::::::::::::::,ｲ二二二二二二二二二二ﾆ｀ヽ 　　　　　　 　 　 　 　 人ﾆﾆLくi二ﾆ/,へ,へ_,ｲﾆ二二二二二二二二二二二二ﾍ 　 　 　 　 　 　 　 _イﾆ二ﾆ┌>＞ /二二ﾆｲ二二二二二二二二二二二二二二ﾍ 　　　　　　　　 〔｀,ゝ―- 、ﾆ!{{´ﾆ/二二／ﾆ二二二二二二二ﾆγ⌒ヽﾆ二二二ﾆ＼ 　　　　　　　　　!∧　　　　＞ ､ﾆ{__／厂￣｀`　ー　＜二二二二乂__ノﾆニニ＞ ''"￣ 〕 　　　　　　　 　 ﾍﾆ〉　　⌒ 　∥　丁孑――＜　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿　　,　イ二{ ────────────────────────────────────────────────── .
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ．， 　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼_人人人/　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ，　　┏┛┸，　．； 　 　 　 　 　 　 /: : : : : : : :/: : : : : : : ,: : : : : ） ﾋﾞｷｯ （: /: : : : : : : :|: :＼: : : : : : :＼.　　　，┏┛━‘　’‘　┓；．･ .　　　 　 　 　 /: : : : : : : :/: : : : : : ://{: : :.../^Y^Y^Y^＼..ﾞ: : : : : :.:|: : : :＼: : : : : : :＼...　；】　　　　　　　　　 【┏┛ 　　　 　 　 　 f: : : : : : : : {: : : : : : /⌒',: : : : : : : : : :.∨ﾍ: : : : : : :.:.|: : : : : :＼: : : : : :.:}..　【¨‘.　　 　 お　　　 .,‘】 ； 　　　　　　 　 |: : : : : :＼:.!: : : : : /.....）レ..: : : : : : : : : }//≧s。: : : |: : : : : : : :＼: : : :.:| 　 】.　　　　　の 　 　 .；┛┨ 　 　 　 　 　 /: : :/: : :/　ヽ: : : :/:::::: ⌒＼: : : : : : : : //:.:///ﾊ: : : |: : : : : : : : : :＼: :.:|...┗┓   　　　れ   　　　　`【¨ 　　 　 　 　 f: : :/: : : ハ{笊: :.:/::::::::::::::::::斗匕: : : : //:.:///　 } : : |: : : : }: : : : : : : ≧s. ┏┛　　 　 　 、　　 　 ’┨； 　　　　　　　|: :/: : : // } v: ／::::^ ‐,云笊ミｔ､: : : :.//: /// 　,/ア^ヽ: : :/: : : : : : : : : :..┥】　　　　　　　　　 　 　 ┠’ 　　　　　　　|:/{: : :∧{　{:／::::::::::::::::∨iｼ　／:}: : : {{:.:.{/f　　/／　　/: /: : : : : : : : : : :.ﾞ┗┓   　　　　卑　　　　　.┣‘ .　　 　 　 　 {′,: /　ゝ八 〈　　　　　　　　 }:/}:/: :{{:.:.:{/＞''´　　　/: /:_:_:_:_:_: : : : : : :..,，┛.　　　　 怯　 　 　 　 【， 　　　　　　　　　V 　 }: : :}　　　　　　　　　 Ⅵ/}: : :_:ィi〔　 　 　 　 ⌒ } }:.:.:.:.:}￣￣￣ミ ；】．　 　 　 な.　　　 　 ．╂ .　　　　　　　 　 　 〈 |: ノ　 ＼ 0　　　　　　 　 !/ 〈　　　　　　　 　 　 ノ:.:.:.:/　　　　　　┗┨.　　　　：　　 　 　 【‘　` 　　　　　 　 　 　 　 ／　｀ ＜　　　　　　 ＜ ､ }//,}　　　　　　　　 ／:.:.:.:／. 　 　 　 　 ┏┛　 　 　 ：   　　　┏┛ 　　　　　　 　 　 　 　 ィi〔∧　ｱ ゝ‐≦　　＼_人人人/　　　　 ｡＜:.:.:.／.　　　　　　 　 ┗┰　　　 　 　 　 　 ,〓･ 　　　　　　 　 　 　 ////......ｱ　　　 ＼ 　 　 i） ﾋﾞｷｯ （　　 ィi〔:.:.:.:.:.／.　　　　 　 　 　 　 ┗┓，　　　 　 　 ┏┸’ .　　　　　 　 ＿..　///,'{...／＿　　 }　 ヽ...　/^Y^Y^Y^＼.ﾞ:.:.:.:.:＞´　　　　　　　　　　　　　〝┯┓，　 ，〟】‡’ 　 　 　 　 γﾋﾞ Y.ﾞ///,{/／::::::{　　 }　/:.:＼　Ⅵ　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:＼　　 　 ＼_人人人/ 　 　 　 　 `¨‘┳┷ .　　 　 　 / ｷｯ /.ﾞ///,{::::::::::::::|　　 |ｨ:.:f￣￣f⌒ヽ　｀ ＜:.:.:.:.:.:.:.: ＼...　　　） ﾋﾞｷｯ （＼ 　　　　　 ゝ !! /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /^Y^Y^Y^＼ 　　　　　　 ￣ 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　　　 　 　 　 　 ｸﾔ 　　　またも、翼が口惜しげにつぶやいた。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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::::○ﾟo:::::::｡:::ﾟ::::o○:::゜:::｡:::oﾟ:::::::o:::ﾟ:::::｡::::ﾟ::::｡○｡ o゜::::::o゜::ﾟ:::::o｡::::::::::::::::゜::::o:::::::○:::::ﾟ::::゜ o::｡:::::::o::｡ :::::::::::::::::::: :::::｡::::::::::o:::::::::::::::::::::ﾟ::::o:::::::::::::o::::::::::::::::::ﾟ:::::::::::::::o::ﾟ:::::::::::::::::o::::::::::::ﾟ::::::::::｡::::｡:::::::｡::::::::::o:::::::::::::::::::::ﾟ:::::::::o:::::::::::::: 　　　 　 　 　 　 　 ＿＿＿_ 　　　 　 　 　 　 ／　　 　 　＼ 　　　 　 　 　 ／　─　 　 ─　＼ .　　　　　　／ 　 （●） 　（●） 　＼　　　このような女、抱く気もせぬ .　 　 　 　 |　 　 　 （__人__）　　 　 | .　　　　　　＼　　　　 　 　 　 　 ,／ 　　　 　 　 　 i　　　　 ー´　　　ヽ .　　　　　　　 { 　 　 　 　 　 　 　 ヽ .　　　　　　 　 〉　　　　　 ヾ　　　　ヽ 　　　 　 　 　 i　　　　　　　 ＼　　　ヽ :::::｡::::::::::o:::::::::::::::::::::ﾟ::::o:::::::::::::o::::::::::::::::::ﾟ:::::::::::::::o::ﾟ:::::::::::::::::o::::::::::::ﾟ::::::::::｡::::｡:::::::｡::::::::::o:::::::::::::::::::::ﾟ:::::::::o:::::::::::::: ::::○ﾟo:::::::｡:::ﾟ::::o○:::゜:::｡:::oﾟ:::::::o:::ﾟ:::::｡::::ﾟ::::｡○｡ o゜::::::o゜::ﾟ:::::o｡::::::::::::::::゜::::o:::::::○:::::ﾟ::::゜ o::｡:::::::o::｡ :::::::::::::::::::: 　┏━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　と、確かに永井やる夫は言った。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
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　　　　　　　　　　ィi〔: : : :／: : : : : : :＼ィi〔{＜: : : : : :＼＼＼ ィi〔ﾍ ＼: : : : : : : : : : : : : : : : : : : 　　　　　　　　／: : : : :.／: : : : : : : : : : : : : : :＼≧s。: :/ ^⌒〈/: ／ﾍ　ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : 　　　　　　　, : : : : : ／: /: : : : : : : :/{/}: : : : : : ∨/{: :/: :}: : :ﾊ／　　 ,　　＼: : : : : : : : : : : : : : 　　　　　　 /: : : : :/: : :/: : : : : : :／^^/: : : : : : : }//ﾊ: : /: : :}: }　　　/　　　　､: : : : : ＼: : : : : : 　 　 　 　 /: : :／/: : :/:.:.l: : :.:／　 　 {: : : : : : :.:.|//∧:/: : :/: :}}　　/　　　　　 ＼: : : : :.＼: : : : .　　　 　 /: ／　 {: : :/: :.:{: ／. 　 　 ﾉLﾞ: : : |: : : |///,'}: : :/: : /}.　＼ヽ l｜l｜l｜l｜l｜l｜l｜l｜l｜l｜l｜l /／ 　　　　 /／　　　|: :/{: :.ﾊ',.　　　　　⌒ : : : |: : : |////: :./:.／,/　 ＼　　　　　　　　　　　 　　　 　　　　　　　　／ 　　　 ／ 　 　 　 Ⅵ:.{: : ゞ':::::::､＿＿＿: : : :|: : : |≧=‐＜///}〈　ｉ{二　　な、何という、　　　　　　　　 　 　 　 二 .　　　　 　 　 　 　 ｌ　{ { ,::::::::::::::,ｲぅ笊ミｔ､: :!／／ ／//‐=≦∧__.―　　あさましいことを申す男だ…….　　 ― 　　　　 　 γ⌒^　{ 八}　　　　　^¨^　 ア:.:.:}／:.／｡s≦ }//二二..二　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二 .　 r､　　 ,　　　 　 { { ﾍ 〈＼　　　　　 /:}: :/:.:／／　　 /イ　　／.ﾞ―　　何という……　　　　 　 　 　 　 　 　 ― .　 |/ヘ /,　　　 　 Ⅵ　}‐≧=‐　　　 /: :Ⅵ／／　　　,〈　　 ／//..／/　　　　　　　　　　 　　　 　　　　　　　　＼ .　 |///,＼　　　　 　/, il　　　/‐=≦ {: /{≧=‐‐ア　　 ＞　´ 　 ﾏ/.ﾞ// l｜l｜l｜l｜l｜l｜l｜l｜l｜l｜l｜l ヽ＼ .　 |/////,＼　　　 .::::{:{＼　/　ﾏ/ヽ,{//{　　 ／ ＞ ´{ _　 　 　 i}//////,＼: : : : : : : : : .　 |///////,＼　f::::::/　　｀＜　 寸////　 /＞ ´　　{::::＼　　　}////////!＼: : : : : : : :ヽ .　 |/////////,＼::::::{　　　 ＼≧s。、/　s≦〈　　 　il:::::::: ＼　 }//////////!＼ : : : : : : ﾊ .　 |///////////,＼:}　　　　ア:.:.:.:}　r 〈 {:.:.:.:.:≧s。 {:::::::::::::::＼{////////////,'ﾍ: : : : : : : .　 |/////////////}ﾍ/　 /:.:.f⌒^ 〈＿} ＿)二二＼ヽ＼＼::::::::::≧s。/////////,'ﾍ: : : : : : .　 |/////////////} /＜:.:.／　/:.:.:.:.:.∨∧:.:.:.:.＼　＼ヽ＼＼::::::::::＼ ｀''＜//////,'ﾍ: : : : : .　 |/////////////}/:.:.:／　,／:.:.:.:.:.:ヽ:.:ｱ:.:.:.:.:.:.:.:＼　＼ヽﾍ:.＼::::::::::＼　　⌒}/////ﾍ: : : : .　 |/////////////|:.:.:/　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}:.:{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. }　　}:.:.:.:} : :.＼::::::::::＼　　ﾏ/////,ﾍ: : : 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　追いかけて、思いきり打ち据えてやりたいと思う。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　思うのだが、手足はふるえて、言うことをきかない。 　　　まるで、九年前の無頼浪人どもに襲われたときの 　　　翼そのものではないか……。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .: : : :. :./.: : :. :. :. :./　 　 ＼　　|: : : : : : : : : : :.|.: : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : .:. .:. .:./: : : : : : : :/　　　　__＼ :: : : : : : : : : : : |＼.: : : : : : : : : :.|＼: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :./: : : : : : : :/ ｡s≦＞^斧ミｔ､.: : : : : : : :. :.|　 ヽ : : : : : : : : |　 ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : .:. .:./: : : : : : : :/　ﾏ／　 ‰ )//}心、＿: : : : :.|　 　 ＼.: : : : : :.| 　　 ＼- ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=‐: : .:.:./.: : : : : :. :./　　 { 　 ん ////}ぅﾘ : : : : : : : |　　　　 ＼ : : ｡s≦ ＿___＼＿＿: : : : : : : : : /.: : : : : : : :.′　　　　に {////Ⅳ: :/: : : : : :.|　　　　 ⌒＼: : }＞ぁ⌒,__　㍉^ヽ＼: : : : : :　 /.: : : : :. :. :.∧　　　f⌒乂 ⌒　少 ∨:./: : : : :.|　　　　　 　 ／: : ん__ノ//う刈　　ﾏヘ: : : : . .: : : : : : : :./: :.　　　廴___) ^¨¨^ 　　∨:/.: : : :.|　　　　　　　　 ＼ｈ ｛////} 刋　　 }ﾆﾆ〉: : :. { : : : : : : /: : :.}　　　i!i!i!i!i!i!i!i!　　　　∨: : : : :.|　　　　　　　　　　い八//ノ Ⅳ　　 )／＼: :.. |: : : : : :./ : : : }.　　 　 i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!　　 ＼.: :. :.|　　　　　　　 　 と乂^ )こ少つ　／}: : : : :＼ |.: : : :. :.{＼: : :.＼　　　　　　　　　　　　 /＼: :{　　　　　　　　　　　　　^¨¨ 　 )　　|: : : : :}: :.. |.: : : :. :.|: : ＼: : :.＼　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼.　　　　　 i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!　 }　r／ 　 /.: :. .:./: : : |.: : : :. :.|: : : : ^从⌒￣　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 / /　　 ／ }: : :./: : : |.: : : :. :.|.: : :. :. :.人　　 　 　 　 　 　 ＿　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 / /　,ィi〔 :.:.:}: : /: : : : |.: : : :. :.|: : : : : : : : :...　　　 　 　 　 } 　 　 ‐= 　 ＿　　　 　 　 　 　 ,/ /´: : : : : : :.|: /: : : : : |.: : : :. :.|.: : : : : : : :. :.＼　　　 　　　ゝ ＿　　　　　　 ＼　　　　　　 / / : : : : : : : : |/: : : : : : |.: : : :. :.|＼ : : : : : : : : : ＼　　　　　　 　 　 　 ――　　　　　｡s≦:/ /｡s≦二二二二二二
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　これは、どうしたことだ。 　　　翼の手から、木太刀が落ちた。 　　　翼は両手で顔を覆った。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ┼┐　ニﾆ,　‐- 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　ｊ　　 ／　　__／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 i 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀)ゝ.,＿,メ{、 　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／＾/＾Ｙ⌒ヾ＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 | ────────────────────────────────────────── 　　　　　　　　　　　　　　　　　 }:′.:.:.:.:.:.:.:. /:V:.}:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:ﾘ 　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;′. !:.:.:.:.:.: ﾊ : /|:.:.:. i:.:.:.:.:.';′ 　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ {:i:.:.i:|:.:.|:.:.|:′V:.:|:.:.:. |:.:.i.:. }} 　　　　　　　　　　　　　 ／／　';ｌ.:.l!r :.r.: l!ﾍ`"´|.:ｌ〉 〉ハ: ﾘ :丶 　　　　　　　　　　 　 ／／　 /｀:ｰト､ﾄ､j:々: : : :ﾙ;_ﾉj_ﾙ':从　ヾ:.丶 　　　　　　　　　　 ／／　　／/;’ヽ　　 　 ﾉ‐’ ﾟ.ﾊ　　 　/ '，　 ヾ:.:丶 　　　　　　　　　／／:.:.:.:.／:.:/7　..}＿＿ｲ≧≦。.､＿＿| ＼Ｘ:.:.:.:ヾ:.:丶 　　　　　　　 ／／:　 : .ｲ/:. /´{　..{　　 　 }.≠‐- {　　 　 }　.}ヾ＼:.:.:ヾ.:.:ヽ .　　　　　　 ´ イ:.:.:.:.／/7 :.:{:..∧./¨￣￣ ヽ　　 /¨￣￣ ヽ∧.: ﾐ､＼:.:.ヾ.:.:＼ 　　　,. :´,.≠／:.:.:／ : {:.{.:.:.:. /;小　　 　 　 |　　.|　　 　 　 ,'.'，:.:.:.}:ﾊ}ヾ:. ヾ.:､｀: 　 ／　 ´ ／:.:.:／:.:.:.:,:イⅥ:.:ｊ ’ﾊ |　　　 　 | ｍ |　　 　 　 |.: }:.:.: j:.:.:.:.:.:＼.:ヾ丶:｀: .､ ／´ 　 ／:. .イ.:.:.:才´.:´.:ﾍﾄ:.{{:.:.:.}l　　 　.／l 川 |　　 　 　 l..:;′:/:.:.:.:.:.:.:.:.:＼:＼｀:.:.:. ヽ、 .　:.:.／ィ:´.:.:≫''´:／:.:.:.:.:.:.:.ﾍl.:.:./ 　 　 　 . |!∨ |　　 　 　 ヽ　イi,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼:＼.:.:.:.:. ＼ ..:.:.:´,.≫ ''"´:.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ; |　　　　 　 |!≦ |　　　　　　|　: 小:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼:＼.:.:.:.:. ＼ ────────────────────────────────────────── .
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::::::V　　≧＝=―　, 　 　 .|　　|　　　　　 | 　 　 　 |　　　　 ,　!　　　　　　__{　　/:::::V :::W　　　　　 ,'　　　　　　 ,! 　 |‘,　　　　 {　　　 　 !　 　 　 ',　　　_　　.〃:::ﾊ　..}::::::::V-=:､　　　i ::W　　 　 　 　 　 .i　　　∧　　|　',　　 　 　 　 　 　 　 　 　 .',　 ,.::::ﾊ　j{::::::::j{　 }:::::::::|::::::::::V　　! :::,'　　　　 　|　　　i　　 /―, 　 _. 　､　　　V　　　　　 V　　　 V:::::::::ﾘ j{::::::::j{ /.:i|:::: : |＼:::::::`､　! ::,　　　　　　|　　　|　 ./:::::::::V　 V≧s｡_ 　 V　　 　 　 V　　 /:::::::::/ .j{::::::::j{/ | i|:::: : |　,i:::::::::::}＼＿_人＿人从＿人＿人从／ ::|　 i　　 　 .|　　　|　/::::::::::::::＼　＼.::::＼.　 V　　　　　.V　 ,:::::::::::　 j{:::::::::|i:i:i:i i|:::: : |:i:i}::::::: : }＿）　　　　　　　　　 　 　 　 （＿＿ ::|　 i 　 　 　 　 　 V{jIs≦"^,f.⌒≧s｡_:::::＼ {.V　　　　　＼::::::::::::i　 {:::::: : |i:i:i:i:j{::::::: |:i:i}::::::: : }　）.　　　うるさい！！　　　　（ ::|　 |　　　　 ',　　　　]is,　　 V. . . .r,: : : :}＞V　V　　 　 　 |::::::::::::|　 |::::::::::|i:i:i:ij{:::::::: |:i/:::::::: ￣￣）　　　　　　　　　　　　　　(￣￣ ::|　 |　　　　　　　V　V　‘'　 ,.マ　　 　 ,:'_ -=V　＼　　 　 .|::::::::::::|　 |:::::::::::V:i:j{::::::::: |:i:::::::::::::::::: ／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼ -!　 ',　　　　　　　.V　V:::::::::::::::￣￣￣:::::::::::::::V　　}､. 　　 V:::::::::::V |:::::::::::::V j::::::::::}V::::::::::::::{::: V 　, 　 ,　　　　　',　　V　V:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}i　 .}| ､　　　V::::::::,::V::::::::::://　}::::::: } }::::::::: : :{:::::::V 　 ,　　.,　　　　　　　.V　V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}|　＼　　|:::::::::} }:::::::::://　,;'::::::::::V::::::::::::::::',:::::::} 　　,　 { V' ,　　　 ',　　＼＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ＼..|:::::::::} }:::::::/ i| ,;':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　翼が叫び、シュテルを睨みつけた。 　　　その眼つきの恐ろしさは、先日の比ではない。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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　┏━━━━━━━━━━━━┓ 　　　シュテルは声も出せず、 　　　台所へ逃げこんだ。 　┗━━━━━━━━━━━━┛ ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣||____＿＿＿＿____|||____＿＿＿＿____||￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |￣￣￣￣￣|　|||　|￣￣￣￣￣| || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　て　　　 　 　 | || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|て.ﾋﾟｼｬｯ!..★| || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |[l.|||.l]|　 　 　 　 　 | || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |＿＿＿＿＿|　|||　|＿＿＿＿＿| || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ||┌┬┬┬┬┐. ||| .┌┬┬┬┬┐|| 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ||├┼┼┼┼┤. ||| .├┼┼┼┼┤|| ＿＿＿＿＿＿＿＿＿||└┴┴┴┴┘. ||| .└┴┴┴┴┘||＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ |ｌ!ｉ│iｌ　 |ｉ!　　　|!　　　　| i| |ｌ!ｉ│iｌ　 |ｉ!　　　l: |ｌ!ｉ│iｌ　 |ｉ!　　　| |ｌ!ｉ│iｌ　 |ｉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 >l l |ｌ!ｉ│iｌ　 |　　　　　　　 　 　 ―― -　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /､）ヽ |ｌ!ｉ│i..　　　　　；　／:. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :.ヽ――-　　　； |ｌ!ｉ│. 　 　 　 ；　':. :. :.／:. :. :. :. :. :. :. :. :. ＼⌒ヽ:. :. ＼　；.　　　 　 　 ,Ｚ､ |ｌ!ｉ. 　 　 　 　 /:. :. :. /:. :. :./:. :./:. :. : /:. :. :. :ヽ:. :＼ ⌒ヽ　 　 　 　 　 ｒノ |ｌ　　　　　 　 ':. :. :. :.':. :. :./:. :./:. :. ／':. :. :. :. :. :. :. : ＼　 ； 　　　　　 ；　{:. :. :. :.| :. 斗t斥…＜ /:. : : : : /:. :. :. :ｉ:. :.＼　；　　　　　 　 っ .　　　 　 ；　八:. :.へ: ､: : ,x=≠=ミ/ : : : : メ|i:. :. :. :.|┬― ヽ . 　 　 ；　／:. :. :.{（ 从:＼:.{ 乂ソ_彡彡=ミ､八:. :. : :,: | 　　；　／⌒ｉ:. :. :.ヽ{:. :. :.:从 i!i!i!i.　　 〈ソ / :. :. :. :./: ,　； .　　　 　 　 l:ハ:.从|:. : 小:.{　u　　　, i!i!i!八:.:イ:. /}:./　； .　　　 　 　 l'.....ヽ:. |:.ﾍ:个 ヽ 　 　 - 　 ｲ:. :./ i:./ /'　； 　　　　　　　 　 　 从八|ヽ ＞　_　イ:. :.从/　ﾉ' 　 　 　 　 ；　_／...　　　ヽ　　　　　从:/　'.　､ .
59
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |＼ 　┏━━━━━━━━━━━━━┓　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ./ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |/＼ 　　　翼も木太刀を拾い、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼∧ 　　　離れ屋の内へ走りこんだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　∨V７ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |＼/　／l/l/ 　┗━━━━━━━━━━━━━┛　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｀７／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /′　 　 /> 　　　　　　　　　　　　　　/: : : : : : : : /: : : :/: : : : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : :|: : : :|: : : : :.　 　 　 　 /　　　　./′/> 　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : : : : : /: : : :/: : : : : : : : :.:／{: : : : : : : : : : : : : :.:|: : : :|: : : : :.　　　　　　 　 　 　 　 /′ 　　　　　　　　　　　　　 l: : : : : : : :/: : : :/: : : : : : : : ／⌒,: : : : : : : : : : : : : : :|: : : :|: : : : :　 　 　 　 　 　 　 　 ＼＿_／＼ 　　　　　　　　　　　　　 |: : : : : : :/: : ／′: : : : : :／　 　 ｌ: : : : : : : : : : : : : :.:|: : : :|: : : : :　　　　　　　　 　 　 　 ｀￣￣￣ 　　　　　 　 　 　 　 ,ィi〔|: : : : : :∧／ /: : : : : :.／　 　 　 |: : : : : : : : : : : : : :.:|: : : :|: : : : : 　　　　_　　＿_ ィi〔　　 ｉ|: : : : :/／､ /: : : : :.／. 　 　 儿. |: : : : : : : : : : :.ィi〔｜ : : |: : : : : 　　　 {:::^:::::/　　　　 　 i|: : : : :i:㌢笊: : : :／.　　　 　 ﾌ「.ﾞ|: : : : : : : :／ 　／:.|: : : :|: : : : :| .　　｡＜∨:::{　 　 ＿____ｉ|: : : : ﾊゝ )心:／　　　　　　　 　 |＿: : : :／ 　／:.: /|: : : :}: : : : :| ＜　　 　i}::::::ｱ／　　　　|: : : : | ,　乂ﾘ　 　 {　　＿_,jＩ斗劣ミ: : ／ 　／:. ／/i|: : :/|: : : : :| 　　＞ ´ ゝ＜　　　　 　 |: : : : | ,　　　　　　 ^　／_)/刋　　〉:./　　 /:.:.://／　￣　!: : : :/ ＜ 　 　 　 　 　 　 　 　 |: : : :.:叭 　 　 　 　 　 　 Vz少 ,／:.:′ 　/:.:.://　　 　 　 |: :.／: .　　　　　　　 　 　 　 　 |: : :{ :|､八　〈　　　　　　　　　　　 |:.{　 　il:.:.://　　　　　　ア: : : .　　　　　　　 　 　 　 　 |: : :Ⅳ　i|　.　　 ＿＿　　　　　　 ｜ ,　　 ｌ:.:.{ﾊ　　　　　／: : : : : .　　　　　　　 　 　 　 　 |: : :|　　i|　|ヽ ゝ‐=　　＼ 　 　 　 |: ∧ 　 ヽ:＼＼ ＞ ´ /: : : : : .　　　　　　　 　 　 　 　 |: : :|　　i|　|　ﾍ　　 ⌒　　　　　＜: : : /￣￣￣ ／ 　 ／: : : : : : .　　　　　　　 　 　 　 　 |: : :|　　i|　|ゝ‐=ゝ_　　‐=≦＿> ｜: /⌒ ､__ ／　　／ |: : : : : : : .　　　　　　　 　 　 　 　 |: : :|　　i{ /　　　　{　　 /:.:.:.:.:.:.:.:. |:./　　 　 / ＞ ´　　i|: : : : : : : .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　翼は居間へ坐りこんだが、着替えるでもなく、 　　　怒りの唸り声を発し、空間の一点を睨みつけている。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ T_|i:||=-=ﾆ弌ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|二ニﾆ=|ｉ:廴＿|:|｀`'|lー|─ーーー─|i:|─ーー‐|i:i:i:||────ー:|i:i|───────── _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|　l≡l　 |i:|¨ﾞ　''|:lニﾆ=-|ｪｪｪｪｪｪｪzzz|i:|zzｪｪｪｪｪ|i:i:i:||ｪｪｪｪzｪzzzzz|i:i|zzzzzzzzzzzzzzzzzzzz _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|ニアニニア　 :|:|¨:| |￣|_|_|_|_|_|_|_|_|_|i:|_|_|_|_|_|_||i:i:i:||　　　　　　　 |i:i| _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|∠___＿∠_ 　 :|:|: :| |: : |_|_|_|_|_|_|_|_|_|i:|_|_|_|_|_|_||i:i:i:||＿＿＿＿___,|i:i|＿＿＿＿＿＿＿＿＿ _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|`ァァ…ァ/ニﾆ|:|=:| |==|────‐ |i:|ー─ｰｰ:|i:i:i:||────ー:|i:i|─__─ ＜ﾆ＞ ─── _|_|i:|,ｨﾆx|_|i:||i:|,ｨ{￣||x=x　　__|:|: :| |: : |　　　　　　　|i:|　　　 　 |i:i:i:||　　　　　　　 |i:i| ﾊ¨¨',..|ゞ==="| _|_|i:|{:::{__}_|i:||i:|_||_　 |ゝ-ﾞ|￣::,ｨ㌻|_|:_:_|¨¨¨¨¨¨¨¨___,¨¨¨___¨¨¨|i:i:i:|¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨{　)'^'} |ゞ==="|¨¨¨¨¨¨ _|_|i:|≧≦｡o≦i:i:ｉ|∠LLL|,.ィ㌻/|ｉ|ﾏ-_-_ｱ77777ﾉ｀¨´∨｀´∨7|i:i:i:|ﾆ＞─＜二＞_　ゝ--'　≧==≦　:,　:,　:, ｡o≦「i:i:i:i:||i:i:i:i:i:i:|::|＿,,..⊥|_/////≧≦/////人::::::::人::::::人/|i:i:i:|=≦///≧==|＼￣￣￣￣￣ ＼:,　:,　:, i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:jI斗r≦)))-‐=ﾆ二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ|＼|￣￣￣￣￣￣|二二二 i:i:i:i:,.｡o≦㍉＞''YYﾞ二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二＼ |￣￣￣￣￣￣|二二二 i:i:i:(_)＞'Ｙﾉﾉ　_ノ 乂_　　　　　 　 　 ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣/￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ i:i:i:＞┴┴＼ー─‐‐ヽ　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 / '"　　￣￣￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /: : : : : : : : : : : : : :／二二二l: : : : : : : : : : : |/,'}:.:.:.|: : : : : 　　　　　　　　　　　　　　/: : : : : : : : : : : : : :/二二二ニ}: : : : : : : : : ::.:.|//!: : |: : : : : 　　　　　　　　　　　　　 ,′: : : : : : : : : : : :./＞――‐＜}: : : : : : : : : : :.|//}: : |: : : : : 　　　　　　　　　　　　　 { : : : : : : : : : : : ／二二,x斗笊ミｔ､: : : : : : : : :///,!: γ´￣￣￣￣￣｀ヽ 　　　　　　　　　　　　　 |.: : : : : : : :. :.／＼二ﾆ{_込シ　 / : : : : : ‐=≦＼,∧: |　　むう…….　　 | 　　　　　　　　　　　　　 |: : : : : : : :.,〈 　 　 ゝ――　　　 }: : ィi〔／:.｡s≦//,ﾊ.ゝ＿＿＿＿＿__,ノ 　　　　　　　　　　　　　 {: : : : : : :/　　　　　　　　　　　　{/　／:／//／￣ ///: : : : : 　　　　　　　　　　　　 　 ,: : : : :./＿　　　　　　　　　　　/ ,/:.:.///／　 　,///: : : : : : 　　　　　　　　　　　　　　{: : : :/　 　 _　￣　　r､　　　　,{ /:.:.////　　　 ///: : : : : : : 　 　 　 　 　 　 　 　 ／: :', : :.:{　　　　　　　　 {　＼　 /!{i{:.:.:{//f　　　 ,///: : : : : : : : 　　　　　　　　　　／: : : :‘，: ∧ 　 　 　 　 　 l　 　 ヽ:∧!:.:.:{//{　　　///: : :r＜: : : : 　　　　　　　 __∠: : : : : : ∧:.:l: ::.　　　　 　 　 l　 　 　 ≧s。Ⅵ∧　 ///: :／＜:.:.≧s 　　　　　　　 ＼　 ￣￣ ﾆ=乂}: :.ゝ ＿＿＿　 }　　　　　　　＼≧=‐≦--'　　　　　ア 　　　　　　　 /: ＼　　 　 　 　}: /――　{　　　 ,　　 　 　 　 　 ＼: : : 〉　　　　　／: : 　　 　 　 　 /: : : : ＼　　　 　 Ⅵ　　 　 i|　　 　,〉　　　　　　　 ｡s≦　　　　＞''´: : : : .　　　　 　 /: : : : : : : ＼　　　　　　　　　|　 　 /　　　　r‐=≦　　　　 ＞''´: : : : : : : : 　 　 　 　 ,: : : : : : : : : : }　 　 　 　 　 　 | 　 ,/　　　　/＿＿＿_＞''´/: : : : : : : : : : : .
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　　ｒ'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'ヽ 　（　　　　　　　 　 ＿＿＿_ 　 　 　 　 　 　 　 ） 　　）　　　　　　 ／　　 　 　＼　　　 　 　 　 .（ 　（　　　　　　／　─　 　 ─　＼　　　　 　 　 .） 　　）　　　 ／ 　 （●） 　（●） 　＼　　 　 　 （ 　（　　.　　|　 　 　 （__人__）　　 　 |　　　 　 　 ） 　　）　　　 ＼　　　　 　 　 　 　 ,／　　　　　 （ 　（　　　　　　i　　　　 ー´　　　ヽ　　　　　　　 ） 　　）　　　 　 { 　 　 　 　 　 　 　 ヽ　　 　 　 （ 　（　　　 　 　 〉　　　　　 ヾ　　　　ヽ　　 　 　 .） 　　）　　　　　i　　　　　　　 ＼　　　ヽ 　 　 . （ 　 丶～'⌒'〇'⌒'～⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'´ 　　　　　　　 Ｏ 　　　　　　　 o 　　　　　　　　ﾟ /　　 ヽ///､:　:ヽ ヽ: : : :|: /:／: : : - ﾍ'´￣　　 ／: : : : : : : : : : :＼_ 　　　　ヽ///､:　:ヽ ヽ: : |:/-'´ -- ､ 　 ヽ 　 ／: : : : : : : : : : : : : :／: 　　　　　 !///i:　: :!　 |: :!,' ヾ三＝rミﾐ､_ メ: : : : : : : : : : : : : : , -!: : : 　　　　　 |///i! :　:.!　.|: ﾘ　 !i{ ﾊ_ﾉﾊ。,ｲヽ､ヽ: : : : : : : : : :／:::::,: : : : 　　　　　　!///!:　: !　 |:!　　 | |　|,うｲ: |: : ヾﾐ､: : : :,: - '´:::::::::::/: : : : 　　　　　　|///.! :　:|　 |:!　　　 V:': ﾉ: /: : : :ヽ: X´::::::::::::::::::::::/: : : :/ 　　　　　　|///.|:　: |　 |:!　　 /: ゝ､:ノ: : :.- '´＼ ｀ー--:::::::::/:_:_: :/　　　　おのれ、 　　　　　 ////,':　:,'　 ,!: :|　/: : : :,. -'´｀:::::::::::::::::::::::::::,ィoTヾ: : : /.　　　　 永井やる夫め…… ､＿＿__ノ////:　:/　 /i: :V: :.／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{じ/ /ノ: :/ ､:､======-':　: /　 /: |!:/イ´　　　　　　　　　　　　　ﾄ</: : :／ ..ヽ: :.ヾ-_ー― '　ノ: : :! .!: |　　　　　　　　　　　　　　,Y: :,.ｨ' 　 ＼: : : : ｀ヾ:､: : : : : |　 |:!　　　　　　　　　　　　 ／: ／.':! ヽ　　＼: : : : : : : :ヽ:､:|　 |:|　　　　　　　　　　　／:／　/: :| 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　風鳴翼が、相手から、しかも男から、 　　　あのような言葉を浴びせられたことは、かつて一度もない。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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　┏━━━━━━━━━━━━┓ 　　　万右衛門が帰って来た。 　┗━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　 / 　　,ィ、 ,、　 　 /　　　 l　ヽ　　　　　　　　　　　 　 ′／ 　 ,'i　ヽ' ヽ 　./　 . 　　 l　 ヽ　　 ,／´＾v'＾､　　　　　　 　,'.l　.ﾄ　ヽ､V,'　　　 _,,､'-‐''"￣/　 , -､'､　'､　　　　　 　. l　 .l ＼　＼r''"´/ｨ､ヽ　　　/ .／　__ヽl、 '､　　　　　 　--､　ヽ　｀ヽ､ヽ'"/ l ヽ.ヽ､,,/ /.／´__ヽ.l ヽ,,l　_,､-''´ﾊ　 　　　l＼ ヽ、　 ｀"´　　　 ｀-r" / ／__ ヽl,／'､ヽ　　ノ ,l　 　ー┴-ヽ ヽ─---　　､.　.　'v' /／ヽヽ l''"7ヽ　l／,イl　 　::::::::::::::::::l　l｀"''ー---＝-､､.l 'ｲ .O.l::/　　　ヽ,､-'"/ l__.ィ 　:l￣｀ヽ:::::l　!　　/::r＝＝--､､l:::ヽノ;/_＿＿　 　／／l　l ヽv':: 　::l　‐ッ､ヽ､ '､　fl:.:.｀､ー┴'-ｦ::::::　K‐Ξー--'7r'"_l＿l__」／:::: 　,ﾊ　 l　ヽ　ヽ'､ l.|:.:'"''　　'"''":.:.:: ,,.l､｀'亠'::::l　/__:::::::::::::::::::::／ 　/ﾊ　'vr"^/ｲ!｀i.|.r' ,　　　　 _r'_,,:::..l ｀"　':,'／,　/:::::::::__,／ 　/ ﾊ　ヽ　,'i l.|　l.l'"''　 ,r''"､､　｀''"^ヽ　､il/l'イ/￣￣　　　　　何か、あったのか？ 　,/　ヽ .ヽ,'.l l.|　l |　　,:'　　,r-----､" l ,/ lﾊ/ 　　　/,ﾍ､,' l l|　 l|､,,　　 ;'　　￣二 '　 '.,ﾊ　l l 　　/ ///,' l ||　||//ヽ､,,ィ　 ,ィ1"''ヽ　/l　l　l |ヽ 　/ /// ,' l .l |　ll//　/ヾｨr'1l l　　l.lヾｲl　.l　l lヽ＼ 　 /// .,' .l .| |　l|// /　i l　l.| l 　　l　l l l　.'､.'､'､ ヾ＼ 　///　,' .| l　|　l.|l l　l　l .|　l| i　l　 l　l |.ﾄ　'､ '､ト､ ヾ＼ 　"''ー､l .l! l　|　l | !　l　l.|　 l　　l　 l　l |.l'､　'､　'､ヽ　 ヾ＼ 　::::::::::::l .l .l | |　l.|l　l　l　| l .|.　 |　 l　l l |ヽ　ヽ　ヽヽ　　ヽ＼._ 　:::::::::: l l| .| l .l　l|　l　 .l .l l　|　 l　 l　l　|､ヽ　　ヽ　ヽヽr'"￣｀ヽ､-───､'''" 　｀ー''"l l　| l　|　l .l　l　| l l . l　.l　.l　l ; lヽ､ヽ　　 ヽ￣:::￣ヽ　　ヽ_,,､-‐'''"l::::: 　　　く;;l l　l　l　|　ll　l 　l　l l　l　l .l　l l､lr:::ヽ ヽ　　 ヽ::::::::::ノ　　 ,ﾉ__＿＿/:::::::: 　　　 　 　 　　　　　　 　 　 ―― - 　 　 　 　 　　　；　／:. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :.ヽ――-　　　； 　　　 　 　 　 ；　':. :. :.／:. :. :. :. :. :. :. :. :. ＼⌒ヽ:. :. ＼　；. 　　　　　　 　 /:. :. :. /:. :. :./:. :./:. :. : /:. :. :. :ヽ:. :＼ ⌒ヽ 　　 　 　　 　 ':. :. :. :.':. :. :./:. :./:. :. ／':. :. :. :. :. :. :. : ＼　 ； 　　　　　 ；　{:. :. :. :.| :. 斗t斥…＜ /:. : : : : /:. :. :. :ｉ:. :.＼　； .　　　 　 ；　八:. :.へ: ､: : ,x=≠=ミ/ : : : : メ|i:. :. :. :.|┬― ヽ . 　 　 ；　／:. :. :.{（ 从:＼:.{ 乂ソ_彡彡=ミ､八:. :. : :,: | 　　；　／⌒ｉ:. :. :.ヽ{:. :. :.:从 i!i!i!i.　　 〈ソ / :. :. :. :./: ,　； .　　　 　 　 l:ハ:.从|:. : 小:.{　u　　　, i!i!i!八:.:イ:. /}:./　； .　　　 　 　 l'.....ヽ:. |:.ﾍ:个 ヽ 　 　 - 　 ｲ:. :./ i:./ /'　； 　　　　　　　 　 　 从八|ヽ ＞　_　イ:. :.从/　ﾉ' 　 　 　 　 ；　_／...　　　ヽ　　　　　从:/　'.　､ .
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　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ 　　　 　 　 　 _,,..　-ｰ''''"ﾞ´ ,_..................-.-――――――――――――――￢ｰｘi..,,、 .＞ 　　　　　　　 ｀ﾞﾞﾞ''''''''￢―-- ..二,ﾞ￢- ..,,、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,./ . ／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾞﾞ'''ｰ｀-ﾆ-..,,_　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／ .／ 　　　　　　　　●┃┃三＝―　　　 　 　 　 　 ｀'''-ﾐ＼､　　　　　 　 　 　 　 ／ ／ 　　　　　　　　　 ━━━━三≡= .ﾆﾆ二二二二二ﾞ＿＼　　　　　　　　 ／ ／ 　　　　　　　　●┃┃三＝―　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／ ／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,／.／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ ／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ ／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ ／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／ .,／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／ .,／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ ,／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ ／ 　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 _／ﾞ.／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 _. 　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 _／ﾞ ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _....　-ｰ''''"ﾞ´ 　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,／ﾞ ／　　　　　　　　　　　　　　　 _,,,,....　--ｰ￢''''"゛　　　　　＿__,,,,、 　　　　　　　　　　　　　　／.　/ ゛　　　　　　　 . _,,,..　-ｰ''''''ﾞﾞﾞ´　　 　__,,,,....　--ｰ￢''''"ﾞ￣￣ 　　　 　 　 　 　 　 　 ／ ／゛　　　 _,,,.. -ｰ''''"´ . __,,,.... --ｰ￢''"￣´ 　　　　 　 　 　 　 ,／／_,,,.. -‐'''"´,,,,.. --ｰ'''"ﾞ´ 　　　　　　　　 ,／　 .ﾞ＿.. -ｰ'''"´ 　 　 　 　 　 rｼ‐''''"´ .
64
　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　永井やる夫は、柳島の妙見堂門前の茶店へ、 　　　乗って来た町駕籠を待たせておいた。 　　　用意がよいことではある。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.-──-,、 　　　　　　　||～'i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.r'.:. :. . :. .. :.:ヽ 　　　　　　　||　 .|　 　 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ (,;.;: ,;: , ;: ,; ,; ,, ;ヾ 　　　　　　　||茶.|　 ／丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶＼;.:.:..:.;,;i.;:.;:.;:,;:..;:,;) 　　　　　　　||　 .|／／＼丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶＼.:.;:..i.:.:.:.:.:/.:ノ 　　　　　　　||店.|／ 田　＼丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶＼人从ﾉ:::,) 　　　　　　　||　 .|￣￣￣￣| ￣ ￣ ￣ ￣ ￣ ￣ ￣ ￣ | |il .: .i;;i|,r' 　　　　　　　||～'i |￣￣￣|!|　ﾊ__ﾊ　　　　　　　 ∧∧!.　| |il , ;illll| 　　　　　　　||　 .|!|＿＿＿|!| ( ・ω・)ﾉ　　　　　 (*ﾟ∀ﾟ)　| |l.: . .illl| 　　　　　　　||　 .|　　 .ﾊ,,ﾊ .|￣￣￣￣|　　旦　ﾉ(　 (ヽ-ooo-　ill| 　　　　　　 l￣i　|＿_(,,ﾟωﾟ).|＿＿＿＿|　|i￣i||￣ > >￣|i￣l| ,,.;;,丶 　　　　　　""''''"　　ｃ(,,____,) 　　　　 　 　 ＿＿＿_ 　　　　 　 ／　　　 　 ＼ 　　　　 ／　　 ―　　 ―＼ 　 　 ／　　　（ ●）　（ ●）ヽ.　 　 では、また本銀町まで頼むお。 .　　 l　 　 　 　 （__人__）　　 | 　 　 ＼　　　　　｀ ⌒´ 　 ／ 　 　 ／　　　　 　 　 　 　 ヽ 　　　　　　　 ＿＞:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|／| 　　　　　　　 ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.へ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.¨フ 　　　　　　 弋´:.:.:.:.,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.く 　　　　　　 ＜:.:.イ:.:.:.:/.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.!:.:!.:.:.:.ヽ:.:_,＞ 　　　　　　弋´.:.:.:.:.:.:/.:.:.:./ |:.:.!:.:.:.:!:.ﾊ.!.:.:.::.:＼ 　　　　　　 ＜:.:./.:.:/:/T ト､∨:.:.:/!レ小:.:!:.小､> 　　　　　　 ＜:八 小| 代圷 |:.:Ⅳｲタヽ小|ヽ!　　　　へぇ、わかりゃっしゃー 　　　　　　　 厶込､N　 ￣　ﾚ　!　￣ ﾑ、 　　　　　　　　　rｲ!.ハ　　　　 , j　　 八 ＼ 　　　　　　　　 /　V　 ヽ　 ｰ : -'　 ｲ　　 　＼_ 　　　　　　,. -へ.　 ＼　　>､ _, ィ ＼ /¨｢￣￣ `ー ､ 　　　　　/ 　 　　ヽ 　 ＼　 /　　', 　＼ !　　　　　　　}、 　　　　 /　　　　 / !　　　＼　　　|＼ソ | 　 　 　　／　 ＼ .　　　 /　　　　 /　 , 　　　/マニ/　/ ,厶　　　 ∠、　　　　ヽ、 　　　/　　　　 /　　 ',　　∧ G〉/　/ /　　＼／　　 ＼　　　　 ＼ 　　厶-―-､ /　　　 |.／　 ∨|/ ｒ' つ　　ノ Ｙヽ　　　　＼　　　　 ＼ 　　|　　　　　＼　　!　　　　　 |イ|　{レ '´　ｨク　)　　　　　｀　､　　 　＼ 　　|　　　　　　 ヽ　!　　　　　 |d |　　　 '　　 ／ ）　　　　　　　 ＼. 　　 ＼ 　　∨　　　＼　　|/ 　 　 　 　| ! 〉　　　　'　, ィ } 　 　 　 　　　　　＼　　　＼ 　　∧　　　　 ＼/　　　　　 　 ! /　　　　,.　-―'　　　　　　　　　　　　ヽ　　　 ヽ、 .
65
　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　日本橋本銀町四丁目の神谷道場へ戻って来たのは、 　　　七ツ半（※午後5時）ごろであった。 　　　日中は晴れていたが、雲が出て来た。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 二二二二二二ニニニニニニﾆﾆ　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 : . : . : .: .: .: .: .:.:.:.:.:.:.:.:::::::::: ｀ー―､ __二二二ニニニニニﾆﾆ=:::. 　　　　　　　　　 　　　　　　.　. : . : . : . : .: .: .: .:.:.:.:.:.::::::::: 三三三三｀ゝ__ ィ､二二ニニニﾆﾆﾆ::::.　 　 　　　　. ..:::::..　　　　　　.　. : . : . : . : .: .: . __,ｎ__, 　 　　,勹 　__,ｎ__, 　 　　,勹 三三三三三三三 ヽ二ニニニﾆﾆﾆﾆ::::.　　　　　　　　　　 ､　　　　　.　. : . : . : . : .: .:..,.ｺ lﾆ, 　 　く..く　　,.ｺ lﾆ, 　 　く..く 三三三三三三三三｀ゝニニニﾆﾆﾆﾆﾆ　　　 ﾆﾆニニ　　 　 ､　　　　.　. : . : . : .: .: .:. `弋ﾆク　　　＼）　`弋ﾆク　　　＼） 三三三三三三三三二二二二ニニニﾆ　　ﾆﾆニニニニﾆ 　 ヽ、　 . : . : . : .: .: .: .: .: .:.:.:.:.:.:.::: 三三三三三三三二二二二ニニニニﾆ　ﾆﾆニニニニニニﾆ 　 ヽ、.: .: .: .: .: .: .: .:.:.:.:.:.:.::::::::::: 三三三三三三三三三二ミヽ、ニニニﾆﾆﾆニニニニ二二二ニﾆ　｀ｰ -　_.: .: .: .:.:.:.:.::::::::::::::::: 三三三三三三三三三三三三`ミxニﾆﾆニニニ二二二二二二二二二 　 ｀　 _.:.:.:.:::::::::::::::::::: 三三三三三三三三⌒ヽ三三三三≧xニニニ二二二二二二二二二二二ニ　｀ゝ__::::::::::::::::: 三三三三三三三三三三｀ｰ‐-､三三二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ　＝=-ｧ 三三三三三三三三三三三三 ｀==‐⌒ヽ、二二二二二二二二二二二二二二二二ﾆﾆ 　 ｀ 三三三三三三三三三三三三三三三三三ー‐ｭ､二二二二二二二二二二ニニニニニﾆﾆ 三三三｀ヽ三三三三三三三三三三三三三三三ﾄ､三三三二二二二二二二二二ミxニﾆ＝ 三三三三 }三三三三三三三三三三三三三三三） ）三三三三二二二二ﾉ⌒二二ニニﾆﾆ 　　　　　＿圭＿＿＿＿_ 　　　 ／／／／／／／.ヘ. 　　／／／／／／／／ `lへ. 　　￣||ﾆlﾆ厂|ﾆlﾆ｢l~｢ ∩ l￣ 　　　 |`┴ﾉ　l`┴' |｜ | | | 　　　 ﾚ'l´l^'i'^l｀lヽ |｜ | | | 　　　 Ｌ.ＬＬ.Ｌ.ＬＬ.LＬl -''"~ 　/￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ 　|.　 ヘ(^o^)ヘ　　ありゃ、　　　　　　　 　 　 　 　 | 　|.　　　　|∧.　　　また雨になるんスかねえ。. 　 | 　|.　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | 　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/ .
66
　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　すでに稽古は終ってい、道場は静まり返っている。 　　　やる夫は母屋へ入った。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ :::　　　　||||||||||||||||:|_|_|_|_|_|:|:|i:i|ﾆﾆﾆ|ＺＺＺＺＺＺＺZ|ﾆ|ｉ:|ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ_||_ ゝ'　ゝ'i:ｉ:ｉ||i:ｉ:ｉ:|::|ﾆﾆﾆﾆ :::　　　　||||||||||||||||:|_|_|_|_|_|:|:|i:i|;rzzz| |zzzzzzzzz|:|zzｭ|i:i:i:i:i:ｉ:|二|二二ﾆ}l{,,|　　 |:|{}i:ｉ||i:i:{}|::|_=_:_:_|: :::　　　　||||||||||||||||:|_|_|_|_|_|:|:|i:i|i:i:i:i:i:|_|i:i:i:i:i:i:i:iYY「l:i:YYi:i:i:i:i:i:|＿|i:i:i:i:i:i:i:}l{i:|　　 |:|i:i:i:||i:ｉ:ｉ:|::|…… ＿＿＿_||||||||||||||||:|＿＿＿|:|i:i|ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ(_)(_)_(__)ﾆﾆニ|＿|i:i:i:i:i:i:i:}l{i:|＿　|:|i:i:i:||i:ｉ:ｉ:|::|:{}:i:i:i:ｉ| ＿＿＿＿＿＿＿`'弌s｡￣￣￣￣`ヽ､￣¨||＾弌ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆｱ￣`ヽ､￣ffx￣￣⌒≧=-　.|::|i:i:i:i:i:i:| 　　|＼＿＿＿＼ rっ `'弌is｡　　　　　 `ヽ､┘　|:|＿＿＿　|:|二二二r＜＾}}__＞ｭ｡., ､￣￣｀丶､￣ 　 ＼￣￣r__ｭ￣弋ｿ~＼　^弌i:s｡.,￣￣￣￣￣￣￣`　.￣￣｀ヽ､ ≧s｡二二｡o≦____〉───` 　　　＼＿ゝ‐'＿＿＿＿＼￣＾'弌i:i:s｡.　 　 　 /￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ ￣￣　|i:i:Yi:i:i:/￣￣ﾏi:〈￣￣.....,.　`'弌i:ﾐs｡￣ |　　,　－　-　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 | ￣￣ノi:i:ノi:i:/=＝＝=ﾏi:.　i　／／,.-‐''.`'弌i:.....|　./ 　（● ●　　先生に申し上げたいことが……　　　| ￣￣￣ ゝ‐‐'...__ ,, ..,,‐-､ .|./::／r‐- ､..ﾞ￣　`'. |　.ゝ　 （__人）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ￣￣￣￣￣￣￣.,.r' ‐ ､ヽl::/:/:::::::::::::::｀'' ‐ ､...ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/ 　　　　　　　　　／r::::::::::::｀':::::::::::::::::::::､::ヽ､:ヽ｀ヽ、 　　　　　　　　 ｲ´／:::::::::::::i::::::::i:::::::ヽ::::ヽ:::ヽ:::ヽ､ヽ 　　　　　　　 /:::/::::/::::l:::::l:l:::::::::l: l::.l:..',:..',:ヽ:. ヽ:..', 'li .　　　　　　 /://:. .l. . .l:. .:l:..l' ‐'１:.l. l:. .:l .:l:.ヽ:. ',:...l ､l! 　　　　 　 /l.:l.:l:.. .:l:. ..::l:..:ﾄ .l.　　|::ﾄ.:ﾄ.::. l:::l:.:::',.::l:..:l 　!、 　　 　 　 / |.l..:|:. .l:l:..:ﾄ l:.,.l_l::l　　|l:l l:l十‐l::l,j:::il:::|:::li　　＼ .　 　 　 /　.l::l:::l::::l::l:::|r 'l_l,.. li　　j./ﾚ 'f:ﾏﾐ､.l::l::l:l.i:l l　　　 ヽ、　　　　あ、何やら待っていたようですよ。 　　　　/　　ヽl､l::::l::ﾄ:K´ﾋﾝﾘ　 　 i　　ゞ‐ '　l|,':::l,/　l　　　　 ｀' ､, 　　　 /　　　i　{ヽ::l',ヽ,.;:` ´　　　 .　　　 ´´´/:l::|　 ﾉ　　　　 ,. r'　 　 構いません。 　　　/_　　　 l　ヽ|i::ヽ　　 　 　 　i〉　　　　 /l:::l:|　 ,.. --‐ ' ´..　　　　さ、居間の方へ…… 　　　　 ｀' ‐-､_　 l|l::l|.ヽ　 　 　 ｰ_‐ '　　 , 'lﾉl::l:|'´　l､ヽ＼ 　　　　　　　l,r-ヽ!li:::l| l:l`. ､ 　 　 　 　 ,.ｲj,.r.|i::i|‐ ''"ヽ､:ヽヽ 　　　　　　　｀￣｀/li::il_ヽ､ l:l`　､　　.／ .l　,.r'li:i|ヽ::＼:..:ヽ､:::｀' ‐ ､ 　　　　　　　　　 ゝ''l::::l''‐- ､ l　 ｀ "　　 .l'´ヽl:::lヽ::＼:..＼ヽヽ､｀ ''‐‐` ''ヽ、 　　　　　　　　　　　 l:::l _ ,..,_.ﾉ　　　　　　'r''ヽl::l ヽ､::::ヽ:::ヽ:ヽ ヽ ヽ　 ｀ ヽ､ヽ、 　　　　　　　　　　　/ l::l ､''‐｀''‐ ､　　 ／, '／l::l　　.>::::::ヽ｀ヽヽ　ヽ ＼　　 ヽ:::', 　　　　　　　 　 　 /　 l::l　｀ヽ｀ヽ ｀ ﾝ ／,.'　 l::l　／ ｀ヽ､::＼､:ヽ､　',l　',ヽ　　ヽ| 　　　　　　　　 ,.r '｀ ヽ､l::l　 　 ｀ヽ ヽ ' /　　 |l ./　　　i　 ヽ ,ヽ｀ヽ､ヽl､ l::::',　　! 　　　　　　 ,r '　　　　　 .l::l　　　　 ＼/ 　 　 | / ,.- ､　 l　 　 ヽ:::l lヽ､::ヽl::::l 　　　　　, '　　　　　　　　l::l ､　 　 　/　　　 /,r '::::::::::｀ヽ､　　 /ヽ::l l::::lヽ:::l::l 　　　　,.'　i　　　　　　　　 ll　ヽ、　/　　　 ,r ':::::::::::::::::::::::::l　./　　 ヽl:::::l ヽl:l 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　神谷新七郎の妻女に用向きを伝えると、 　　　言いさして妻女が先に立ち、やる夫をみちびいた。 　　　神谷夫妻には、子がない。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
67
　┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　神谷新七郎は庭に面した居間で、 　　　ひとり、酒を楽しんでいた。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　/ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　′／ 　　　　　　　　　　　　　 　 , ´ 　 ,'　', 　　　　　　　　　　　　　　/　,. -┴ ┴ .、 　　　　　　　 　 　 　 　 /／ 　　　　 　　ヽ 　　　 　 　 　 　 　 ∧_〃　　　　 肉 　 　 | 　　　　　　　　　　 ,'ﾍノl 　,-､　　 　　 　 _ |　　　おお、やる夫か。 　,　-―-　 ､　　　|　　| 　ヽ.__｀¨ﾌ r一 ´.ﾉi　　　入れ、入れ。 ´　　　　　　 ｀ ｰ '"¨フﾚ,タミ:ｪ｀（＿）ｰ_."¨| ，　　　　　　　 ､　 　　 ヾヽ、｀ﾞー一' "ﾌ.ノ ｀　　　 　 　 ＼rﾞﾍﾆ、ヽ、｀丶ミ二二彡" ｀ヽ＿__ 　　　　　 ,.-く　＼､　＼ ﾞi､_　　　　　　　 ノ　　　 　｀丶、 、_＿_ ／ 、　ヽ　 }ヽ、 |_Lノ｀ヽ,.イ¨￣´　　　　　 　 　 ﾍ ´:::::::｛　　/　 /　/　ノｰ´､＼ 　 |　　　 　 　 　 　 　 　 　 ﾍ ::::::::::ヽ、 ｀¨´｀ ´／　　　 ＼＼ |　　　 　 　 　｀ヽ.ノ　 　　 ｀＞ ､__ ､:::::__＞'"¨¨¨￣　　　　　　　＼＼　　　　 　　 　 ',_＿＿_r '''''ﾞ~ '"´/　ヽ　　　　　 　 　 　 　 　 j＼＼　 　 ,.ィｸ壬三三三三三三ミｭ、 ／　　 　＼　　　　 　 　 　 　 ﾉ　　　　.イニ三＞'"´￣￣￣￣ ¨｀ﾞヤ 　　　　　　 ｀ー-------一 ´ ヽ、　　仁＞'"´ 　　　　　|┃ 　　　　　|┃ 　　　　　|┃　　　　　 　 ／￣￣￣ ＼ 　　　　　|┃　　　　　 ／　 ― 　 ―　 ＼ 　　　　　|┃ 　　　 ／　　（●） 　（●） 　＼.　　　はい。 　　　　　|┃　 　　 |　　　　（__人__）　　 　　| 　　　　　|┃　　 　 ＼　　　 ｀ ⌒´　　　　／ 　　　　　|┃　　 　 ／￣￣￣￣￣￣￣ ＼ .
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┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ |┼―┤ |　 ││　 　 |　||　 | ┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ |┼―┤ |　 ││　 　 |　||　 | ┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ |┼―┤ |　 ││　 　 |　||　 | ┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ |┼―┤ |／││　 　 |　||　 | ┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ |┼―┤ |／││　 　 |　||　 | ┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ |┼―┤ |　 ││　 　 |　||　 | ┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ | ├―┼―┼―┼―┤ |┼―┤ |─┘├――|　||　 | ┴―┘ | └―┴―┴―┴―┘ | └―┴―┴―┴―┘ |┴―┘ |￣￣￣￣￣|　||　 | ──┐ | ┌――─────┐ | ┌――─────┐ |──┐ |　 　 　 　 　 |　||　 | ＿＿,｣　|　l＿＿＿＿＿＿＿__,|　|　l＿＿＿＿＿＿＿__,|　|＿＿,,|　|＿＿＿＿＿|　||　 | ＿＿＿_|＿＿＿＿＿＿＿＿＿__|＿＿＿＿＿＿＿＿＿__|＿＿＿_l==========＼||　 | ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ . 　　　　　　　　　　　　 　 　 /￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣＼ 　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼ 　　　　　　　　　　　　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼ 　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼ 　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼ 　　　 　 　 　 　 　 　 l二二二二二二二二二二二二二ニ二二二二二二二二二二二二l 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　|l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l |　| 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |_,,ｿ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 !,|_,ﾝ 　　　　　　　　　　 ∧ ＼ 　　　　　　　　　　/ 　', 　＼ 　　　　　　　　　┴―┴‐‐:､| 　　　　　　 ／　　肉 　　　　＼ 　　　　　 /　/⌒ヽ人／￣ヽ 　ヽ 　　　　　ｌ　/　　・ﾉ　l　 　･　}. 　　| 　　　　　|　ゝ＿{ 　ｎ`:‐／￣`ヽ |_）　　　しばらくは、誰も通さんようにな 　　　　　|/　二二二二／⌒ヽ. Vヽ 　　　　　| 　|―^――^￣￣ | 　| 　　　　　| 　|＿＿, ---､＿_ノ 　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /￣￣￣￣￣ヽ 　　　　　＼ ＿＿, ---､＿＿ ノ￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 はい.　　　＞ 　　　　　　　　| ゝ二二二ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ＿＿＿＿＿/ 　　　　　　　　| 　┏━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　居間を出て行こうとする妻女に、 　　　神谷が念を入れた。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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　　　　　　　　　／ 　 　 　 　 　 　 ＼ 　　　　 　 　 　 ト､　　　　　　　　　 　 ＼ 　　　　 　 　 　 |　ﾍ　 　 　 　 ＿　　　　ﾊ 　　　　 　 　 　 |　　ﾍ 　／　　　　　｀ヽ　ﾊ 　　　　　 　 ／ l ______∨　　　 　 　 　 　 ハ　∧ 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 `、ｖ　ﾍ 　　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',　　 ! 　　　　　　　 　 i 大ヽ　　　　　 　 　 　 　 　 ﾄ､__,　__ 　 　 　 　 さて、やる夫。 　　 　 ,ｲ　　 　 | 人 |　　　　__　　　　　　　　i　　　　 ｀ヽ _ 　　／　　　i'´＼ __　　 　／ﾋｿ ｀Y　　　　　　ﾄ　　　　　 //　　　どうやら、後れをとったようじゃのう、違うか？ , ィ　　　 ', ﾊ　　ﾋｿi　-イ　　　　/　　　　　　 i! ＼　 　 //::: 　　　 　 ハ 　､＿,.ｲ 　 ｀　---ｲ　　 　 　 　 ,'　　 ＼ //::::: 　 　　, '　　 　 　 / 　　 ｲ　　 　 　 　 　 　 ハ　　　 //:::::::: 　 　 ｲ　　　｀､　 ゝ -‐´ ｀ ￣｀ヽ 　 　 　 /　 ',　　 //::::::::/ .　´　　　　　　＼i　　ー― ､ 　　',　　 , イ 　　 ',　//::::::::// 　　　　　　　　//:ヽ､　ヽ _,ノ　 　 !／ ／　　 -‐ //::::::::// --イ -‐　´　//:::://＼ _____　, イ　／　　. : ´　//::::::::// 　　　　　　 //:::://　　 ＼　　　 ／ -- イ　　 //::::::::// 　　rく Y　//:::://　　　　　｀￣´　　　　　　　//::::::::// 　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_ 　　　　　　　　　　 　 ／　　 　 　＼ 　　　　　　　　　　 ／　 ― 　 ―　 ＼ 　　　　　　　 　 ／ 　 （●） 　（●） 　＼　　　もし、立ち合えば、 　 　 　 　 　 　 |　 　 　 （__人__）　　 　 |　　　後れをとったかも知れませんお 　　　　　　　 　 ＼　 　　 ｀⌒´ 　　　,／ 　　　　　　　 　 ／　　　 　ー‐　　　　＼ .
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　　　　　　　　 　 　 　 ━┓ 　　　　＿＿＿　　　　 ┏┛ 　　　 |＼　　　　＼　　 ・ 　　　 | 　ヽ＿＿＿＼ 　　　 |／_,_　　　　　￣ ＼ .　　 / :| 人 |　　　　　　　ヽ 　　/ 　| 人 |　　　＿　　　　　　　　　　　　何じゃい、立ち合わんかったのか？ 　　| 　　　　､_､‐'´ ﾟ ﾉ 　　　|＿ノ＼ 　　| ┌‐ ｡/　` ‐‐‐' 　　　/|＼ 　　ヽ 　　|　`‐‐（ ＿_（ﾉ　　　　/　! 　＼　　|　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ 　　 ',　　　　/ ￣`ヽ　　/　/ 　　　＼ﾉ　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |.　　　-　－、.　　　　　　 　 　 | 　　　ヽ　　　| 　ﾟ　　|　/　/ 　　　　　￣￣￣ ＼　　　　　　　　　　　　 　 　 |　　 ● ●） ヽ　　はい。.　 　 | 　　　　 ＼ 　` ―‐ ' /　/ ／ ￣　　　　　　　　　＼　　　 　 　 　 　 　 　 　 |. 　 （人__）　ノ.　　　　 　 　 　 | 　　　　　　￣｀‐‐{⌒ ／ /　　　　　　　　　　　　　　ヽ.　　　　　　 　 　 　 　 ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/ 　　　　　　　.　　　　　　 ∧ 　　　　　　　　　　　　　┴┴　､ 　　　　　　　　　　／　　 肉　　　ヽ. 　　　　　　　　　/　＿＿,.､＿＿　　ｌ 　　　　　　　　　ｌ　 ゝ__ﾟノ　ゝﾟ__ノ　.|　　　一体、どうしたんじゃい？ 　　　　　　　　　|　　　　ﾄ.__ｲ　　　　| 　　　　　　　　　ｌ 　　　f　｡　Y　　　.ｌ 　　　.　　　　　　ﾍ　　　ゝ___ノ　　 .ｲ 　　　　　　　　　　ｌ＼　,. ‐‐‐ 、／ | 　　　　　　 _..､‐''"ﾄ､　` ‐‐‐‐ ′　|_ ‐‐-､‐‐く　　　　}　ヽ.　 ＼　ｌ|　　　` ‐ ､ 　　　ヽ　　} ￣￣'''''''‐-....._/　　....-‐'''' ￣`Y´ ￣　＼ 　　 ` ‐ ､　 | |　　　　　　　　Y´　 ‐- ...._　　＼　　　　} 　　　　　 >､ｌ　/ｌ　　　　　　＼}　　　　　　　　､__>､_　ｲ 　　　＿../　 ￣`ヽ.　　　　　',/　　　　　　　　　　/_　　| 　　　　　　　　　　　ｌ-‐''''"￣￣ﾌ――'''''"￣￣ `ヽ.　 | .
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　　　　　　　　　　　 ＿＿＿_ 　　　　　　　　　　／　　 　 　＼ 　　　　　　　 　／　 _ノ 　 ヽ_　 ＼ 　　　　　　　／ 　 （●） 　（●）　 ＼　　　 いや、我ながら、 　　　　　　　|　 　 　 （__人__）　 　　 |.　　　思いがけぬことになりまして…… 　　　　　　　 ＼　 　　｀ ⌒´ 　　 ,／ 　　　　　 　 /⌒ヽ　 　ー‐ 　 　ｨヽ 　　　　 　　/ 　　　 　,⊆ニ_ヽ、　 | 　　　　　　/　 　 ／　r─--⊃、 　| 　　　　　　|　ヽ,.ｲ　　 ｀二ﾆﾆうヽ.　| 　　　　　　　　 　 　　＿＿＿_ 　　　　　　　　 　　／　　 　 　＼ 　　　　　　　 　 ／　 ― 　 ―　 ＼ 　　　　　　　 ／ 　 （●） 　（●）　 ＼　　　先生。 　　　　　　　 |　 　 　 （__人__）　 　　 | 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾆｮｼｮｳ 　 　　　　　　＼　 　　 ｀ ⌒´ 　　 ,／.　 　 かの風鳴翼なる女性は、 　r､　　　 　r､／　　　　　　　　　　ヘ 　 　 箸にも棒にもかかりませんお。 　ヽヾ　三　|:l1　　　　　　　　 　　　　ヽ 　　＼>ヽ/ |｀ ｝　　　　　　　　　 　　|　| 　　　ﾍ　lノ `'ｿ 　　　　　　　 　　　　|　| 　　　　/´　 /　　　　　　　　　　　　 |.　| 　　　　＼. ｨ 　　　　　　 　 　 　 　　|　 | 　　　 　 　 |　　　　　　　 　 　 　 　 | 　| 　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣ ＼ 　　　　　　　　　　　／ 　　　　　　　／ 　　　　　　.へ.＿／　　　￣￣＼／ 　　　　　　| 　　　　_／ 　　　　　ヽ 　　　　＿⊥　　／/|　　　　　　ヘ.ハ ￣￣｀ 　　　／　│|　　　　　{　　，V　　　 　 　 　 　 ﾌﾞｵﾝﾅ 　　　　 ､ 　　　　│|　　　　　　￣｀く　　　それほどの醜女か？ 　　　　　＼/ 　　∧＼ 　／ ￣｀v ┘ 　　　　　　 ＼　　　|＼＼| 　くフ } 　　　　　　　　＼ 　| 　`rへ＿ ／ 　　　　　　　　　＼ 　/ 　ヽ 　　　　　　　　　　 イ 　　　', 　　　　　　　　　　　|　　　　} .イ　　　　　　　　　 | 　　　∧ .│　　　　　　　　　/　　　/　| .
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　　ｒ'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'ヽ 　（　　　　　　　　　　　　　　　　,　　 　 /://7: : :/: : : : : : ｌ: : : : : :.:./、: : : : : : }:.:ﾊ: : : : : : : : : ∧　　　　　　　 ） 　　）　　　　　　　　　　　　　 　 v,　　 /{:///: : /: : : : : : /|: : : : :.:./乂ﾊ: : : : :.:|/}:.}: : : : : : : : :.:.∧　 　 　 　 （ 　（　　　　　　　　　　 　 　 　 　 v,　 f　}/,/: : /: : : : : : /　: : : :.:./　 　 ∨: : : :|/}: }: : : : : : : : : :.:∧　　　　 　 .） 　　）　　　　　　　　　　　 　 　 　 v,　 , /,/:.:.:/: : : : : : /　 l: : : :/　　　　 , : :.:.:.|/ﾊ:l: : : : : : : : : : : :.:　　　 　 .（ 　（　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 V,,ィ//ﾍ: /＿:_:_:.:.:/　 ｜: :./　　　 ＿∨: : :}〉/ ﾍ: : : : : : : : : : : |　　　　　　） 　　）　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨/〈ﾊ∧: : : : : :≧s､　|:.:./　斗七　　 ∨: : / /ﾏ}: : : : : : : : : : :|　　　　　（ 　（　　　　　　　　　　　　　　　　 　 〈ﾏﾊ∧∧:㌢^斧笊ﾐ　:.:/　 　 /斥笊^㍉: / /:.//l : : : : : : : :.:.:.|　　　　　　） 　　）　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ∨,ﾊ∧∧{｀　V)ツ　 {/　 　 　 V)ツ /: :/ /:.:///: : : : : : : :.:.:.:.|　　　　　（ 　（　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ∧∨,∧,∧　　　　　/　　　　　　　 /: :/ /:.:///:}: : : : : : : : : :.:|　　　　　　） 　　）　　　　　　　　　　　　　　　 　 / ∧ﾏ}:.∧∧　　　　 　　'　　 　 　 /:.:.f　f:.://,′: : : : : : : : :.:.:.|　　　　　（ 　（　　＿＿　　　　　　 ＿　　　　 /: : :∧}}:.:. }　i}､.　　　 ､__＿,　　　 ./: : :|　{:///: : |: : : : : : : :.:.:.:.|　　　　　　） 　　）　::::::::::::＼　　　 f:::::::::ﾊ　 　 ,: : : : : : ≧s。_|:}＞ 　 　 ｰ‐'　　　 /: : :.:{＞''´: : :.:.|: : : : : : : : : : }　　　　　（ 　（　　､:::::::::::::::＼　　{:::::::::::::.　　/: : : : : : : ∨,∨:|　　|＞　　　　 ＜|: : ／≧s〈: : :.:.:.|: : : : : : :: : :く　　　　　　 ） 　　）　. ヽ::::::::::::::::＼ ::::::::::::::::}　, : : : : ≦＿＿ ,∨　Ⅵ　　　爪　 　 }／　　　　　≧s。―┬―≦ { 　 　 　 . （ 　（　　　　＼::::::::::::::::::}::::::::::::::L/: : : : : :／::::::::::ﾐ｀ ＜ ヽ777}　 /77ア　　　＞''´ ⌒^: : : :.:|: : : : : :　　　　　 　 ） 　　）　　　　 ＼:::::::::::/::::::::::::::}::::::::::＼:/:::::::::::::::}: : : : ｱヽ∨,}　//,,'/　 ＜: : : |: : :|: : : : : :.:.|: : : : : : :　　　 　 .（ 　（　　　　　　　＼:::::{::::::::::::::f:::::::::::::::/::::::::::::::::/｡s≦＿　＼ﾏ//／／　　 ≧s。:.:|: : : : : :.:.|: : : : : : ∧　　　　　） 　　）　　　　　　　 ゝ:l::::::::::::: |::::::::::: /::::::::::::::::(＿_γ::::::::ヽ　ヽ /∠　　　 ／:.:.:.:.:/　 ≧=‐ |: : : : : : : ∧　　　.（ 　（　　　　　 　 　 　 |:::::::::: : |::::::::::/::::::::::::::::/:::::／:::::::::: /　　γ:::::ﾊ　 ／:.:.:.: ／　　　　　 }: : : : : : : : ∧　 　 . ） 　 丶～'⌒'〇'⌒'～⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'´ 　　　　　　　 Ｏ 　　　　　　　 o 　　　　　　　　ﾟ 　　　　　　　 　 　 _. -─‐- 　 　 　 　 　 　 ／　 　 　 ─ ＼ 　　　 　 　 　 /　 ／　　　(● ） ＼　　　　いえ、心が汚のう―― 　　 　 　 　 / 　 （ ●)　 ､＿)　　　⊂ヾ、 　　　　　　 |　　　 　 （__ノ 　 　 　 　 |Ｅ ）　ｺﾘｺﾘ 　　　　　　 ヽ　　　　　　　　　　　 _ノゝ ヽ 　　　　　　　 ＞　　　　　￣　　　　 ｀　　ﾉ 　┏━━━━━━━━━━━━┓ 　　　やる夫は始終を語った。 　┗━━━━━━━━━━━━┛ .
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────────────────────────────────────────────────── 　　　　 　 　 　 　 　 ＿＿＿_ 　　　　 　 　 　 　 ／　　 　 　＼ 　　　　 　 　 　 ／　─　 　 ─　＼ 　 　 　 　 　 ／ 　 （●） 　（●） 　＼　　 　 /￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ 　　　　　　　|　 　 　 （__人__）　　 　 |　　 　 |　　,　－　-　 　 もはや、立ち合う気も失せてしまい、　　　　　　 　 　 　 　 | 　 　 　 　 　 ＼　　　　 　 　 　 　 ,／　　　　|　./ 　（● ●　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | 　　　　 　 　 　 i　　　　 ー´　　　ヽ　　　　　|　.ゝ　 （__人） 　 このような女は抱く気もせぬと言い残し、帰って……　　 .| 　 　 　 　 　 　 { 　 　 　 　 　 　 　 ヽ　　 　 ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/ .　　　　　　　 　 〉　　　　　 ヾ　　　　ヽ 　　　　 　 　 　 i　　　　　　　 ＼　　　ヽ ────────────────────────────────────────────────── 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ノし 　　　　　　　　　　　 /　.|　　＼.　 　 　 て 　　　　　　　　　　 /　　 |　　　　ヽ.　　　( 　　　　　　　　　　┴ 　┴　　　　　', 　　　　　　 ／　　肉　　　　　＼ 　| 　　　　　 / .へ　　　　　　　　　　V .　　　　 / /　　V　　　　　　　　 　', 　　　　/　､ 　･/ `┬'´ ￣`ヽ　　　ｌ.　　 　 ！？ 　　　　ｌ　　　ソ 　　､ ･ 　　/ 　　　|/| 　　　　|　　（ ＿ ｎ 　￣￣　　U //　|　　　ちょっと待て。 　　＿_| ／ ￣￣￣ ＼ 　　　　// 　.!　　　何と言った？ ／ 　　||　　/ ￣ ＼　　',　　／/| 　/ 　　 ／ﾊ　　ゝ＿＿ ） 　| ／ / ハ/ 　イ　/　＼ ＿＿＿＿ノ　／ / 　＼ 　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_ 　　　　　　　　 　 ／　　 　 　＼ 　　　　　　　　 ／　─　 　 ─　＼ 　　　　　 　 ／ 　 （●） 　（●） 　＼ 　 　 　 このような女は抱く気もせぬと…… .　　　　　　 |　 　 　 （__人__）　　 　 | 　　　　　 　 ＼　 　　 ｀⌒´ 　　　,／ 　　　　　 　 ／　　　 　ー‐　　　　＼ .
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　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼| 　／| ／ 　　　　／￣ `ヽ. 　　/ ィ､, ヽ 　 　/　　　　　　ｌ　　　　　',　　　ィ､/ 　', 　. /| 　U　　　　| 　　　　U ､_ノ 　　　　| 　/. | 　　　　　　＼　　　　　　　Ｌ.／ヽ | 　 　| 　　　＿＿　　＼__／ 　　/U　　ｌ |　　　風鳴翼に、 　 　| 　／　　　　　＼ 　　　　く　　　ﾉ .|　　　そう言ってやったのか？ 　 　| /　　　＿＿ 　　＼_)__　　} ￣ 　/ 　|　V　　　/ 　　　＼ 　　＼｀ソ　　　/ 　| 　|　　　| 　　　　　＼ 　　＼ 　　/ 　ヽ. ヽ 　　＼ 　　　　　〉　　　| 　/ 　 　| 　＼　　＼＿＿ノ　　　　レ1 　　　＼ 　＼　　　　　　　　／| 　|＼ 　　　　　 　　　　＿＿＿ 　　　　　　 　 ／　　　　　＼ 　　　　　　 ／　　　　　　 　 ＼.　　　　はい。 　　　　　／　 　 　／ ,　, ＼　 ＼ 　　　 　 |　 　 　 （ー）　 （ー）　 |　　　いま、思い返しますと、 　　　　　＼　 u. 　 （__人__）　,／.　　　女相手に、いささか暴言を吐いてしまったかと 　　　　　　ノ　　　　 ｀ ⌒´　　＼.　　　後悔していますお。 　　　 ／´　　　 　 _i⌒i⌒i⌒i┐ ヽ 　　　 |　　　　ｌ　 （ l　/　/　/　l 　　 　 l　　　　l 　ヽ 　　　　　 / .
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　　　　　 　 　 　 　 　 　 ヽ／　　　　　　　　　　　　　　　 　 ヽ/ 　　　 　 　 　 　 　 　 ヽ／ヽ　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 / ＼/ 　　　 　 　 　 　 　 　 ∧　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /＼ / 　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／l ＼.　　　　　　 　 　 ∧ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ 　.l 　 ヽ 　　 _,n＿00　　　　　　　　 　 　 　 ,　＜　￣｀＞ｘ　 ﾊ 　 └l ｎ |　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　 肉 　 　 　 ＼ ', 　 　 U Ｕ　　　　 　 　 　 　 　 / ＿　_,.､＿　 　 　 　 ヽl 　　　 　 __.　　　　 　 　 　 　 /ｆ 　 ^,ﾉ_ （^　 ｀　x 　 　 ';! 　　　 　 | |　ｒ､.　 　 　 　 　 ,'　`ｰf´　　 ,ヽ ＿,ノ　　　　| 　　　 　 |_|　＼>　　　　　　 !ｆ⌒ヽﾐｰ＿‐'_,　‐　⌒ヽ　　l　 　 なあに、構わんわい。 　　　　　　 　 __　　 　 　 　 ﾞ! ｆ`ト ､ ＿ ＿,　‐T´）. ,!　 ,! 　　　　　　 　 | |　ｒ､.　　　　 ﾄ.ヽ`ｰ'ー－'ｰ "´／,／ 　,'| 　　　　　　 　 |_|　＼>.　　　 ヽヽ､`ｰ=＝=-_彡 "　　 / .l _,.ｲ.　　　　/￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ 　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼_≧＝≦＿＿＿_, '　　　 ,!　 　 　 |..　　　-　－、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＿, -l｀ ー－＝彡　＿ト､＿_ /　　　 　 |.　　 ● ●） ヽ.　 えっ……、　　　　　　 　 　 　 　 　 | 　　　　　　　　 　 ＿,　- ‐　 ／ / ｀＞＜　￣　　 /　l　　 ￣｀　ー -|. 　 （人__） uノ 　 では、お許し下さいますか？　　　| 　　　　　　 　 ／/　　　　.／　 /イ　 　 　 X　　 / 　 !　 　 　 　 ／.ﾞヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/ 　　　　　　　/　/　　　.／ 　 _/.　Ｖ.　　／ 　ヽ./ . 　 }　　　　　/　　　　　 .ヽ 　　　 　 　 ,f　 !　　　 L_. 　 / 　,ィﾞｰ‐l　　 　 / 　 　 !　　　　./　　　　 　 　 ﾊ 　　　　 　 ,! 　,!　　 　 _, ＞ l ／ 　 　 ト､ 　 /　　 ＿l　 　 　 l　 　 　 　 　 　 l 　　　　　　　　　　　　　 　 , ´ 　 ,'　', 　　　　　　　　　　　　　　/　,. -┴ ┴ .、 　　　　　　　 　 　 　 　 /／ 　　　　 　　ヽ 　　　 　 　 　 　 　 ∧_〃　　　　 肉 　 　 |.　 　 よくぞ、言うてやった。 　　　　　　　　　　 ,'ﾍノl 　,-､　　 　　 　 _ | 　,　-―-　 ､　　　|　　| 　ヽ.__｀¨ﾌ r一 ´.ﾉi　　　そのような女は、 ´　　　　　　 ｀ ｰ '"¨フﾚ,タミ:ｪ｀（＿）ｰ_."¨|　　　私も、お前の嫁にしたくはない。 ，　　　　　　　 ､　 　　 ヾヽ、｀ﾞー一' "ﾌ.ノ ｀　　　 　 　 ＼rﾞﾍﾆ、ヽ、｀丶ミ二二彡" ｀ヽ＿__ 　　　　　 ,.-く　＼､　＼ ﾞi､_　　　　　　　 ノ　　　 　｀丶、　　　　　　 /￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ 、_＿_ ／ 、　ヽ　 }ヽ、 |_Lノ｀ヽ,.イ¨￣´　　　　　 　 　 ﾍ 　 　 　 　 |..　　　-　－、　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 | ´:::::::｛　　/　 /　/　ノｰ´､＼ 　 |　　　 　 　 　 　 　 　 　 ﾍ.　　　　　|.　　 ● ●） ヽ.　 おそれいりますお。.　　 | ::::::::::ヽ、 ｀¨´｀ ´／　　　 ＼＼ |　　　 　 　 　｀ヽ.ノ　 　　 ｀＞ ､__.　|. 　 （人__） . ノ　　　　　　　　　　 　 　 　 　 | ､:::::__＞'"¨¨¨￣　　　　　　　＼＼　　　　 　　 　 ',_＿＿_r '''''ﾞ~...　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/ '"´/　ヽ　　　　　 　 　 　 　 　 j＼＼　 　 ,.ィｸ壬三三三三三三ミｭ、 ／　　 　＼　　　　 　 　 　 　 ﾉ　　　　.イニ三＞'"´￣￣￣￣ ¨｀ﾞヤ 　　　　　　 ｀ー-------一 ´ ヽ、　　仁＞'"´ .
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　　　　　　　　　　　 ／∧ 　　　　　　　　　 ／ 　|.　| 　　　　　　　　 /　.＿⊥ ⊥ 　　　　　　　　ｌ／　　　肉 　｀ヽ 　　　　　　　/　 .ｨ ⌒ヽ_,､/⌒',　| 　　　　　ﾄ､..|　　 |　　･ |　l･　　|│　　　それで、女めはどのような…… 　　　　　l 　|　＿L＿ ノ 　ヽ_ノ｀V 　　　　　レｲ/ 　r､＿`┴‐'___┐ |＿ 　　　／ 　|:|　　|‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐| │ 　＼ .､--イ| 　　|:| 　ﾄ､＿＿＿＿/ /!|　　 ||￣`‐‐:､ 　　　|:| 　　|:|＼ ＿＿＿＿_.／/|:| 　　|| 　　ｒ'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'ヽ 　（　　　　　　　　　　　　 /: : : :／,/.: : : : : :. :./.: : : :. :./}:,.: : : :.∧ ＼.: : : : : : : : : : : : : : : : :.＼　　　　　.） 　　）　　 　 　 　 　 {{ 　 ,: : : :////: : : : : : : :/|: : : : : /{{/_}.: .:./ ∧}_},＼.: : : :. :. :. :.＼.: : : :. :. :.＼　　..（ 　（　　　　　　　　　 { ,　 {: : :////: : : : : : : :, ｜: : : :/ ^　 |.:. :.:./: :}/ }: : ヽ : : : : : : : : ＼: : : : :　　 　 　 ） 　　）　　　　　　　　 {∧ ｡s≦//,{.: : : :. :. :./　 !: : : / 　 　 !: :|.: :. :.|:. ,}　 　 ＼.: : : : : : : :.＼: : : :　 　 . （ 　（　　　　　　　　　 ,　 {/〈: : }^{ |.: :. :. .:._/　　|: : /　　　　l,: :|.: :. :.| ∧　　　　　.: : : : : : : : :.＼: : :.　　　 ） 　　）　　　　　　　　 ∨ {/∧:.{　!: : : : : :,x=ミ､ :. /　 　 _斗也､: : : |// ヽ　　　　 ‘，.: : : : : : : :.ヽ: :.　　（ 　（　　　　　　　　　 ∧ {//,}:.:{　: : : /《　んﾊ　|:,   :::::::::　んﾊ　》 }: :}:},.: : :.＼　　 　 : : : : : : : : : :　 　 　 . ） 　　）　　　　　　　／: : , {//}:.:.',｜:.: {　　乂ｿ　′:::::::::　乂ｿ　 { | /:,'}.: :. :. .:.＼　　 }: : : : : : : : :　　　　.（ 　（　　　 　 　 ／: : : : : ,∨,'!:.:.:',{ : : |＿ ｀¨^　　　 　 　 ^¨´　从/:},/.: : : : : :. :.＼　: : :.:|: : : :.:|: :.　 　 　 ） 　　）　　 　 ／: : :.γ ￣ヽﾏ込_八 : |　　 ￣　ア　 '　　　 　 八/ 7.ﾞﾞ:. :. .:.＼: : : : : |: : :.|.: : : :.|: :　 　 . （ 　（　　.　 : : : : : :.,　　　 　 ＼ ＼, ＼　　　　 /　r　 ,　　　 〈: /}/ヽ.....ﾞ: : : : :.＼.: .:.≧=‐‐=≦}: : :　　 　 .） 　　）　/r‐=≦　/　　 　 　 　 ヽ { ､ 　 　 　,〈　　　 　 .　　 {:/ /　　　//}.: :. :. :.＼.: : : :. :. :. :.＼　　 　 （ 　（　　: :{/////777≧s。_　　　＼,　｀''＜　 ∧＞　＜　　 从/＞''´} ,/,'}.: : : :. :. :.＼: : : : : : : : 　 　 　 . ） 　　）　: :Ⅶ////////////≧s。__　 /:.:.:.:｀''＜ﾍ /　　　＞''〈　　　 : //,.: : : : : : : :. :.＼: : : : : :　　　　 （ 　（　　: : Ⅶ/////////////////≧s : :／　　＼}　／＼ : :∧ }　 }//,}.: : : : : : : : :. :. :.ヽ: : : : :　　　 　 ） 　　）　.:.:.:.Ⅵ///////////////////∧　　　 　 笊　　　＼:.∧{　///,}: : : : : : : : : : : : : :.＼: : : :　 　 （ 　（　　.:. :.:.∨//////////////////,'!∧　　　〈/乂_〉　　　＼:}{ ////}: : : : : : : : : : : : : : : : ＼: :　　　...） 　 丶～'⌒'〇'⌒'～⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'´ 　　　　　　　 Ｏ 　　　　　　　　 o 　　　　　　　　　　ﾟ 　　　　　　　　　 　 ＿＿＿_ 　　　　　　　　　 ／ 　 　 　 ＼ 　　　　　　　　／　 ⌒ 　 ⌒　 ＼.　　 　 ｵﾓﾃ 　　　　　　 ／　　（●）　（●）　　＼.　 　 面を真っ赤にして、 .　　　　　　l　 　 　 （__人__）　 　 　 ｌ　　　怒っていたようですお 　　　　　　 ＼　　 　 ｀⌒´　　 　 ／ 　　　　　　 ／　　　 　 　 　 　 　 ＼ .
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　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 | ',　　　ヽ 　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 , |　',_ -‐-､＼ 　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　￣　　　　　 ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′　肉　　　　　　'　j 　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ｨ⌒t_ tノ⌒ヽ　　 ﾚﾊ　　　よい気味、よい気味。 　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |弋__ﾟj 弋_ﾟ_ノ　　　|'　} 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弋__ｨ-- ､　　/ |　' 　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧（　ー一'　.}　/ﾉ |/ 　　　　　　　　　 　 　 ＿ -‐＜ﾇ¨ﾊヽ､ ＿　ノ'／ 　ﾊ＞: 　　　　　　　　＞ ´￣　　　　/:.:.:/ j｀'＜___::イ/　／:.:;ｨ'⌒ヽ､ 　　　　　　 ／　　 　 　 　 ´/:.:.:/　｀込　j∠ｲ_／:.:∠.ﾊ__　　　ヽ 　　　　　　{　　{　　　ヽ〃 /:.:.:/　　V´ ￣　／:.:〃　 /´　｀ー--ﾄ､ 　　　　／´㍉ 　 Y 　 ↓ｨ:.:.:.:.{ 　 ./＜¨　/:.:.:/　　　　　/　　　 ﾊ　ヽ 　 　 ,ｲ　ﾉ 　 　 ｲ　 　 |:.:.:.:..:.:l　Y　　　 ノ:.:.:.:{　　 　 　 { 　　 j　〃　　｀￣｀¨＞ |:.:.:.:.:.:弋{_____∠:.:.:.:.:斗く　（　　 l　　　　　　　 l 　　/　{　　　　　　　　　ヾ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./　　　〃ヾ　 代　　 /　 　 / 　 { 　 ゝｰ辷─--　　＿　　￣¨¨㍉ー-{　　　　　イ´｀ヽ､　∠ ._　 ｲ 　 j　ヽ､　　　￣¨¨　　　　　　　　　}:＞┴く　　　　　　　 j´　　　}'　j 　弋__　　　　　　　　　　　　　　_∠´　 　 　 Y´　　　　　　　j　 /　/ 　　　弋¨¨´￣￣　　　　＞'　￣｀¨　　　　　 |　　　　 　 　 /　/　/ 　　　 　 ｀ー--r-一 ＜　　　　　　　 ､___　　　　 　 　 　 彡く:.:ﾄｲ 　　　　　　　　　＞ミ弋　　ー==-　　　 y　　　　　　　 ／:.:.:.:.:.:.:j 　　 　 　 　 , 　- ‐ -　 、 　 　 　 　 （　　　　　　　) 　　　 　 　 ゝｰ -　‐ ´丿 　　　 　 　 　 >　　　<.　　 　 　 　 /￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ 　　 　 　 　 / 　 　 　 ヽ　　　　 　 |　　　　　　　　　　 　　／∧　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 | .　　　　 　 /　　　 　 　 .i..　　　　　|　　　　　　　　　　 ／ 　|.　|　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　　　　　i　　　　 　 　 .i.　　　 　 |　　　　　　　　　 /　.＿⊥ ⊥　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 | 　 　 　 　 l　　　　　　　　i　　　　　|　　　　　　　　　ｌ／　　　肉 　｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　 　 | .　　　　　 |　　　　　 　 　.|.　　　　 |　　　　　　　　/　 .ｨ ⌒ヽ_,､/⌒',　|　　　　　　　　　　　　　 　 | 　 　 　 　 l　　　 　 　 　 .| 　 　 　 |　　　　　　ﾄ､..|　　 |　　･ |　l･　　|│　　ま、のむがいい。 　 | 　　　　 　 l　　　　　 　 　|　　　 　 |　　　　　　l 　|　＿L＿ ノ 　ヽ_ノ｀V　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　　　　　l 　 　 　 　 　 l. 　 　 　 |　　　　　　レｲ/ 　r､＿`┴‐'___┐ |＿　　　　　　　　　　 　 　 | .　 　 　 　 l　 　 　 　 　 .l.　　　 　 |　　　　／ 　|:|　　|‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐| │ 　＼.　/￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ .　　　　　　l　 　 　 　 　 l.　　　　　|　.､--イ| 　　|:| 　ﾄ､＿＿＿＿/ /!|　　 ||.　|.　　　-　－、　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　 　 　 l　　　　　　　l　　　　　 |　　　　|:| 　　|:|＼ ＿＿＿＿_.／/|:| 　　||. |　　 ● ●） ヽ　　いただきますお。　　 | 　　　 　 　 ヽ、　　　　.ノ.　　 　 　 ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿|. 　 （人__）　ノ　　　　　　　　　　　　　 　 | 　　　　　 　 　 ｀　　 ´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/ 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　神谷新七郎は嬉しげに、 　　　大ぶりの盃をやる夫へあたえ、酌をしてくれる。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
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　　　　　　 　 　 　 　 　 ∧ 　　　　　　　　　　　　　┴┴　､ 　　　　　　　　　　／　　 肉　　　ヽ 　　　　　　　　　/　＿＿,.､＿＿　　ｌ 　　　　　　　　　ｌ　 ゝ__ﾟノ　ゝﾟ__ノ　.|　　　では、風鳴翼が木太刀を構えたのを見届けたんじゃな？ 　　　　　　　　　|　　　　ﾄ.__ｲ　　　　| 　　　　　　　　　ｌ 　　　f　｡　Y　　　.ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ 　　　 　 　 　 　 ﾍ　　　ゝ___ノ　　 .ｲ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |.　　　-　－、.　　　　　　 　 　 | 　　　　　　　　　　ｌ＼　,. ‐‐‐ 、／ |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　 ● ●） ヽ　　はい。.　 　 | 　　　　　　 _..､‐''"ﾄ､　` ‐‐‐‐ ′　|_　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |. 　 （人__）　ノ.　　　　 　 　 　 | ‐‐-､‐‐く　　　　}　ヽ.　 ＼　ｌ|　　　` ‐ ､　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/ 　　　ヽ　　} ￣￣'''''''‐-....._/　　....-‐'''' ￣`Y´ ￣　＼ 　　 ` ‐ ､　 | |　　　　　　　　Y´　 ‐- ...._　　＼　　　　} 　　　　　 >､ｌ　/ｌ　　　　　　＼}　　　　　　　　､__>､_　ｲ 　　　＿../　 ￣`ヽ.　　　　　',/　　　　　　　　　　/_　　| 　　　　　　　　　　　ｌ-‐''''"￣￣ﾌ――'''''"￣￣ `ヽ.　 | 　　　　　　　　　　　　　　　∧ 　　　　　　　　　　　　　　,'＿ﾞｉ＿ 　　　　　　　　　　　,r'　　　　　　　ﾞｉ 　　　　　　　　　　 |　　　　肉 　　　| 　　　　　　　,r' 三}|　､--v} {v‐‐　._{三 ﾞｉ　　　どうじゃった？ 　　　　　　　|　三l|　(,___・l　」_・､ｲ」r三　| .　　　　　　 ｲ　　(,|　　　.（.,_､）　　 {　　　| ＿　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ 　　　　,r' ￣{　　　}|　　{´　O ｀}　ﾊ{　　 (,　 ＼　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |.　　　-　－、　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　　／　　　ﾄ.＿〈 ＼　ゝ_＿ .ノ /　〉＿＿}　　ﾞｉ　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 ● ●） ヽ　　なかなかもって……。　 | 　　　{　　　　 | _＿ ﾞｉ　 ｀‐---‐´ 　　|　　　|.　　ｉ　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |. 　 （人__）　ノ　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　　　　　　 }　ﾞｉ　　ﾞｉ　　　　　　　　,r' ￣￣ﾞｉ　　}　　　　　　　　　　　 　 　 　 ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/ .
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　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣ ＼ 　　　　　　　　　　　／ 　　　　　　　／ .　　　　　　へ.＿／　　　￣￣＼／ 　　　　　　| 　　　　_／ 　　　　　ヽ 　　　　＿⊥　　／/|　　　　　　ヘ.ハ ￣￣｀ 　　　／　│|　　　　　{　　，V 　　　　 ､ 　　　　│|　　　　　　￣｀く　　　それほどの遣い手か？ 　　　　　＼/ 　　∧＼ 　／ ￣｀v ┘ 　　　　　　 ＼　　　|＼＼| 　くフ } 　　　　　　　　＼ 　| 　`rへ＿ ／ 　　　　　　　　　＼ 　/ 　ヽ 　　　　　　　　　　 イ 　　　',　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＿＿＿ 　　　　　　　　　　　|　　　　}　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　 ヽ､_ ＼ .イ　　　　　　　　　 | 　　　∧　　　　　　　　　　　　　 ／（● ） （● ）　＼.　　 　 やる夫は、 .│　　　　　　　　　/　　　/　|　 　 　 　 　 　 　 　 ／:::⌒（__人__）⌒:::::　＼　　　そのように見受けましたお。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 | 　ｌ^l^lｎー'´　　　　　　 | 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼ヽ 　 L　　　　　　　 ／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ゝ 　ﾉ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／ 　 / 　γ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ 　 |　　　　 __＿_　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　 |　　 　 〃 /^lﾍ ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 | 　 |　　　!んi ﾉﾘﾉ　））〉　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　 |　　 ﾉんｉﾊ*ﾟ ヮﾟﾉ〉　　お供の方が来られましたよ　　　.| 　 |　　(イ　 (「 _ｿ] l)　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 | 　 |　　　）)　 ﾚﾄ-'iJ　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 | 　 |　　　　 　 ﾉ_i_」　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 | 　 ゝ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,ノ 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　師弟が盃を重ねるうち、 　　　供の足軽があらわれたので、 　　　永井やる夫は神谷道場を出て駿河台にある父の屋敷へ帰っていった。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 　　　　　　　　 ＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,..-―――――...,,_ 　　　 　 ,..:::'::´:::::::::::::｀::::ヽ.､.　　　　　 　 　 　 _,,..-‐''"´｀"''-､　　　　 　 　 ／"''-..,,_ 　 　 ,.::'ﾞ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼ 　 　 　 ,..-''"{.　 ｀／-､ 　 .／＼　　　 　 /　 　 　 　｀''-､ .　 ,.:':::::::::::::::::::::ｒ─;::::::::::::::::::::::::ヽ....　／: : : : ヽ／　 __'_,,.-': : : : :.ヽ　 　 /　　　　　　 　 　＼ ...ﾞ;'::::::::::::::l￣￣　　￣￣ﾞl:::::::::::::::':, . : : : : :.／: : ￣: : : : : :.ヽ: : : : :l　 　.l　　　　　　　　　　　＼ . ;ﾞ::::::::::::::::￣,ﾆ'　　'￣=ﾆ;::::::::::::::::::!: : : :.／: : : : : : : ＼: : : : :|: : : : |　　 .!　　　 　 　 　 　 　 　 ヽ .ﾞ!::::::::::::::::;r'~　,､　 r.　,_　ヽ:::::::::::::::l...: :./: : : : : : : : : : : :.､: : ﾉ: : : :..l　　　',　　　　　 　 　 　 _,,.-''''7､ ..ﾞ';::::::::::::::l　　{;;;ﾌ　.／,i　　i::::::::::::::;!.ﾞ: :.!: : : : : : : : : : : : : }: : : : : : /　　　 ヽ　　　　 　 　 ／ 　 .,ｲ　 ', ..ﾞヽ::::::::::::ヽ　　 ,／:r'´　 ノ::::::::::::;ﾉ.ﾞ: : : : : : : : : : : : : : //: : : : : :/､＿＿_,,.-ヽ　 　 　 ／　　.／/　　 ヽ、 .......＼::::::::::｀':::::':::::::::`ｰ':´::::::::::::<.ﾞ: :./ ￣ヽ: : : : : : : :./:.{: : : : : /‐ ､:::::::::::::｀''-､｀"''‐/　　 ／__/_　　　　 ', 　　　 ヽ;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 'ｰ`､..l /＿i l: : : : : : :./: :.ヽ: : : :,' ｀ヽヽ::::::::::::::::::::＼: :ヽ''"´／　　　　　　 / 　　　 　 `'-::､::::::::::::::::;:::- ' ´ﾞ: : : : :／二ヽ|: : : : :.／: : : : : : :./　　 丶｀､::::::::::::::::::::ヽ、｀７　　　　 　 　 / 　　　　　 　 　 ￣￣ 　 　 l: : : : : ,'{（::::::::）}､_,,.-': : : : : : : : : /　　　　 ',　',:::::::::::::::::::| |、∧　　 　 　 .／ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 l: : : : : {-｀r‐､ﾆ´/: : : : : : : : : :i:./　　　　　 i　.!､_,-､:::::::::| l: ヽ ＼＿___／ 　 　 ┼ __　　　　　　　 　 |: : : : : :､-ﾟ^ ﾟ-./: : : : : : : : : : :|′　　　　　,' .,'､__　 ｀二_/: : :∧ 　.／∧ .　　 ｑ__,ﾉ 　 　 　 　 　 　 |ヽ: : : : : :.７TTl: : : : : : : : : : : l　　　　ヽ　/ /:::::::::＼＼: : : : : :∧´: : : :∧ 　　　　　　　　　　 　 　 　 l　　￣￣/. ∨|､: : : : : : : : : :/　　　　　|/ /:::::::::::::／／: : : : : : ∧: : : : :∧ .　　 ┼､ヽゝゝ.　 　 　 　 /,.-‐-､　/　./　 ', ｀"'' ――‐/　　　　 ＼:::::::::::::／／: : : : : : : : : ∧: : : : : :', 　 　 ﾉ､ﾉ　　　　　 　 　 /　　　　 ｲ　 .l　 /　　　　　／　　　　 　 　 ',-､＜／: : : : : : : : : : : : ∧: : : : :.i 　　　　 　 　 　 　 　 　 {　　 　 　 l ／!. /! ,.--､　 ｲ　　　　　　　　　i　　　ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : l 　　　 l　_.　　　 　 　 　 ､　 　 　 /'　　 .′　　　 　 !　　 ／　　　　 ヽ　　　 |＼: : : : : : : : : : : : : : : : : | 　　　 V　） 　 　 　 　 　 l 　 　 /-‐　 .i　　　 　 　 ,' 　 /　　　　　 　 ヽ 　 / ./ ＼: : : : : : : : : : : : : : :.| 　　　　　　　　　 　 　 　 |､＿_/.　　 　 ､　 　 　 ／ .／　 　 　 　 　 　 l-_'_／　　 .　　　 ﾚ 1　　　 　 , -'"´L::::::_|　　　　　l 　 　 /__／　　　　　　 　 　 ./_..ﾆ=‐　← やる夫 　 　 　 ノ　　　　／' ￣｀ｰ､_　ヽ_,,.-'‐‐''|､＿_/／　　　　　 　 　 　 ／ 　　　　　　　　　 　 　 　 　 _,,〉/　　　　 l::::::::::l　　 　 　 　 　 ｰ,‐''´ 　　　　　 ゆ　　 　 _,,..-''"´　　　　　／/｀¨¨´､　　　　 　 　 ／ 　　　　　　　　　 　 　 ＿_　 　 _,,.-'′ ! 　 　 .|　 ＿,,..-‐''"´ 　　　 ,ニ、　 　 　 　 　 　 ｀＜　　　　 ', 　 　 |_,,..-'′ 　　　 　 ﾉ　　　 　 　 　 　 　 　 _,,.-‐､┘//// 　　　　　　　　　　　　　 　 　 /´　　　 ￣￣ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　そのころ……。 　　　風鳴翼は、先刻の稽古着を着替えようともせず、 　　　依然、天井を睨んだまま身じろぎもしない。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ T_|i:||=-=ﾆ弌ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|二ニﾆ=|ｉ:廴＿|:|｀`'|lー|─ーーー─|i:|─ーー‐|i:i:i:||────ー:|i:i|───────── _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|　l≡l　 |i:|¨ﾞ　''|:lニﾆ=-|ｪｪｪｪｪｪｪzzz|i:|zzｪｪｪｪｪ|i:i:i:||ｪｪｪｪzｪzzzzz|i:i|zzzzzzzzzzzzzzzzzzzz _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|ニアニニア　 :|:|¨:| |￣|_|_|_|_|_|_|_|_|_|i:|_|_|_|_|_|_||i:i:i:||　　　　　　　 |i:i| _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|∠___＿∠_ 　 :|:|: :| |: : |_|_|_|_|_|_|_|_|_|i:|_|_|_|_|_|_||i:i:i:||＿＿＿＿___,|i:i|＿＿＿＿＿＿＿＿＿ _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|`ァァ…ァ/ニﾆ|:|=:| |==|────‐ |i:|ー─ｰｰ:|i:i:i:||────ー:|i:i|─__─ ＜ﾆ＞ ─── _|_|i:|,ｨﾆx|_|i:||i:|,ｨ{￣||x=x　　__|:|: :| |: : |　　　　　　　|i:|　　　 　 |i:i:i:||　　　　　　　 |i:i| ﾊ¨¨',..|ゞ==="| _|_|i:|{:::{__}_|i:||i:|_||_　 |ゝ-ﾞ|￣::,ｨ㌻|_|:_:_|¨¨¨¨¨¨¨¨___,¨¨¨___¨¨¨|i:i:i:|¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨{　)'^'} |ゞ==="|¨¨¨¨¨¨ _|_|i:|≧≦｡o≦i:i:ｉ|∠LLL|,.ィ㌻/|ｉ|ﾏ-_-_ｱ77777ﾉ｀¨´∨｀´∨7|i:i:i:|ﾆ＞─＜二＞_　ゝ--'　≧==≦　:,　:,　:, ｡o≦「i:i:i:i:||i:i:i:i:i:i:|::|＿,,..⊥|_/////≧≦/////人::::::::人::::::人/|i:i:i:|=≦///≧==|＼￣￣￣￣￣ ＼:,　:,　:, i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:jI斗r≦)))-‐=ﾆ二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ|＼|￣￣￣￣￣￣|二二二 i:i:i:i:,.｡o≦㍉＞''YYﾞ二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二＼ |￣￣￣￣￣￣|二二二 i:i:i:(_)＞'Ｙﾉﾉ　_ノ 乂_　　　　　 　 　 ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣/￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ i:i:i:＞┴┴＼ー─‐‐ヽ　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 / '"　　￣￣￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ /　　 ヽ///､:　:ヽ ヽ: : : :|: /:／: : : - ﾍ'´￣　　 ／: : : : : : : : : : :＼_ 　　　　ヽ///､:　:ヽ ヽ: : |:/-'´ -- ､ 　 ヽ 　 ／: : : : : : : : : : : : : :／: 　　　　　 !///i:　: :!　 |: :!,' ヾ三＝rミﾐ､_ メ: : : : : : : : : : : : : : , -!: : : 　　　　　 |///i! :　:.!　.|: ﾘ　 !i{ ﾊ_ﾉﾊ。,ｲヽ､ヽ: : : : : : : : : :／:::::,: : : : 　　　　　　!///!:　: !　 |:!　　 | |　|,うｲ: |: : ヾﾐ､: : : :,: - '´:::::::::::/: : : : 　　　　　　|///.! :　:|　 |:!　　　 V:': ﾉ: /: : : :ヽ: X´::::::::::::::::::::::/: : : :/ 　　　　　　|///.|:　: |　 |:!　　 /: ゝ､:ノ: : :.- '´＼ ｀ー--:::::::::/:_:_: :/ 　　　　　 ////,':　:,'　 ,!: :|　/: : : :,. -'´｀:::::::::::::::::::::::::::,ィoTヾ: : : / ､＿＿__ノ////:　:/　 /i: :V: :.／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{じ/ /ノ: :/ ､:､======-':　: /　 /: |!:/イ´　　　　　　　　　　　　　ﾄ</: : :／ ..ヽ: :.ヾ-_ー― '　ノ: : :! .!: |　　　　　　　　　　　　　　,Y: :,.ｨ' 　 ＼: : : : ｀ヾ:､: : : : : |　 |:!　　　　　　　　　　　　 ／: ／.':! ヽ　　＼: : : : : : : :ヽ:､:|　 |:|　　　　　　　　　　　／:／　/: :| .
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　ｒＣ　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,L_ノ.!　八､　||　|=========i´￣｀〈 　 　〉,ﾘ (__｀ソ　ｸﾞﾂ　　 　 (⌒ヽｏ 　 　 　 　　　　　　　 cへλっ 　　　　　　,へ 　 　 ゝ__ノ　{　 i}　||　|＃;＃＃＃ﾉ､＿.ノ.V___/ゞ=o<{ 　 Y　 　　　ｸﾞﾂ 　 (⌒(_)　　　　　　　　　　　 どー≧< 　 　　　　.,<／ 　　＿ |　　　 ー''　.||　|二三三二＿＿＿＿＿＿＿ ..《ｒ―[]――[]―ｭ》.,ｿノ　　　　　　　　　　　　　し'⌒,γ´｀ヽ　..／　>　　 「--」=======.　 ||　|＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ 　|￣￣￣￣￣￣|　 　＿[]__[]＿ 　 　 　 　　　ﾚ}≧＝=====＝≦{　　　＿ｒｭ＿ｒｭ＿　　　||　|,　--　―― 　､_,ィ≦ξ 　| : ::::::::::::::::::::::::　|...　[二二二二] 　　　　　　　　ゞ＃＃＃＃＃メ　　／゛＝=====＝'＼　||　|､＿＿,.－、＿ﾉ=＜≧ξ＿_ 　ゝ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ＿__]＿＿＿__[_二i'三三三三三三ﾖ二二二二≦///////////////∧||　|＿＿（'＿;;）＿＿＿＿＿＿_ ／ﾆﾆ二二二二=======ニニﾆﾆﾆヽ__I＿＿I＿＿I＿＿I＿＿I＿＿|////////////////i||　|＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ 　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　ヽ.＿I＿＿I＿＿I＿＿I＿＿I__|,////////////////||　|＿　　　　　　　　　　 __rｭ__ 　 　＿＿　　　 　 　　　　＿＿ 　 　 　 |＿＿I＿＿I＿＿I＿＿I＿__.| /////////////// ||　|三/_）へO/）＼ri　ｒ'＝==＝i γ´Ｊ火ｨ ｀ヽ 　 　 　 γ　　　　.ヽ　　　|＿I＿＿I＿＿I＿＿I＿＿I_.l ∨へ､_メゝ_ノ＾し/　.||　|＞△ム'A).＼､､＼.l;;;;;;;;;;;;;;;;;| i　　ゞしソ. 　|＿＿＿_|　　　 　 　.|＿＿|＿＿I＿＿I＿＿I＿＿I＿__|　.ゝ.＿＿＿＿_ノ＼ ||　|へ（＠）（ヽ/> ＼ﾞ､,>＿＿_ノ 　　　　　　.　´:. :. :.｀ヽ　. 　 -‐…─-　. 　　　　 ／　⌒ ＞:. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :.｀ヽ 　　　　　　. :´. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :｀ヽ:. :. :. :. :. 　　　　 ／:. ／:. ／. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. 　　 　.: 　イ. :. /:. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :＼ :. :. :. :. :. : :. .　 　/／/:. :. /:. :. :. i. :. :. :. |. :.ヽ :. :. :.ヽ:. ヽ. :. :. :.} 　　/′ .:. :. :ｉ :. :. :_/!_:. :. : :-:‐:‐:￢:丁ｉ|:. :. | :. :. :.: .　 　 　 |:. : :. :. :. :. {从:. :. :. !r乞云な刈. ﾄ､:. :. :. :.ｉ　　　翼さまは、灯りもつけずに、 .　 　 　 i:. :. ,仆.: :. 《≧ヾ:. :.|　 ｖ:し':ﾘ/:. .|　ｉ:. .:. :. !　　　何をされているんでしょうか…… 　　　 　 ::. / |', |:. ∧ゞｉj} ＼!　 ゞｰ '/:. :. レ' :. :. :. : 　　　　　!/　从:!', :. ｉ `´ 、 　 　 　 仆: /:. :. :. :. :ﾄ. ', 　　　　　′ 　ヾ 从.ゝ　　 。 　 　 ノ:. ∧:.ヾ !',:. :| ｀ヾ 　　　　　　　　 　 八:|:.:＞　_　＜ :从:/＞｀ヾｌ ＼! 　　　　　 　 　 　 　 ヾ, ィ＜7辷ｊニ／ニニ≧ 、 　　　 　 　 　 　 　 ∠7ニ/⌒ｰ／ニ:＞ ´二二＼ 　　　　　　　　　∠ニ{- /^ ^／┌/´ニニニニニ∧ 　　　　　　 　 〈ニニ圦/ ／ニノ/ニニニニニニニ＼ 　　　　　　　　√:::::｀冂 ―＜=7=ニ二二二∩二ニニ', .　　　 　 　 　 〉:::::::::只:::::::::::::〈≡≡≡ミ＼ ∪／≡== 〉 　　　　 　 ／/::::::／ニゝ::::::::::::〉二二二 ＼ 二／ニニ7 . 　 　 　 〈:::::ヽ／/ニ /::::＼::/弋:ニ二二二二二ニ／ 　 　 　 　 ＼::::∠ニ/／ニ ｀'ニニＹｰ－==三イ〈＜ .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　万右衛門はこたえず、 　　　野菜をたっぷり入れた味噌汁をつくっている。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　　　　　　　 l､ 　　　　　　　　　　　　　　 |-', 　　　　　　　　　　　　　　 ゝ/＼ 　　　　　　　 lヽ､　　　　　　ヽニ∧　　　　　　　　　,ﾆ二}-　　_,.. -　 ､ 　　　　　　　 |　､＼ /l ､　l ヽl二/,}　　　　　　 ,..イ:::::://　 　 t tﾆ=- } _ 　 　 　 　 _ !　 ,`-―--' ､ l､!ﾓ//!　　　 ,...::´::::{ｰ::://-､ 　　{ニ二_ l ､彡ヽ　　　 l ヽ/:.:.:.:.:.ﾄヽ､:.:./l ﾄ､//　　／::::::::::::/{_://　　| 　　}-ﾆ ｨ　} 　,/ﾆﾞ､　　l｀ヽ/:.:.:.:.:./l {´,.ヾ' /!//　／::::::::::::::/,-､ヽ　　　l_　　 {　/　 i 　 ､//ヽ､　､ ｀ヽ､_ﾄｰ ' l {./ﾞ，_l!/／／!:::::::::::::l ゝ､＿＿＿__}､　' ､　 / 　 ゝ/＼/｀¨＼､＼ ＿＿.ゞｿｨ ﾄ､:::ヽ／!ﾆ':::／／　　　　　 /l　ヽ 　/､ 　　　＼//-/l//-､l ､/ｫｪｨ' ,_ヽ!､㍉､／l::::/ /　　　　　　／/!　　∨ | 　　　　 ｀ヽ､///＼ζ㍉､ /_ノ;l､ミヾ､＼l- '　　　　　　 /　 l　､　　､　', 　　　　　　＿,..r､:::´｀¨'ミﾄヾ､'､ヽ､l', ､ヾ､＼ 　 　 　 ー '　　 　 　　ヽ　l 　　,......:::::::::｀ヽ､／ヽ--ｧミ､',ヾ､､ ', l:cl＼＼＼　　　　　　　　　　　　 ,　l ::´::::::::::＿＿_::::::｀ヽ､／＼',ヾ､ゞ､ヾ､!:/､:.｀ヾ､. ＼　　　　　　l 　 　 　 ､.! :::::::::::/,-　,-_二二ニﾆ彡/ヽ＼ヽ ､:::/:.:.:.:.:.:.:.:＼　＼　　　　 '　　　　　 ＼ 二二_/　　　　 ／　r-､　＼/､ヾ､＼:.:.:.:.:.:.:.:.:./ |｀ヽ､＼　＿,.........-―― '´ 　/　　　　　 ／　／ ､　＼-＼:ﾞ､ ヾ ､:.:.:.:.:.／l　!　　 ｀ ＼　　 　 　 | ,/ 　 　 　 ／　／　　　､ 　 ヽ ヽ:＼　＼,.ｲ　/　|　　　　　＼　　　　| 　　l　 　 /　／　　　　　ﾞ:､　　ヽ､＿＼ノ　 / 　 ! ',　　　 　 　 　 　 | ,./ /　 ／ -_―― --　､　_ｿ　 　 　 　 　 /　　　　　　　 　 　 　 　 | /l l .／　　　｀ｰ､＿ 　 　 　 　 　 　 　 　 {　　　　　 ､　　　 　 　 　 | {_!／　　　　 　　　 　 ￣T　　　　　　　　ﾉ　　　　　　 ',　　　　　　　| ,/　　　　　 /　　　　,. イ´　　　　　　 ／　　　 　 　 　 |　　 　 　 　 | .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　「このような女、抱く気もせぬ」の一言を翼に浴びせ、 　　　引き上げていった永井やる夫のことを、 　　　万右衛門はシュテルから聞き取った。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　ｒ'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'ヽ 　（　　　　　　　 　 ＿＿＿_ 　 　 　 　 　 　 　 ） 　　）　　　　　　 ／　　 　 　＼　　　 　 　 　 .（ 　（　　　　　　／　─　 　 ─　＼　　　　 　 　 .） 　　）　　　 ／ 　 （●） 　（●） 　＼　　 　 　 （ 　（　　.　　|　 　 　 （__人__）　　 　 |　　　 　 　 ） 　　）　　　 ＼　　　　 　 　 　 　 ,／　　　　　 （ 　（　　　　　　i　　　　 ー´　　　ヽ　　　　　　　 ） 　　）　　　 　 { 　 　 　 　 　 　 　 ヽ　　 　 　 （ 　（　　　 　 　 〉　　　　　 ヾ　　　　ヽ　　 　 　 .）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ┼､ヽ 　　）　　　　　i　　　　　　　 ＼　　　ヽ 　 　 . （　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ､ﾉ 　 丶～'⌒'〇'⌒'～⌒'～'⌒'～'⌒'～'⌒'～'´ﾞ|:|: : : : : : : : : : : : : : : : ＼.　 　 　 　 l 　　　　　　　 Ｏ.　　　 　 　 /: : : : : : : :/: : :/　　:|: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ.　　　　 {__ﾉ　　　　　_ノ 　　　　　　　　　 o 　 　 　 ': : : : : : : :/: : :/＿__|:|: : : : : : : : |: : : : : : : : : : : :　　　 　 　 　 　 　 　 ＼ 　　　　　　　　　　　ﾟ. 　 　 : : : : : : :./: : :/x=ミk :|: : : : : : : : |: : : : : : : : : : : : :...　　　┼､ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　|: : : : : :/ｲ: : |ん/　从: : : : : : : : |ｉ: : : : : : : : : : : : :.ｉ　　　ﾉ､ﾉ.　　　 　 ┼､ヽ 　　　　 　 　 　 　 　 　 　 j|: : : : : _ ﾉ : :.!し　 '　　ヽ: : : : : : ||: : : : : : : : : : : : :.|　　　　　　　　　　 ﾉ､ﾉ 　　　　　　　　 　 　 　 　 八: : :.∨ 　 ∨　　　　　 人: : : : :从 : : : : : : : : : : : :..　　　l　ゝゝ 　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ､: :.ｉ　　　　　　　　／イ ＼: :./: : : :.|: : : |: : : : : :ｉ 　 　 {__ﾉ　　　　　_ノ 　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ∨|　O 　 　　　 '⌒　|: : : ∨: : : : :|: : : |: : : : : :|　　　　　　 　 　 　 ＼ 　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 | 　 　 　 　 　 　 ｨ:|ｉ: : : : :|: : : : |: : : |: : : : : :|.　 　 ┼､ヽゝゝ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `　　　　＿ ,,　　 |从: : : :.|: : : : |: : : |: : : : : :| 　 　 ﾉ､ﾉ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ハ　 _ ／: : : : : : |: : : : |: : : |: : : : : :| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: 「ニニ/ ｲ: : : : : |: : : : |: : : | : : : : 人 　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ⌒ﾉ＜＿＼:|: : : :.:从 : : /|: : : | : : : / 　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＿ 　/__ニニ＼:|: : ／ニ }:./=|: : :人/∨ 　( ＼　　　　　　　　　　　　　 　 （＿ ／ニ=＼ニﾆ:／＼ニ,ﾉ'ニ |／ ---=彡 __　 　 　 　 　 　 　 　 ／:.:.:/ニニニ= ＼ニ=＼ ＼ニニニ＼ ニニ／ニﾆ＼　　　 　 　 　 ／:.:._ ノニニニニニ=: ニニ＼ ＼ニニニ＼ ﾆ,／ニニニニ=- ､　　　　く:.:./━━┓ニニニニ=| ニニニ＼ ＼ニ/￣ ＼ /ニニニニニニニ}　 　 　 　 |ニニ=┗━=ミニﾆ/っニニニ= ＼ ＼　 /￣ ニニニニニニ ／ ＼　　　　 |ニニニニニニ＼/ニニニニニニ,,＼　/ ニ ( ＼iニニﾆ|ニニﾆ =--r＜＼ニニニニニニ{ニニニニニ=----∨==-　_ ニﾆV彡ニニ=|ニニニ==/|ニニ ＼ニニニニ=人＼ニニニニニニニ≧=====-　_ ＼ニニニニﾆ,|ニニニ=/=|ニニニニ ／∨￣／' ＼＼ニニニニニニニニニニ,／) .
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＼　　 　 |　 ∧　　/ l∧　　 /　l,　　　l--:::l 　 ＼　　 |　　ヽヽ/　l　∧_ /　 l l　　/､｀:::::! ､　　 ＼ .l ,....:.:.:.:.:.:.:.:., - ､:.:＞､l　},／､＼:::/ ,.＼　 ヽr ´:.:.:.:.:.:.:.:.:./ , ´_l:.:.:l-'　/､ヽ ヽ::..γ´￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ 　　＼ 　ヽ､_∧､:.:.:.:{ / r-ミ/　 /､ ヽ:::／　|　本当に、　　　　　　 　 | ┬┬┬ ､＼ー`-､ミ|{/ ,-､ﾐ!　/､/,_／......　|　そう言ったのか？　　 | . !　!　|　.l＼.＼　　　∨{rｫ|}／　l/　　　 　 ゝ＿＿＿＿＿＿＿＿__,ノ :::::::::::::{´｀ヽ､::} l`ー二∨!_ﾉrｪｧl∧　　　　　　　　 l　_､彡､ゝノ''´　 ／　　 ＿ ￣￣｀ヽ }｀ヽ､ゞ /ー=ｪｨ　 }`ｰli| ', ､　　　　　 　 /　 {__, - '´ 　 ／ｨ＿／___　＼ 　　　li | i|､ヾ､_}i´|､　　, ｪ__ｿ､l il', i,ﾊ　　　　　　_l　　　　　 　 ／ /:::::::::::::::::/　 / 　　　| i| i! ヽ､_|i l|､,. { ｨ- ‐_´彡i ﾊ i∧-､_, - '´ {　　　　　　´ ／}::::::::::::::／　 /, _- ､_,|_i|_|＿lr-!i iﾊi lii ､ xl } ヽl| i l:::::::ヽ }-――,}　　　　　　 　 ソ::::::::／ 　／/ --ヽヽ､:::::::::＞|i |　､|　|　i　! l }i | ﾊ::::-'_ﾉ-ィ-／　　　　　　 ／ -､:／　 ／　/＼ ＿＿＼｀ヽ-ｨ:::li |　ﾊ!. i　|　i l | |i ,i }::/ /　 {'´　　　　 _,. イ:/ ,-､　ヽ ／　　/　　ヽ ＼　　　｀つ　）:|i |　 }! |　|　', |l i |　l/　 /　 |　　　　 /:: -'二/　/ ノ ::::::＼――下::::l､i ､i　ヽ　i　 i, l ／/　 　 　 |　　 　 /´／　　　 ´ 　　　　　　　 ＿＿＿＿_ 　　　　 　 ／-―-　: : : : ＼ 　　　　　　　　　　　　 ヽ: : : ヽ　　＿＿＿＿__ 　　　　　　　　　　 　 ＿}. :´: : : : : : : : : : : : : : :.｀: ､ .　　　　　 　 　 ／´: : : : : : : : : : : : : : : :＼ : : : : : : ＼ 　　　　　 　 ／: : : ／: : : :´ : : : : : : : : : : : : :. : : : : : : ヽ 　　 　 　 ／ ／: : : :/ : /: : : : : : :ｉ: : : : : : : : :. : : : ‐ ― ﾍ 　　　　 /: :.ｲ : /: :./ : /:. :.i:. :. :. :.|: : : : : :＼:.ﾊ : : : : ｉ : : : ' 　　 　 /／/: :/:.:.:.′:.ｉ : : i| : : : : |: : :ｉ: :. :. :.ヾ:|:. :.: :.:|: : : : :| .　　　/　 / : :ｉ: : :.|:. .:.|:. :.ハ: : : : ﾄ､: :ヽ: ＼:. :.|:. :.: :.:|: : : :. | .　　　 　 ′:ｲ: :. :.|:. .:.|! /＿_､: : :ﾊ_＼_:ト : ヽ |:. :.: :.:| : ｉ : ::! 　　　 　 |: / |:.:.ｉ: :|:. :.:ﾊ′　　＼ ∧　 ヾ　　ヽ|: : : : :! /: :i: | 　　　 　 |/ . l : |: :|:. :.|ｘテ云:::::::::＼ 才示卞ｱ:! : : : : /Ｙ:.l! {　 　 ええ、確かに。 　　　 　 {'　 ﾊ: |l八: :.! 弋:rﾀ::::::::::::::::弋:_r夕　| : : /ｲ　}: :|::| 　　　　　　 　 }ハ: i:小　　　　,　　 　 　 　 　 ｲ:.:.:/: :!イ: : : {　 　 あれでは、翼さまが怒るのも無理はないです。 　　　　　　　　　 |ハ: ﾊ　　　　　　　　　　　/ ｊ: :/: : :| :.ｉ: : 八 　　　　　　　　　　　l:i : :..　　 　 ヘ　　　 　 .ｲ: /ｉ: ｲｿ: : : ::{ 　　　 　 　 　 　 　 从 ｉ: :.＞.､　　 　 　 ＜ / ｲ:ﾊ{/|＼: ∧! .　　　　　　　 　 　 　 ＼: : : : : :ｰ＜　　　 /'　＜￣:.　}/ 　　　　 　 　 　 　 　 　 ヾ:{Ｖ＼|＼}ﾊ　　 ／:. :. :. :. : ＼ 　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ノ}　／ :. :. :. :. :. :. :. :＼ 　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／:. :イ:. :. :. :. ´ ￣￣ ｀:. :.ヽ 　┏━━━━━━━━━━━━┓ 　　　シュテルは憤慨したが、 　　　万右衛門は平静である。 　┗━━━━━━━━━━━━┛ .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　二人が夕餉の仕度をととのえ終ったとき、 　　　翼の足音が近づいて来て、 　　　戸障子の外から―― 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣||____＿＿＿＿____|||____＿＿＿＿____||￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |￣￣￣￣￣|　|||　|￣￣￣￣￣| || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | ||　 γ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | || 　 |　シュテル。　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | || 　 |　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 | 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 ★| || 　 |　夕餉の膳を持ってまいれ。.　 　 | 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |[l.|||.l]|　 　 　 　 　 | || 　 ゝ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,ノ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |＿＿＿＿＿|　|||　|＿＿＿＿＿| || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ||┌┬┬┬┬┐. ||| .┌┬┬┬┬┐|| 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ||├┼┼┼┼┤. ||| .├┼┼┼┼┤|| ＿＿＿＿＿＿＿＿＿||└┴┴┴┴┘. ||| .└┴┴┴┴┘||＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ 　　　　　　　　　　　＿＿　　　 , .-―-. ､ 　　　　　　　　　': : : : : : : : : ｀Ｙ　＜￣￣｀ヽ 　　　 　 　 ／: : : ／: : : : : : : : : : : ＼ 　　　　　 /: : : : /: : : : : : : : : : : : : : : :｀､ 　　 　 　 ': : : : /: : : : : : : : : : : : : : :＼: : . 　　 　 　 |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| |＼| 　　 　 　 |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ﾚ' 　}　　　はい。 　　 　 　 |: : : : : : : :ｌ: : : : : : : : : : : : :| 　　 　 　 }i: : ::ｉ : : : |: : : : : :ｌ : : : : : : | 　　　　　八: : i|: : : :|: : : : : :!: : : ::i|: :ﾊ .　　　　/.　ヾ{∨＼ |ﾊ{＼: :Ⅳ＼/ﾚ′ 　　　　　　　／　￣｀　　 ヽ'￣＼ 　　　　　　∧∧∧∧∧∧∧∧∧ 　　　　　 ,':..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..', 　　 　 　 |:..:..|:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:|:..:.| .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　シュテルが、夕餉の膳を運んで行くと、 　　　翼はどうやら着替えをすませたのか、袴をつけている。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ T_|i:||=-=ﾆ弌ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|二ニﾆ=|ｉ:廴＿|:|｀`'|lー|─ーーー─|i:|─ーー‐|i:i:i:||────ー:|i:i|───────── _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|　l≡l　 |i:|¨ﾞ　''|:lニﾆ=-|ｪｪｪｪｪｪｪzzz|i:|zzｪｪｪｪｪ|i:i:i:||ｪｪｪｪzｪzzzzz|i:i|zzzzzzzzzzzzzzzzzzzz _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|ニアニニア　 :|:|¨:| |￣|_|_|_|_|_|_|_|_|_|i:|_|_|_|_|_|_||i:i:i:||　　　　　　　 |i:i| _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|∠___＿∠_ 　 :|:|: :| |: : |_|_|_|_|_|_|_|_|_|i:|_|_|_|_|_|_||i:i:i:||＿＿＿＿___,|i:i|＿＿＿＿＿＿＿＿＿ _|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|`ァァ…ァ/ニﾆ|:|=:| |==|────‐ |i:|ー─ｰｰ:|i:i:i:||────ー:|i:i|─__─ ＜ﾆ＞ ─── _|_|i:|,ｨﾆx|_|i:||i:|,ｨ{￣||x=x　　__|:|: :| |: : |　　　　　　　|i:|　　　 　 |i:i:i:||　　　　　　　 |i:i| ﾊ¨¨',..|ゞ==="| _|_|i:|{:::{__}_|i:||i:|_||_　 |ゝ-ﾞ|￣::,ｨ㌻|_|:_:_|¨¨¨¨¨¨¨¨___,¨¨¨___¨¨¨|i:i:i:|¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨{　)'^'} |ゞ==="|¨¨¨¨¨¨ _|_|i:|≧≦｡o≦i:i:ｉ|∠LLL|,.ィ㌻/|ｉ|ﾏ-_-_ｱ77777ﾉ｀¨´∨｀´∨7|i:i:i:|ﾆ＞─＜二＞_　ゝ--'　≧==≦　:,　:,　:, ｡o≦「i:i:i:i:||i:i:i:i:i:i:|::|＿,,..⊥|_/////≧≦/////人::::::::人::::::人/|i:i:i:|=≦///≧==|＼￣￣￣￣￣ ＼:,　:,　:, i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:jI斗r≦)))-‐=ﾆ二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ|＼|￣￣￣￣￣￣|二二二 i:i:i:i:,.｡o≦㍉＞''YYﾞ二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二＼ |￣￣￣￣￣￣|二二二 i:i:i:(_)＞'Ｙﾉﾉ　_ノ 乂_　　　　　 　 　 ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣/￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ i:i:i:＞┴┴＼ー─‐‐ヽ　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 / '"　　￣￣￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┓ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏┛ .　　　　　 -≠ =.／. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ　 ・ 　　 ／: : : ／.. : : :/ : : : ／l : : : : : : : : : : : : : : : .　　レ'⌒7. : : : : /. : : / 　 |: : : :.:.i、: : : : : : : : : : 　　　　 /: :/: : : :i: : : : !/_ _:!.i. :: : :| X:⌒ ヽ: : : : : i .　　　 /: :/. : : : :|: : ｨ´!　　 !:ﾄ、: :.|　 ＼jヽij: : : :!:.| 　　　 ｌ: :/ |: : : :i:|: : :|N _ __从N＼j芹 竿≠}::i: :ﾘ}:| 　　　 ﾚ'　 |. : : 从: : | ｆ〒ﾃ|　　　　 |r' :ﾘ　ｲ:ﾘ.ｲﾙ{　　　翼さま、どこかへ出かけられるのですか？ .　　　　　 从: : l:人: j　 匕ｿ　　　 　 ー′ ﾑ!: :|: :.| 　　　　　　 人: N: : :ﾊ 　　　　　'　　　　　　ﾘ: : !: :.| 　　　　　　 　 ＼|: :.i:∧.　　 　 ＿　　　　 ｲ: : :ﾘ: :.| 　　　　　　 　 　 |: :.|: : ト.　　 　 　 　 イ .: l: : /!:.从 　　　　　　　　　从N: : !:: ::::≧r て　 {.:!:::: j: /:ﾙ' 　 　 　 　 　 　 　 　 厶イ＾7 _＿　 ＿ﾏﾍ‐- 　 　 　 　 　 　 /´ 　　7　/＿__________ 〉ﾍ　　厂＼ 　　　　　　　　/ 　 　 /二二二二二二二Ⅵ/}　 　 { 　　　　　　　 ′　 　 ｒー――<⌒ff⌒>―一く}　 　{ 　　　 　 　 /　　　　/　　 　 　<ﾏ＾ﾏ>　 　 　 iV　　| .　　 　 　 / 　 　 ∨　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ｝　八 .　　 　 　 　 　 、 ｛　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /′'　 } .　　　 　 i 　 　 ＼j..┌──┐　　　　　 　 　 }／　　' .　　　 　 |　　　　 八.|.三 三 l...,.-､.ﾞ,.-､ﾞ,.-､　｛　　　 _{ 　　　　　j　'＾7⌒ｱ..ﾞ_Lく>ヒﾚ1(■,ﾞ(■ﾞ(■,,)..ﾞ=rｰ'く　ヾ, .　　　　 { 　ｆ( ＾.....r‐──────────_ｧ....) ヽ, }} 　　　　 　 、f〉 二ﾞヽ二二二二二二二二二ア′..._　/〃 　　　　　　 ｰ＾ｰ ' r|i　　　 　 　 　 　 }　{　　 　 |^ｰ=彡′ .
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　　| : : : : : : : |: :/ : : : :./　| : : : : : : : : :/: :/　　　　　　ヽ: :ヽ : : : : : : : : :| :ﾊ三 　　|: : : : : : : :ﾄ/､: : : :/　　| : : : : : : : :/: :/　　　　　　　　ヽ: :!: : :_: :-: : :.|: :/:入 　　|: : : : : : : :ﾘ: :＼:/　　　|: : : : : : : :/: /　　　　　　　　　,メ: '´: : : : : : : !:／ 　　|: :i : : : : : /: :＞=ミ､､　|: :| : : : : /:./　　　　　　 ,. =-_==-､ : : : : : : :./　　 , 　　|:i:.|: : : : :/: :<i/　 {_)ﾊミ､:!_: : : :/:/　　　　　 ,.ィ=Tﾊ'´ヽ ヾﾐ､: : : : :./　　 / 　　|:l:.! : : : :!: : ハ　　| |iiiiic}＼:｀ : :/　　 ヽ-'´// ﾄｨiiiiiio l|　　}ｲ : : : /　　 /　 　 　 万右衛門は戻っていような？ 　　| !:| : : : :!:/{　 ｀　 ! Viiﾘ |:!: : : /　　　　　 '　　!　iiiiiiﾘV　　/:! : : /　　 /　　/　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　　　 はい ＞ 　　! |:.| : : :.|/:|i､　　　弋_ソ !: : :./　　　　　　　　　弋_ソ_　　/: :!: /　　 /　　/三　　ならばよし。 　　ヽ!:|: : : : : :.|li　　　　 　　 !: : |　　　　　　　　　　　　　　/: : :V　 　 /　　/三 　　 ,} ヾ: : : : : | li､　　　　　　､: :| ,.　　　　　　　　　 　　　/:./: :/　　 /　　 /三/ 　　/:ヽ|: : : :.i: :| | ､ 　　　 　　ヽ:!　!　　　　　　　　　　　/:/i: : /　　/　 　 /三/ 　 /: :/: !: : : |l: | ! ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:/ /: :/　　/　　 /三/ / , /: :/: : .|: : :.ト!:| ヽ i＼　　　　　　 r-- ､　　　　　　 / イ/: : :|　　|　　 /三/,ｲ ./: :/: : -!! : :|´!:|｀ー'　 ｀ヽ　　　　 ｀ ー '　　　　　 ／　|/: : :.!＿ L,.r-r: : : / /: - '´　　　ヽ: :|　ヾ　　　　　 ｀ヽ､　　　　　　　　／　　 //: : /: : /|: :!: : :l : / /: : 　　　　　　　_/: ／: : : : :./: : : :,: : :ヽ:ヾ!:i::::}ii､: : : ヽ: : : : :｀:ヽ.､ 　　　　　　 |ﾐ|/: : : : :/:,ｨ: : : : .ﾊ: : : : : ト:::::}ii|:ヽ: : : :ヽ:: : ｀ヽ: : :｀ヽ 　　　　　　 V:/: :/: ／ ,: : : :/ 　 !::!: :!:|iii}:_:!ii|:::::ヽ: : : :ヾ::.. : : ＼: : : 　　　　　　/:, !: /､/　 ,: : : / 　　 !:!: !: ﾄミﾐ!ﾘ::::ノ: ヽ: : : ヾ::: : : : ヾ: 　　　　　 ﾊ. ! V:/,､ヽ､: : :/　 _,.ィヽ: ﾘ /:.}ii/,イ:::ヽ:::ヽ: : :..!＼: : : : 　 　 　 私は今夜、倉田先生の道場へまいり、 　　　　　 !ﾐ...! }:.{　　炒:./　　 小ﾘ ﾉ,!:|　/./;;//: : : :､ : : : :.､　 ヽ: : : 　　　　　　ヾヽ!:.ヽ　　'　 i　　 ｀´ /: ﾘ/../;;//::､: : : :ヽ.: : : : ヽ　　ヽ: :　　　他の門人たちと共に、 　　　　　　　 Tiヾ:ﾄ､　　　　 rー<:://ノ-/:!::::::::::､: : : :.ヽ : : : :ヽ　　ヾ.　 　 先生のおはなしをうかがうことになっている。 　　　　　　　　ﾘ, -+＼ ´　　|　　　　 |,/､: :!:::::::::::､: : : : :.､: : : : :ヽ 　　　　　 ＜´　　　　　 ヽ- '| ,. - ―- <: : :!:::::::::::::､: : : : :､: : : : : ヽ　　　　そのように万右衛門へ、伝えておくがよい。 　　　　　　　￣/:ヽ.､　　ﾄ ／　　　　　　ヽ: !::::::::::::::::､: : : : :､: : : : : :ヽ 　　　　　　 , -- <..「 _ >' -=三三i　　　　 !:.!::::::::::::::::::､: : : : ､: : : : : : 　　　　　 /　　 ,r三三=-:::::7 三/　　　　 |: !::::::::::::::::::::､: : : : : : : : ､: 　　　／:,:|　 ／-''´三三 !::/ 三L＿　　　!: :.!:::::::::::::::::::::::､: : : : :､: : 　 ／: :/: ﾚ三三三三三// 三 |三/　　 ,: : : !:::::::::::::::::::::::::､: : : :,／ 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　翼の声は、低いが厳しく、 　　　シュテルは叱りつけられているようで、首をすくめた。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |,}__,. -r={:::､: :＼ ｸ! 　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／: : :／ゝゝ::::､: : :｀<!_ 　　　　　　　　　　　　　　 　 /:,.イ:/:'ヽ:-､:ト::::ヽ: : :ヽ､:｀ヽ､ 　　　　　　　　　 　 　 　 　 /: : : : : : : ,: : : ゞﾐ､::ヽ: : : ＼: : :＼ 　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /:i: : :,/: : :/::!: : i: :|ミ}::::iヽ: : : :ヽ ､: :＼ 　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,/:ﾍ:/:/!: :/　　!: :,!: :}ミKii}::::>: ヽ: : ヽヽ: :! 　　　　　　 　 　 　 　 　 {i|ﾘ:ゝ､,!:/　　,≦: :,, 7ゝミ/ !::: :ヽ::: : ::! ヾ:!　　 　 給仕はよい。 　　　　　 rVミ､_　　 　　 !i..{:､{iり 　　ｲﾂﾉi:./ /..//} /:::!: :ハ::: :|　　　　　　母屋へ行くがよい。 .　　　　r==ミミil}　　　　　　 |:ゝ　'　　_,.ィ::::|_,|...ﾚ-':::::/:ﾘ:ヽ |:::/　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 はい ＞ 　　 　 (=ミミミﾐ|　　　　　　__!:|＼ ‐-　,}｀二二,/::::!::::ﾊ:::::|: :!/:ヽ､ 　　 　 　 ヾiﾄ　 {　　　 　 　 ＼__≧≦三7　　 ヾ::::!:::{: :ヾ:､: : : : : :｀:ヽ､ 　　　　　 　 | Vヽ　　　　　　 ,／====,ミ/　　　　!::::!:: : : :ヾ:､: : : : : : : : :｀ヽ､ 　　　　　 　 |.　　ヽ　　　,／三三三/三L__,　　　!::::::::ヾ: : :ヾ: : :＼: : : : : : : :＼ 　　　　　 　 |　　　ヽ_,／三三三ﾆノ三/ﾂ　　　/:::::!::::::::::ヽ:＼: : : : :＼ヾ: : : : : :ヽ 　　　　　 　 |　 ,. -==,ミﾐ／ﾆ三三イ<　　　　 /:::::::|!::::::::::::::::::::＼:_:_,. --　￣￣ 　　　　　 　 |VミｸL/==//ﾐイﾊ}_ イ......＼　_ /　｀ -' ゝ------'´ ｀ 　　　　 　 ,./　)ミミﾐ,／　　 /Vﾐ| /ﾐヽ........../ 　　 　 　 (_(／ー '´　　　　/ミ //ミミﾐ＼/＿　　　　／.!　　　　　　　　　 _,,. 　　　　　　　　　　　 　 　 ,.!ミﾐ| |ミミミミ/　 ﾉ　 ....イ.......|　　　　　 _ ,.　'´　/ 　　　　　　　　　　　 　 ／,.}ミﾐリミミミミ}ニ´,イ　　r}.......|___ ,... ィ´　　　 _/ 　　　　　　　　 　 　 ／　 ヾミ}ミミミミミミ､　　!　　!i}....../　　　 /　　　 // 　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　　 ／: : :./: : : : : : :_:_≧=‐‐､:.:.:＼　〈 {: : : :.:.| 　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 /: : : :./: : : : :／: : : : : : : : :≧=‐‐=〈}: : : : :| 　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　 ,f: : : :./: : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : :/^}: : : :| 　　　　　　　　　 　 　 　 　 ノ　ィi〔: {:rzz〈: : ／: : : : : : : : : : : : :,: : : : : : : : }: : :.:| 　　　　　　　　　　　　 ィi〔: : : : : : :.///⌒ﾏ￣{: : : :r＼――　 /: : : : /}: : :.!: : : | 　　　　　 　 　 　 ィi〔 : : : : : _:_:_:_:{//　 　 }/} }／{ r笊ミ､　　/: : : : :/｜: : }: : : | 　　　　　　　 ／: : : : : : : : :.{―― {/　　　 }/{ { }: ,　乂ｼ {ヽ ,: : : :／　 {: : /: : :.:| 　　　　 ‐=: : : : : : : : : : : : :∧　 　 乂＿_ノ/// {: }　　　 　 /: :,x云‐ /ﾊ:/ {: :.:.:.|　　　あ、待て。 ‐=≦: : : : : : :: : : : : : : : : : : ∧　　　ゝ‐=≦_/ /: :|　 　 　 /／ 乂ﾉ〉/　/　{: : :.:}　　　　　　　　　　　　　　　　　はい？ ＞ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :∧　　∧≧==≦: :.:.|　　　 　　 '　　 ,:.l　　 　 ): :./ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :∧ 　 ∧ ィi〔　/ヽ:}　　 v　 ｭ　　 ,: : |　　　/ : / : : : : : : : : : : : : : : : : : :＞''´⌒^　＼　∧　　 〈､　 ＼　　 　 　 イ: :.:|　　 /: :/ : : : : : : : : : : __: : : : : /　　　　　　　 ＼　＼　 {/ヽ　　r ‐=≦　ヽ:.:.:.} 　 ,: :./ : : : : : : : : ://∧: : :./　　　　　　　　　ﾏ＼ /　∨/} / 　 ＞''´/　 }:/　　{: / : : : : : : : :////,ﾍ: /　　　　　　　　　　 ＼＼ ､　ﾏ}/　／: : : /　　/　 　 {/ : : : : : : ://////∧　　　　　　　　　　　　　] ﾊ ヽ　 イ､: : :.:/　　　　 　 / : : : : : :////////∧　　　　　_　　　　　　／:.f　 辷t }] ＼/ : : : :.:.//////////∧　／:::::::}　ヽ　　／／^　 {:.:.:.:.ゝ＼ヽ＼ : : : ://///////////}/::::::::::/　　 ∨　　　　　 }:.:.ヽ:.:.:.:.:∨.　　ヽ : : ://////////////:::::::::::/　　 　 {　　　　　　}ヽ:.:.ヽ:.:.:.:≧s。　} .
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────────────────────────────────────────────────── /　　 ヽ///､:　:ヽ ヽ: : : :|: /:／: : : - ﾍ'´￣　　 ／: : : : : : : : : : :＼_ 　　　　ヽ///､:　:ヽ ヽ: : |:/-'´ -- ､ 　 ヽ 　 ／: : : : : : : : : : : : : :／: 　　　　　 !///i:　: :!　 |: :!,' ヾ三＝rミﾐ､_ メ: : : : : : : : : : : : : : , -!: : : 　　　　　 |///i! :　:.!　.|: ﾘ　 !i{ ﾊ_ﾉﾊ。,ｲヽ､ヽ: : : : : : : : : :／:::::,: : : : 　　　　　　!///!:　: !　 |:!　　 | |　|,うｲ: |: : ヾﾐ､: : : :,: - '´:::::::::::/: : : : 　　　　　　|///.! :　:|　 |:!　　　 V:': ﾉ: /: : : :ヽ: X´::::::::::::::::::::::/: : : :/ 　　　　　　|///.|:　: |　 |:!　　 /: ゝ､:ノ: : :.- '´＼ ｀ー--:::::::::/:_:_: :/　　　　昼間のことを、 　　　　　 ////,':　:,'　 ,!: :|　/: : : :,. -'´｀:::::::::::::::::::::::::::,ィoTヾ: : : /.　　　　 お前はすべて見ていたか？ ､＿＿__ノ////:　:/　 /i: :V: :.／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{じ/ /ノ: :/ ､:､======-':　: /　 /: |!:/イ´　　　　　　　　　　　　　ﾄ</: : :／ ..ヽ: :.ヾ-_ー― '　ノ: : :! .!: |　　　　　　　　　　　　　　,Y: :,.ｨ' 　 ＼: : : : ｀ヾ:､: : : : : |　 |:!　　　　　　　　　　　　 ／: ／.':! ヽ　　＼: : : : : : : :ヽ:､:|　 |:|　　　　　　　　　　　／:／　/: :| ────────────────────────────────────────────────── 　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,　＜ニニ=- ､ 　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＜ : : : : : : : : : : : :＞.､　　　　　 ＿＿＿ 　 　 　 　 　 　 　 　 ／: : : : : : :／: : : : : : : : : : : ＼　 ／＞-‐ ￣ 　　　　　　　　　　　/: : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : :V: ／─‐ ､ .　　　　 　 　 　 　 /,:.:.:.:/ : /: : : ::／ : :／: : /: : : : : : : : : :‐‐､　_＼ .　　　 　 　 　 　 //:.:.: '　../: : : ／/::／ :／ /:/7: : : : :i : ﾍ : : ﾍ ヘ ､ 　　　 　 　 　 　 ':':.:.:. ｉ: r'ﾆi :／: :/≦==≦ ／.// i: :: ::i: : :ﾍ: : : ﾍ　 ヽ 　　　　　　_　　 ｉl:.:.:..:.l:入 .i: i/: :ｲ:｡::::::|　`／ //:/: :/: :i : : : iヽ: : i ..　　　　(（　　　i.:.:.:.:.:.i:.:.ゝ.|::|i::/入辷ﾉ　 　 ノ示: ::/ γ´￣￣￣￣￣｀ヽ 　　　　　　` 　 j从.:.:.:.:.!:|:..l::lN　　　　　　　/:ﾟ:ﾉイ/ :...|　いいえ…….　　| 　　　　　　　　/ハ.:.:.:.:.:i:|:..l::|　 し　　 　 ,　ヾ'./lノ::／.ゝ＿＿＿＿＿__,ノ 　 　 　 　 　 /:::::::ﾘV:.:.:i:|:..ヾ､.　　　　_　 　.イノl:::i. 　 　 ヽ 、 　　　　　　　|/りYヽ.从ﾘi.|｀.丶.>､　　　＜　　 .ﾉi:l.　　　 ノ ﾉ 　　　　　　　　　　　　　〉::｀丶..＜｀´f:::::｀i 　 　 　 　 ￣ 　　　　　　　　　　　／:::::_:::::::::｀ヽ< 二二| 　　　　　　　　　　/::::r:::::::::::ヽ::::、:::::ヽ、::::｀i 　　　 　 　 　 　 /´::::::::::::::::::::::::ヽ:::ヽ::::丶、| 　　　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、::ヽ::::::＼r‐‐‐‐i .　　　　　　　 /::::::::::::○::::::::::::::::::::::::ﾍ::::::::::::::ト、　　ｙ´/ 　　　　　　　/　丶、::::::::::: 　 ´　　｀　ヽ::::::::/　　　/、/ 　　　　　　/::::丶、　丶／　ｒ::´:::::::｀::ヽ|:::::::乂　　 .ゝ< 　　　　　 〈:::::::::::::丶、　／::::::::::::::::::::::::|:::::::::::|　　　| | 、 　　　　　　 ヽ、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ:::::::::::|　＿) 　 〉 　　　　　　　　＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＜:::::::::::::::::/::::::/i ´ 　　　　　　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::r ´、:::::::::::/::::::/::::｀i 　┏━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　シュテルは慌ててかぶりを振る。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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: : : : : : : : ｡s≦7777777777ヽ: : : /: : : : : : : :/: : : : : : : : :{: : : : : : : : : : :} : : : :｡s≦////////　　　 マ//ヽ/: : : : : : :.:./: : : : : :.＞''´|: : : : : : : : : : : : : {//////////,/　　　　　 ＼＼ヽ: : : : : : /:＼＞''´　　　|: : : : : : : : : : : ＜l/////////,/　　　　　　　　ﾏﾍ,ﾍ: : : :云芋ﾐ＼　　　　 }: : : : : : : /: : : : :.:.∧///////,/　　　　　　　　　∨ﾍﾊ: /　Ⅵ(__ ＼＼　　/: : : : : : :/: : : : : ≧=∨//////　　　　　　　 　 　 }/}:.:}〈　　 ﾏ)リ 　 ヽ　 ,: : : : : : :./: : : : : } 　 　 ∨////　　　　　　　　　　 ///: { }　　　｀ヽ　　 　 /: : : : :---: : : : :./ 　　 　 ﾏ//≧s。 ＿＿＿　｡s≦//:.://:.',　　　　　　　 ,: : : : /fぅヽ}: : :.:./　　　よいか。 　　　 　 ＼////////////＞''´:.:／ィ＼:',　　　　　　/: : :.／ ヽ} /, : : /.　　　 つまらぬことを万右衛門の耳に入れるのではない。 　　　 ＜: :.:＼///{二二二-＞''´＜: : : : ＼　　　　 /:.:.／　　　'｀ }: : / ､　　　　 ＼: : ≧=‐‐=≦￣￣ ≧s。: : : :} 　 　 　 /／　＿　　 　 ,: /　　　　　よいか、よいな。 : :..＜　　　 ＞｡.: ／　　　　　　　 　 　 ≧s。　　 　 　 f　　 ヽ　　 从　　　 _ : : : : :｀''＜　　　 ≧s。　　　　　　　　　　　　 ≧=‐‐=　　こ　'　　/　　ィi〔/∧ : : : : : : : :/ ｀''＜　　　 ≧s。　　　　　,　　　　　　　　　　ヽ　　 .　 ／/////,∧ : : : : : : :/　　　　　｀''＜　　　 ≧s ,　　　　　　　　　　　　　 ,／,／////////,∧ : : : : : :/　　　　　　　　　　 ≧=‐ /　　　　　　　　　　　　　　／///////////,∧ : : : : : :＼　　　　　　　　ィi〔　　 /　　　　 　 　 　 　 　 　 ／//////////////,∧ : : : : : : : :＼　　　.｡＜ 　　　　 f　　　　　　　　　　　　 ／//////////////////,} : : : : : : : : : :ヽ／　　　　　　 /:{　　　　　 　 　 　 　 ／////////////////////!| : : : : : : : : :.／　　　　 　 　 /::::,　　 　 　 　 　 　 ／//////////////////////!| 　　　　　　　　　 　 ―=ミ..､　＿ 　　　　　　　　_　-‐…‐`:. :. :ノ:. :. :. :. :. :` 　　　　　　　⌒フ:. :. :. :. :. :. :. :. :. ノ:. :. :. :. :.＼ 　　　　　　 _／:. :.／:～:. :. :.'⌒´:. :. :. :. :. :. :. : 　　　 　 ⌒７:. :. :. :. : ｉ :. ｉ:. :.:ｉ:. :. :. :. :. :. :. :. :. :. : 　　　　　　/:. /:.j|:. :.:.:| :. |:. :.:|:､:. :. ヽ:. : ｉ:. : ｉ:. ｉ:. : 　　　　　　ｉ:.:.:|:.八:.―|―|-:.:.|　＼―ｉ―|‐:. |:. |:. :ｉ 　　　　 　 j／|:. j|:＼:.|x==ミ:.| 　 x===ミ|i: : l ､|:. :| .　　　　　 　 人从: :.圦 v_ﾘ ヽ　　　V_ﾘ八: :|ノ:. :.,　　　はい。 　　　　　　　　 　 ヽ: : i 　 　 , 　 　 　 /:. :.:.:|i: :. /　　　　　　　　　　　　　　/￣￣￣￣￣￣ヽ 　　　　　　　　　 r―:込u. 　 　 　　⌒７:.／从:./　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　 よし、行け.　　| 　　　　　　　　　／-= ∨＞　＇` __彡イ-=ゝ―　_ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ＿＿＿＿＿＿/ 　　　　　　　 ／-=ニニニ/|,,う爪┘／-=ﾆ／-==-_ 　　　　　　　ｉ=-　　＿＿/_i|⌒⌒y-=ニ,／-=/⌒V=_ 　　　　　　　 -=ニニニ/ -l|^ ⌒/'-j|-/-=ニ乂_ノ-=-_ .　　　 　 　 　 -=ニニ/:.:|-l|-=／- 八{､｀ -=ﾆﾆニﾆ=-} 　　　　　 　 　 ＼-=７:. :.|-l|∨ヽ- | r=}≧=--------/ 　　　　　　　　 　 ﾄ八 : : Ⅵ ∧:. :-| |=ﾊ＼-=ニニニｲ 　　　　　　　　 　 |-= ＼:. :./ﾊ ヽ彡' =|-= ＼___彡　人 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　シュテルは台所へ戻り、 　　　万右衛門へ翼の言伝てを告げた。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　やがて両刀を帯した風鳴翼が離れ屋から出てきた。 　　　万右衛門は、 　　　昼間にシュテルが指であけた戸障子の覗き穴へ顔をつけた。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ヽ|ﾊ　|　　　,'　 ＿＿＿_＿ ）　!ｌ　! 　 　 ／　　 　 ／ 　/:ｌ　ｌ＿_∠ --──' ,.'::/／＿＿＞--──‐.､ ::::'─=─‐tｧ──=‐:::/ｌ|ヽ ::ｉ: :::`ミ三三三彡'::::::ｌ|!ｌ|i| ::|　: :::::::::....　　　　　/l|!ｌ|i| ::|　､:::::::::::::::::.. 　 .../l|ｌ|!ｌ|i| ::| 　 ):::::::::　 　 .:::/l!||ｌ|!ｌ|i| ::|.....::::::: ヽ　　　:/lｉ|!||ｌ|!ｌ|i| :::::::::::::::::::::ｉ　}. /|ｌ|ｉ|!||ｌ|!ｌ|i| :::::::::::::::::::,'　 ./! lｌ|ｉ|!||ｌ|!ｌ|i| ＝ = -　,　　ｌ　 |ｌ|ｉ|!||ｌ|!ｌ|i| :::::::::....　 　 /l　 |ｌ|ｉ|!||ｌ|!ｌ|i| ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣||____＿＿＿＿____|||____＿＿＿＿____||￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |￣￣￣￣￣|　|||　|￣￣￣￣￣| || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 　 | || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |　|||　|　 　 　 　 ★| || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |　 　 　 　 　 |[l.|||.l]|　 　 　 　 　 | || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 || |＿＿＿＿＿|　|||　|＿＿＿＿＿| || 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ||┌┬┬┬┬┐. ||| .┌┬┬┬┬┐|| 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ||├┼┼┼┼┤. ||| .├┼┼┼┼┤|| ＿＿＿＿＿＿＿＿＿||└┴┴┴┴┘. ||| .└┴┴┴┴┘||＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ .
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　　　　　　　　　　　　 　 　 　 φ 　　　　　　 　 　 　 ┌┐　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＿__,,=ｩ､ 　　　　　　　　 　 　 |　l￣￣/￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣　 　 〉只ゝ 　　 　 　 　 　 ～～～～～～～～＿＿＿＿＿＿＿＿_ ～;=;～～// 　　　　　　　 　 ~^^^^~~　^~　　　／;__,＿_,_:＿,_,_;＿_._,／i|　|ﾆ|ﾐ､_ノノ .　　　　　　:: . ...　　 　 　 　 　 ／._,.__,,__＿＿__＿_;,._／i|..　 ^~~::ﾞｰ'´ 　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／,,;_＿_;,. ,,__＿＿_.__／i| 　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／_;＿ ,,__＿_;,._＿_;,._／i| "''""'''"''''"''''''""""''""'''"　　　　　　　　　　 　 ""''""'''''"'''''"""'"''" 　　　　　　　∧__　　 　 _ 　　　 　 　 /:./ {＞‐＜}∧ 　　　 　 ィ: : {　/――ﾍ　}､　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　 　 / : : ∧ {: : ⌒: : } Ⅳ .　　　/.:..:./ﾏ}} }.: : : : : :.{ {7　　　　　　　　　　　　　　　 万右衛門宅から田圃道へ出た翼は、 　　 八: :/　/ ^.: : : :. :. :.ゝ{　　　　　　　　 　 　 　 　 　 堀割に面した舟着き場へあらわれた。 　　　　^　 / : : : : : : : : : ∧ 　　　　　 / : : : : : : : : : / ∧　　　　　　　　　　 　 　 　 今夜は例の小舟に乗って、何処かへ行くらしい。 .　 　 　 ,.: : : : : : : :. :. :. :./ ∧ 　　　　/.: : : :.l.: : : :. :. :.l: :/::∧　 　 　 　 　 　 　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　 /.: :. :. :.|: : : : : : :.|.: :./ ∧ 　　　,.: : : : : :.|: : : : : : :.|: : :./::∧ 　　　{: :/rr/ {＜ ⌒ ア‐=≦ /: :} 　　　 ^{/::::}　乂 : :T:. ／ﾍ乂}⌒ 　　　　{{＜{　　ｱ＞＜/∧/^ﾍ 　　 r‐=≦乂/　/二二ヽ,{丁＞'' ｱ .　　　　 {￣ア　〕　　　〔 ＜￣}　 l 　　 {　　,　 ゝ ア≧=≦≦, 　 , 　　八　 ∨,　////////∧　,/　 } 　　　 ,　　〉〉〈/////////〉〈〈　 , 　　　 ∨ 〈〈　〉:::::::::::::::::::〈　 〉〉/ 　r≧= ∨ ∨,　≧::r廴≦ ∨/ , ‐=≦ ｱ 　∨　　.∨ ,/　　　}　{　　　〉 /　　　 / 　 ∨777}＼〉＿＿ 　}＿__〈 / 7777/ .　　∨//{ /::::::::::::7　 }:::::::::::::/〈//,∧ 　　　 {//{￣ ',:::::::,　　::::::/￣￣}/∧∧ 　　　 ∨ﾍ　　{::::::,　　 ,::::}　　　//　∨ , 　　　　 ﾏ∧　ﾍ:::}　　　}/　　 //　　 ∨ , 　　　　　∨}　　/,　 　 /　　 , /. 　 　 ∨ , 　　　　　　〉― {:}　　　}― 〈/{　　　 　 ∨ , 　　　　　 /　　/:{　　　}　　/:::l　　　　　 ∨ , .
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────────────────────────────────────────────────── 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 {///} 　nice boat.　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ∨/ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |.| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 从 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＼<＝ァ==ミ＿f^￣｀ヽ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-=ミ:､　　／ , -=＝ミ:､`{　f~　　 jf∧∧　　 / 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　)/ﾑ./　 ////／⌒Vﾊ j　 .／::::::::}⌒｀¨´ 　　　　　　　　　　　　　　　　,　=-z≦＜ /　 / ///　　　,zシ^／:::::::＿::∨_　＿＿ 　　　　　　　　　　　　　　　（: : :(__ 　 　 ∧　{///{　　　//　 /::::／////フ'⌒＞ｘ::::＞x 　　　　　　　　　　 ＿__　　　`.ー=≦⌒ヽ∧ ＼//＞=ｲ/　 /: //////／::::::::::::::::::::::::::if^＞:､ 　　　　　　　 　 ／:＼＼ヽ ＿　　　 ≧x: : ∧＞'^／¨¨ .／:: //////::::::::::::::::::::::::::::::::::i|〕ｉト .,＼ 　　　　　　　,∠斗=ミ: : :＼＼:.~＞ '^⌒｀ヽ /! ./　　 ／::::::://////:::::::::::::::::::::::::::::::::::::j}//// 〕ｉト ., 　 　 　 　 　 ,　-=ミ.. ＼: : :＼/　　.＿＿＿|::|/ 　,／::::::::::〈///.∥::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j}///////// `ｉト ., 　　　　　　 /: : : : : : :`＞:'77777f'く￣￣￣|::|　 ∥::::::::::::::∧///|::::::::::::::::::::::::::::::_≧'^///////////////` :､ 　　　　　　廴＿ _＞'^.//////∧=-ｔ─i＜^|∧　 |::::::::::::::::::;_〉//.!::::::::::::::::::rf≦^//////////////////////＼ 　　　　　　　､＿ｊ└───＜Vﾊ 苡Vﾘ､ゞj{:::::＼仏斗:七（////|:::::::::::::::::{:{/////////////////////////// ＼ 　　　　　　　＼: : :: : :＿: , r': :.∧`トｰ=＝:¨j{:::::::: |＼　 ∨∧// {　::::::::::::::N///////////////////////////// ＼ 　 　 　 　 　 　 ￣　＿／: : : :／{〕ｉト .,__＿ j{:::::::::|/:::＼__ﾄ＜＼/＼　　く＼＼＞ｘ////////////////////////// ヽ 　　 　 　 　 　 　／:/: :.; 斗＜　.{／⌒＞､　/＼_∧:::::::::∨∧て＾ヽ/〕ｉト .,＼>::＞:､.＞ｘ////////////////////////∧ 　 　 　 　 　 　 {!⌒{:／　　　　　 ＼_./ ,　∨　 ∥ .∨;:::::::〕ｉト .,　/{::::::::::::＼〕ｉト .,fﾆ=>x ＞ｘ//////////////////////} 　　　　　　　　　　　`　　　　　　　　　∨/ 　　.∥　if^V〕ｉト .,　∥〕ｉト .,:::::::::::＼//// ／ｰ＞:､＼///////////////////} 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V　 　 ∥＼∨　 Vﾊ　〕ｉト .,　　 ＼:::::::::￣￣::::::::::::::::::::::＞:､.////////////////. 　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼ _丿＿ .｀〉f=＜.ﾑ斗く＾＼　 　 ＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／ ＞:､///////// ／ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨　　　`Ｖ　　　　　 _zxﾐ.＼　 ／〕ｉト .,:::::::::::::::::::,　'^　　　　　` ー＝=≦ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ∧　　　　}_ ﾆ=- ''¨　　 `ヽ_)^＞=- ＜￣￣￣ 　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ` ｰ=≦ ────────────────────────────────────────────────── .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　この夜は、風鳴翼にとって、 　　　（これぞ……）と、思うような獲物は見つからなかった。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ｀ー―､ __二二二ニニニニニﾆﾆ=:::. 　　　　　　　　　 　　　　　　.　. : . : . : . : .: .: .: .:.:.:.:.:.::::::::: 三三三三｀ゝ__ ィ､二二ニニニﾆﾆﾆ::::.　 　 　　　　. ..:::::..　　　　　　.　. : . : . : . : .: .: . __,ｎ__, 　 　　,勹 　__,ｎ__, 　 　　,勹 三三三三三三三 ヽ二ニニニﾆﾆﾆﾆ::::.　　　　　　　　　　 ､　　　　　.　. : . : . : . : .: .:..,.ｺ lﾆ, 　 　く..く　　,.ｺ lﾆ, 　 　く..く 三三三三三三三三｀ゝニニニﾆﾆﾆﾆﾆ　　　 ﾆﾆニニ　　 　 ､　　　　.　. : . : . : .: .: .:. `弋ﾆク　　　＼）　`弋ﾆク　　　＼） 三三三三三三三三二二二二ニニニﾆ　　ﾆﾆニニニニﾆ 　 ヽ、　 . : . : . : .: .: .: .: .: .:.:.:.:.:.:.::: 三三三三三三三二二二二ニニニニﾆ　ﾆﾆニニニニニニﾆ 　 ヽ、.: .: .: .: .: .: .: .:.:.:.:.:.:.::::::::::: 三三三三三三三三三二ミヽ、ニニニﾆﾆﾆニニニニ二二二ニﾆ　｀ｰ -　_.: .: .: .:.:.:.:.::::::::::::::::: 三三三三三三三三三三三三`ミxニﾆﾆニニニ二二二二二二二二二 　 ｀　 _.:.:.:.:::::::::::::::::::: 三三三三三三三三⌒ヽ三三三三≧xニニニ二二二二二二二二二二二ニ　｀ゝ__::::::::::::::::: 三三三三三三三三三三｀ｰ‐-､三三二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ　＝=-ｧ 三三三三三三三三三三三三 ｀==‐⌒ヽ、二二二二二二二二二二二二二二二二ﾆﾆ 　 ｀ 三三三三三三三三三三三三三三三三三ー‐ｭ､二二二二二二二二二二ニニニニニﾆﾆ 三三三｀ヽ三三三三三三三三三三三三三三三ﾄ､三三三二二二二二二二二二ミxニﾆ＝ 三三三三 }三三三三三三三三三三三三三三三） ）三三三三二二二二ﾉ⌒二二ニニﾆﾆ : : :/ii/: : /: /: : : : : :/: : : : : : : : :ｈ: : : : : : :!: : h:!:!: : :|: : :ヽ: : : : : ヽ : :/ii/: : /:/: : :/: : : :!: : : : : /: : / ヽ: : : : : : :!: |ii!: :!: : |: : : :.!: : : : : : ヽ :/iii/: : :!/: : : /: : :/ |: : : : :/: : /　 !: : : : : : :!: :|ii|: : :!: |: : : : !: : : : : : : ヽ :iii/: : : !: : : /: : / 　.|: : : : !: : /　　 ､: : : : : : |: |iii､: : !:|: : : : :!:.: : : : : : : | 　/: : : |: : /: : /　 　|: : : : :!: /　　　　ヽ: : : : :!:ﾄミミﾐ､:|:.:.: : : :!:.:.: : : : : :.| ヽヽ: : :iヽ/:_:/　 　　|: : : : !:/　　　　　 ,ｨ:´: : ﾘ　 ,>ミミ}:.:.:. : : !:.:.:.:!: : : :.| ....､ ヽ: :V:, =ミﾐ､ _　|: : ::.:.:/　　　 ,ィ=rﾐ､!: : /　 /..../ii/i:.:.:. : :.!:.:.:.:!:.: :!:i:|　ﾁｯ ﾐ....､ ヽ: {ヾ　 ﾄｨiiciヽ!: : : / ーイﾄｨiij |　ﾉ!: :/　/...../ii/:!:!: : : : :|:!:::::!::::::|i| ミ､...､ ヽ:.､.　 弋ソ　 !: :.,'　　　 弋ソ　　ﾊ/　/..../ii/: :!:|: : : : :|:|::::::!:::::|i ヾﾐ､....､ヽ:.ヽ　｀´　　 !: :| ,　　　　￣　　/:/ /..../ii/:.:.:.:!:.!:.: : : |:.!:.:.:.!:.:ﾘ : ヽﾐ.....､__}:iヽ　　　　 ヽ:! |　　　　　　 //__/...../ノ:.:.:.:.:!.:!.:. : :,! :|;:.:.／ : : : ヽVヽ: :ﾄヽ､　　　　｀＿__　　　　,/./: /:.//:.:.:.:.:.:.:.:!:/:.: : /: ,!／| - '´　 ＼ヽ: |ヽ､　　　'ー―‐'　　 ／/:./｀/<:.:.:.:.:.:.:.:/:/:.:.: ｲ:!: : : : | 　　　 　 ＼!:|　　|ヽ､　　　　　 ／/　!/ //　　｀￣/7:.:.ィ-ｧ!: : : : :.:| ー,---､　　 !　　.|ﾐ､　｀ -- '´ ,ｨ/　 / /　　　　　 /:／:':´:/:/: : : : :| 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　翼の舟は、竪川から六間堀へ出て、 　　　小名木川を東へ向かい、扇橋のあたりまで行ったが、 　　　やがて引き返しはじめた。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　翼は、岸辺の道に沿って舟を進ませつつ、獲物を狙う。 　　　両刀を帯した侍を狙う。 　　　夜ともなれば、通行の人々は、 　　　いずれも提灯を手にしているから、そのあかりでわかるのだ。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　 :　　　　　 ヽ　　　 "',;.:.::.;.;.;.　　 .;.;..;..;:.,.:.;:.,.,;:..;.;..;...;..;:.,.,:;.; 　　　　　　　　　　　　　　　 　 ''ii,:;.;,; .:.::;.:.;.;.;.:;.,;;.;.;..;.;　..:;.:;...;..;:..,:; ...　　　|　　　　　　　　　　　　　　"'w..;:.,.,:.;.;.;..;:,;.:.::; ; _ ;.:,;.;..;..;:.,.,:; 　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼　　　　"-;;､,,:,;.:.{ﾊ　 /: ヽ　_;　..:;.:; 　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　"Wﾞ/ 廴 {: : :∨/}　　　　　＿＿ 　　　　　　　　　 　 　 　 ヽ.　 　 　 　 　 ィi〔: : : f ∨: : ＼}　　／: : : : : : : ＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__ r /⌒/∨ゝ{7}:l: : l: : ＼/: : : :_:_:_:_:_:_:_:_〉 .　　　 　 |　　　　　　　　　　 　 /::::::{ /: : : : : :,: : ∨,: :.:|: :＼:＼: : : : :_:_:_:_:_: :＼ 　　　　　　　　　　　　　　 　 　 {::::::::/: : :/: : :/∨: ∨,:.:|＼二ﾆ=‐: : : : : : : : :＼:} 　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｱ⌒{: : :/: : /__ ∨/∨/／/: : : : :＼: : : : : : : : : { .　　　　　　　 　 　 　 　 ヽ.　　　　　∨:{^ V 必 f/// {/__〈: : : : : : : :＼: : : : : : :∧　　　　　　 　 　 　 _ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　{:.入 　　.｡＜//　　　＼: : : : : : : :≧s。:_:_:_:.＼＿　　　 ＿＿／/ 　 　 　 　 　 　 ﾆヒ l l 　 　 　 　 l　　 ,　 √//////　 __　　{ ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼／: : : : ／ 　　　　 　 　 　 (__　　 　 　 　 　 l　　 ∨＜////,/::::＞〈　　　,　｀ ＜: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ／ 　 　 ﾆヒ l l　　　　　　　　　　　　 〉　／:＼＞＜＞ 7 ヽ:ﾊ　 　 .　 　　｀ ＜: : : : : : : : : : : : :＞ ´ 　　　(__　　　　　　 い　　　　　　/　 〉:::::::＞＜:.:.:,:.:}　　　}　 　 }　　　　　　　￣￣￣￣￣ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ '　^ ／　入__〉ﾍﾍ　　ﾉ‐=≦l／７　　 ／:} 　　　　　い　　 -‐ｧ.　　　_ 　 　 　 γ〈　／　　　∨/〈^{＼:.:.:.:.:}.../　ィi〔:.:.:/ 　　　　 　 　 　 （＿　　　{:.{＼　　／乂√　　　　 ｌ:.ｱ∧∨/777≦ /:.:.:.:.:./ 　　　-‐ｧ　　　　 　 　 　 |:.ﾊ　,／／　 　 　 　 　 i|////} }////,}　/:.:.:.:. / 　　　（＿　　　　 　 　 　 |:.:.／／ヽ　　 　 　 　／ ////////// ∨:.:.:.: / 　　　　　　　　　 　 　 　 ／／､　 /　　　　　 /:.:.:.:ｌ//////,／:.:.:.:l___,／ 　　　 　 　 　 　 　 　 ／／　　斗　　 ィi〔　　l:.:.:.:.:|///＞´:.:.:.:.: : | .　　　　　　　 　 　 ／／　ｌ ／ /＜　　　　　 l:.:.／::::〈:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!　___　 _ .　　　　 　 　 　 ／／　　/ 　{/ 　 　 　 　 　 |/ ＼:::::∨:.:.:.:.:.｡＜:.:.:.:.:./ { ∧ 　　　　　　　 ／／　　　/_／ {　　　　　　 =‐　 ⌒　ｱ {:.:.／:.:.:.:.:ﾆ=‐/　 　 ﾊ 　 　 　 　 ／／　　　　〈　　　乂 ＞　 ´　　 　 　 　 }i ／:.:.:.／　　 / 　 ｌ　　 , 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　小舟をあやつりながら、舌打ちをした翼は、 　　　小名木川から、また、六間堀へ入った。 　　　この夏に、二人の侍を翻弄した猿子橋の下をくぐり、 　　　翼の舟は竪川へ向かいつつある。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
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:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::その舟の舟行燈のあかりが、ﾞ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::舟を漕ぐ翼の姿を、ぼんやりと浮きあがらせていた。::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ＼＿_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／／　　　＿｀ｰ} |　　丶、　　ヽヽー―｀‐::::::::::: 　　',....｀¨'ｰ,:::::::::::::::::::::::::,.イ／　 ／　　ヽ:ヽﾉ }　 ,'!ヽ ｀丶　.',ヽ｀ｰ　,__:::::::::::: ｀ト.,{...............',:::::::::::::::,.-,.' ./　.　./　／!　　',:::',ﾉ／/　_', ', ', ヽ.',　｀￣￣:::::::::: .,'.......................）_, ',´......ハ.,　　 ,.'　/¨¨}　　 ヽヘ‐,'／/ ',ﾊ..}ヽ| i::::::::::::::::::::::::::: {_...............ヾ}..',二¨ヽ....{...}.| 　./{ ./.　 ハ　 ﾊ.,ィ´ }／ 　　　　.}/,:::::::::::::::::::::::::: 　｀ヽ,_,...-r‐.'　__,ソヽ‐.,‐|.., 'ヽ!,'　　斤ﾉ　{.// ／'.,　{　　 　 ´　.ヽ:::::::::::::::::: 　　　 ,'.....｀¨¨.'　,　ヽ ヽ.ヾ{　ハ　　　.ﾊ.../¨フ´　.∧ﾊ　　　　　　　' ,::::::::::::::: ＿, イ_.................._,＼　　＼'　{　{ヽﾆ..イ}/ィ´　　　　.',ヽ　. __　　　　.∧:::::::::::: :::::::::::::::｀¨¨¨¨¨¨¨ ' ＼　　＼￣ヽ',｀ヽ',／―-　,__　 ', ..'.,'//.｀ヽ　　..∧::::::::: ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..＼　　＼イ,} __}_, '¨／／　 ｀¨ﾞ　i,','::::::::::::',　　 ∧::::::: ヽ.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼　　＼-ヾィ　ヽ..ヽ　　　　 ,'{_ヽ,_:::::::::',　　　.',::::: .　'., '.,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::./　}ヽ. 　 '. ,　ヽ.　.ヽ ', ./丶__｀ヽ｀ヽ' ,:::::',　 　 .',:::: 　 ∧.ﾍ:::::::::::::::::::::::::::::::. /　 .',　,'＼　 ＼ }　　 '.,}ﾉ　 .}＼:::::::＼{}―:',　 　 }::: . 　 ∧ ',:::::::::::::::::::::::::::::,'　　　ヽ{::＼',_,　 ＼　　,'´ヽ ,'　 .丶、::::::｀¨¨ヽ　 ,'::::: ',　　　', ',::::::::::::::::::::::::::└―　,　 ｀ヽ',ヽ＼　 .'. ,i＼　}　　　　.｀ヽ:::::::::/　/::::::
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　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　翼の舟が、北ノ橋をすぎたときであった。 　　　折しも、六間堀の東岸の道を 　　　竪川の方からやってきた侍がひとり―― 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　　 　 _＿＿＿＿＿___ 　　　　　　　　　, '::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ 　　　　 　 　 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼ 　 　 　 　 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼...＿＿＿∧,､ .　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',￣￣￣`'` 　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::', .　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::', 　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i 　　i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,' 　　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::__::/ 　　{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／ ﾊ,'iヽ ｀ヽ ゝ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ 　 ｙ::,'::/　　　！ ::::::/:ヽ::::::::::::::::::::::::::; _＿_＿＿__::::::::::::::::ヽ___/:::ﾚ′ :::::',:::::::＼:::::::::::::::< __　 　 _＞‐´::::::::::::::、::::::::::/ :::::::i::::::::::{:::::::::::::::::::::::｀￣´::::::::::::::::::::::::::::＼:::::,' :::::::::｀ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>∧ ::::::::::::::::＼__:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::＼ ::::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::＼ ::::::::::::::::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::＼__ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀￣￣￣´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i 　　　　　 ＿ . 　 　 /:::_::::::ヽ サッ .　 　 (',:::`ﾟ::</ 　　　/ﾊ:::::::/ 　 ‐'´::::::`t' 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　暗い川面を向こうから近寄って来る翼の舟を見るや、 　　　咄嗟に自分の提灯の火を吹き消し、 　　　旗本屋敷の塀の裾へうずくまった。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .
99
　　　　　　　 　 　 　 　 ／:_／: : : :＿: : : : : ＼ ヽ　}: : : : : : :＼ 　　　　　　　　　　　　/: : /: : ＼/: : : : ＼:_:_:_:_:≧≦,: : : : : : : : 　　　　　　　　　　 __/:_: /: : : : : : : : : : : : : :ﾏ/ﾊ: :}:.:.|: : : : : : : : :i 　　　　　　　　 　 {: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : :∨∧}:.:.|: : : : : : : : :| 　　　　　　　　 　 |: : : : : : :/: : : : : : /{/{: : : : :∨∧: |: : : : : : : : :| 　　　　　　　　 　 |: : : : : :/{: : : : : :/ ⌒{: : : : : }//ﾊ |: : : : : : : : :| 　　　　　　　　 　 |: : : :.:./　: : : :.:./　 　 , : : : : |∨//!: : : : : : :.:..:|　　　 　 　 　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　　　　　　 　 |: : ＼′ l: : : :/　　　斗: : :.:.:|　寸!|: : : : : : : : :| 　　　　　　　　 　 {: : :㌢斧ﾐ: :.:/　 斗泛ミx: ／／ /!|: : : : : : : : :}　　　　　 　 　 　 翼は、これに気づかなかった。 　　　　 　 　 　 　 ,: : :,ゝVﾘ: :/　 /　,)ﾊ　/　 /:.:.:// |: : : : : : : :./ 　　　　 　 　 　 　 ∨:ﾊ　　 V　　 　 ゞ ' ,/　/:.:.://　: : : : : : :／ 　 　 　 　 　 　 　 ちょうど、翼の眼は六間堀の西岸へ 　　　　　　　　　 　 }: 从　　' 　 　 　 　 /{　{:.:.://　 ア7￣ {　　 　 　 　 　 　 　 　 向けられていたからである。 　　　　　　　　　　　|: :{込　　‐　､　　　f: ≧s。{＞''´ ,/: : : : 　 　 　 　 　 　 　 斗: {　　　　　　　＜ {:/　 {: : :./　 /: : : :.∧　　 　 　 　 　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　　　　　　⌒^Ⅵ宀 ､　　爪　　/ {′　ヽ:./ ,／: : : : : :∧ 　　　　　　　　　γ⌒{/=‐ ‘，　{ 　 /　 ≧=‐ミｔ〈＿_{: : : : : :.∧ 　　　　 /{　　 ,　　　　{:.:.:/　 ,　 { ｲ／　　/ ／:.:./ 　 ,: : : : : :.:.∧ _ 　　 　 //{ﾍ　,　　　 　 ,:.ﾊ　　＼／　　　ア:.:.:.:./　 　 ∨: : : : : :∧ﾊ .　　　///}...../　　}　　 〉:.:ﾊ　/^7　 .｡＜:.:.:.:.:／　 　 　‘，: : : : :: :.}/} 　　　{///{. /　　 }　／:.:.:.:[二　/＼:.:.:.:.:.:＜　　　　　　　＼: : : :.:.:|/} ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.　　　　　 　 　 　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 　 　 　 　 　 　 　 　 その眼が東岸へ移ったときには、 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 　 　 　 　 　 　 　 　 すでに、提灯の火を消した侍の姿は ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ＿::::::: 　 　 　 　 　 　 　 　 闇の底に隠れてしまっている。 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::_::::::ヽ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾞ(',:::`ﾟ::</:::.　　　　　 　 　 　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /ﾊ:::::::/ :::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::‐'´::::::`t'ﾞ:::::::: .
100
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::翼の舟は、六間堀と五間堀をむすぶ地点をすぎ、::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::竪川へ向かう。::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ＼＿_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／／　　　＿｀ｰ} |　　丶、　　ヽヽー―｀‐::::::::::: 　　',....｀¨'ｰ,:::::::::::::::::::::::::,.イ／　 ／　　ヽ:ヽﾉ }　 ,'!ヽ ｀丶　.',ヽ｀ｰ　,__:::::::::::: ｀ト.,{...............',:::::::::::::::,.-,.' ./　.　./　／!　　',:::',ﾉ／/　_', ', ', ヽ.',　｀￣￣:::::::::: .,'.......................）_, ',´......ハ.,　　 ,.'　/¨¨}　　 ヽヘ‐,'／/ ',ﾊ..}ヽ| i::::::::::::::::::::::::::: {_...............ヾ}..',二¨ヽ....{...}.| 　./{ ./.　 ハ　 ﾊ.,ィ´ }／ 　　　　.}/,:::::::::::::::::::::::::: 　｀ヽ,_,...-r‐.'　__,ソヽ‐.,‐|.., 'ヽ!,'　　斤ﾉ　{.// ／'.,　{　　 　 ´　.ヽ:::::::::::::::::: 　　　 ,'.....｀¨¨.'　,　ヽ ヽ.ヾ{　ハ　　　.ﾊ.../¨フ´　.∧ﾊ　　　　　　　' ,::::::::::::::: ＿, イ_.................._,＼　　＼'　{　{ヽﾆ..イ}/ィ´　　　　.',ヽ　. __　　　　.∧:::::::::::: :::::::::::::::｀¨¨¨¨¨¨¨ ' ＼　　＼￣ヽ',｀ヽ',／―-　,__　 ', ..'.,'//.｀ヽ　　..∧::::::::: ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..＼　　＼イ,} __}_, '¨／／　 ｀¨ﾞ　i,','::::::::::::',　　 ∧::::::: ヽ.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼　　＼-ヾィ　ヽ..ヽ　　　　 ,'{_ヽ,_:::::::::',　　　.',::::: .　'., '.,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::./　}ヽ. 　 '. ,　ヽ.　.ヽ ', ./丶__｀ヽ｀ヽ' ,:::::',　 　 .',:::: 　 ∧.ﾍ:::::::::::::::::::::::::::::::. /　 .',　,'＼　 ＼ }　　 '.,}ﾉ　 .}＼:::::::＼{}―:',　 　 }::: . 　 ∧ ',:::::::::::::::::::::::::::::,'　　　ヽ{::＼',_,　 ＼　　,'´ヽ ,'　 .丶、::::::｀¨¨ヽ　 ,'::::: ',　　　', ',::::::::::::::::::::::::::└―　,　 ｀ヽ',ヽ＼　 .'. ,i＼　}　　　　.｀ヽ:::::::::/　/::::::
101
　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　それを見て、侍が身を起こし、 　　　消えた提灯はそのままに、翼の舟を尾行しはじめた。 　　　月もない闇夜の川面をすべって行く舟行燈を目印にするのだから、 　　　尾行にはうってつけと言ってよい。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 　　　　'''''　'''';;;;;;;,,,;;;;;;'''''';;;;,,,,　　　　　　　''';;;;,,,　　　　　　　　''';;;,,,　　　　,,,,,;;;;;;'''''';;;;;,,,,,,,,,　　　　,,,,,,;;;;;;;'''''' 　　　　　　,,,;;;''''''　'''';;;;;;,,,,　'''';;;;,,,,　　　　　　''';;;,　　　　　　,,,,;;;;''''　　　　''';;;;,,　　　　'''''';;;;;;,,,,,;;;;;;;;'''''' 　　　　　'''''''''　　　　　''''''';;;;;;,,,,　''';;;;　　　　　;;''　　　　,,,;;;;;'''''　　　　　　　'''';;;;,,,　　　　　　'''';;;　''''';;;;;;;,,,,,, 　　　　　　　　　　　　　　　　''''''''';;;;;;;;,,,,　　　; 　 　 　 ;'　　　　　　　 　 ,,,,,,,,,,;;;;;''''　　　　　　　';　　　　''''';;;;;,,, ''''';;;;;;;,,,,,,,　　　　　　　　　　　　　　　　''';;,　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 '''　　　　　　　　　　　　　 '　　　　　'''; 　　　'''''''''''';;;;;;;,,,,,,,　　　　　,,,;;;,,,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,,, 　　　　,,,,,,;;;;;;;;;''''';;;;;;;;,,,,,,;;;'''''　　''''';;;;;;;,,,,,　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,,,;;'''''';;;,,,　　　　　,,,,,;;;;'''''' 　　　　,,,;;;;'''　　　　''';;;''..　　　　　/　　　　　 　 　 　 : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼.'''''';;;;;,,,,;;;;''''''';;,,　　　　　　,,,;;'' ,,,,;;;;;;'''''''　　　　　　　;' 　 　 　 　 }　　　　　　　 　 　 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ﾊ''　　'';;,,　　　''';;;;;;;,,,,,,,;;;''''' 　　　　　　　　　　　 '　　 　 　 　 ヽ　　　 /⌒ヽ 　　 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : } 　 　 ';,　　　　'''';;;;;'' 　　　　　''';;;,,,,,　　　　　　　　,,;;;;'''....}　　 /　　　∨ 　: : : : :.,　　⌒ヽ : : : : : : : :/　　　　　;,　　　　　'';,,,;';,,;'' 　　　　　　　　''';;, ,,,,,,,,,,;;;;;;;''''''''　　　）　/　 　 γ v　 : : ／　　　　　l : : : : : : / '';;;;;;;'''';;;;;,,,,,,,,;;;;;;''''''''''''.　　　　　 　 く}ﾊr‐:..､　 { 〃ｰ一'　　　　　 　 l : : : : : /....　　';,　　　　　　　,; 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣￣:二ﾆ =‐- { l「｀ヾﾍ　　 　 　 　 　 　 　 　 l: : : : :/.　　　　　''''';;;;　,,,;;;''';;' 　 　 　 　 　 　 　 　 :::::::::::::::::::::::::::::八ﾘ　弋 ﾄﾐ:､ {　 〃　　 ｘ ─- ､l: :ハ/　　　 　 　 　 '''';;;;;　　　 ,,,,;'';, 　　　,;,,　　　　,,,,,,,;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::ハ|'⌒ﾞｰ｀´ >j　{{r匕-tｧ_ﾁ￣　ﾚ/ /＿　　　　 　 ,;''';,;'　;'''';;;,,,;'''　　';,;' ,,,,;;;;'''''';;;;;,,,,;;;;'''''',,,,;;'' ::::::::::::::::::::::::::::/::::::l　　 　 / /　 ｀　ｰ─一 　 /ｲノ|:::::::::::::ミ::....　,;''　　　;'　　''';;;;,,, ;;;;;''　　''';;;;;''';,,,,;;;''';　 :::::::::::::::::::::::::/f 7::::　 　 　 /　　　　　　　 　 /斤::::|::::::::::::::::::::::.　　 　 ,,,;;;　　　 '''''';;,,,, 　　　　　　;;;'';　　　　:::::::::::::::::::::://j/::::∧ 　 　 ゝ '　 　 　 　 　 /::::::::::::|::::::::::::::::::::::　　 　 　 ''''';;;;,,,,,,　　''';;, 　 　 　 　 　 　 　 　 :::::::::::::::::::/::レ::::::::::| ， 　` ー＝=　 　 　 ｲ:::::::∧::l::::::::::::::::::::::: 　 　 　 　 　 　 　 　 ::::::::::::::::::ｌl:::::::::／ ヽ∧　　 ´｀　　 　 ／/:::::::::/0 }:l::::::::::::::::::::::: 　 　 　 　 　 　 　 　 ::::::::::::::::::|l:::／／::l |ｱ ゝ　　 ＿_　イ.:.:/:::::::::〈0 /::l::::::::::::::::::::::: 　 　 　 　 　 　 　 　 ::::::::::::::::::|ﾚ／::::::::ｌ |.:.:./.:.:i.:.:.:.:.:.:.:.i.:./⌒V::::::::∨::/::::::::::::::::::::::: 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 　　　この侍は、この夏に、 　　　翼が猿子橋の上から川の中に蹴りこんだ侍であった。 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ .